将来に対して、漠然と危機感を持っている薬剤師は多いです。しかしながら、具体的に何を勉強すれば良いのか、分からない薬剤師は少なくないですね。私たち薬剤師が飽和時代を生き残るためには、具体的には何を学べば良いのでしょうか?
- 「勉強が必要だけど、何を学べば良いのか分からない…」
- 「認定資格を取得すれば、キャリアアップに繋がるのか…」
- 「スキルアップが目的なら、薬局で働いた方が良いと聞いた…」
薬剤師のスキルアップで最も重要なのは、調剤で対応できる科目を増やす事です。
なぜならば、消化器科、眼科、皮膚科など、対応できる科目が増えるほど、薬に関する知識量も比例して増えますね。転職する際にも、経験豊富な薬剤師として重宝されます。反対に、十分な調剤経験がなく年齢を重ねてしまうと、30歳以降で将来のキャリアが限定されます。
スキルアップする上で、認定資格はあまり重要視されません。
なぜならば、認定資格は勉強会に参加すれば、誰でも資格を取得できるからです。また、実際の薬剤師の現場で必要とされない知識も多いです。キャリアアップや転職にも役に立つとは言えません。
闇雲に資格の勉強するよりも、将来のキャリアを明確にした上で学ぶ内容を決めた方が良いですね。明確な目標が定まらないうちは、机に座って知識を得ても時間の無駄です。
ここでは、薬剤師がスキルアップするためには何を勉強すれば良いのか紹介します。私たち薬剤師に最も大切な事は、調剤経験をしっかりと積み対人能力を磨く事です。管理薬剤師に昇進すれば、どこの職場に行っても必要とされる人材になれます。
- 国家資格を取得したのに、なぜスキルアップが必要なのか?
- 薬剤師のスキルアップは、具体的に何を勉強すれば良いの?
- 薬剤師がスキルアップするために必要な勉強方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
スキルアップしたいけど、何を勉強すれば良いの…
将来のキャリアを考えてスキルアップしたいと考える薬剤師は多いです。しかしながら、具体的に何を勉強すれば良いのか分からない人も多いですよね。
Aさん)勉強が必要だが何をすれば良いか分からない…
現在調剤薬局で働き、2年半くらいになりますが、薬剤師としてスキルアップしたいと考えて病院薬剤師として転職したい気持ちがあります。調剤薬局・病院薬剤師の役割が違ったり、それぞれに求められるスキルがあると思います。大まかにいうと、調剤薬局から病院薬剤師として転職する際に「もっと勉強が必要なのではないか?」と自分自身、危機感を持っています。
病院薬剤師に転職する為に、最低限持っていなければいけない知識などもあれば教えて欲しいです。宜しくお願いいたします。
参考:Yahoo知恵袋
日々の業務に追われながらも漠然とした危機感を持つ人が多いです。しかしながら、いざ何かを勉強しようと思った時に、何に手を付ければ良いかわからない人も多いです。何を勉強するのか考える前に、まずはどんな薬剤師を目指したいか考える必要がありますね。
勉強する目的やゴール次第で、何を学ぶのかが大きく変わるからです。「日本薬剤師研修センター」やキャリアコンサルタントに相談し、どのようなキャリアの選択肢があるか相談してみましょう。
Bさん)どの資格をとればキャリアアップに繋がるのか…
薬剤師の認定制度について質問です。今後のために認定制度を利用し勉強しようと思っているのですが、日本薬剤師研修センターの実施する認定薬剤師と日本薬剤師会のJPALSどちらにするか悩んでいます。学習内容や、薬剤師内でのそれぞれの認定の評価、認定をとるにおいてかかる金額(とくにJPALSのコンテンツ利用料)について教えていただきたいです。
当方、育児休暇中で今後の薬剤師としてのキャリアアップや転職に対して、対策を立てたいと思っています。病院薬剤師として9年ほど働いています。よろしくおねがいします。
参考:Yahoo知恵袋
キャリアアップや転職を目的にするならば、薬剤師認定資格は役に立ちません。認定薬剤師は勉強会に参加するだけで取れるからです。現実問題として現状の薬剤師業界で求められる人材は、ミスなく的確に調剤でき、より多くの処方箋を捌ける薬剤師ですね。
ただし、医療の高度化や人工知能の普及が進むと、求められる能力はガラリと変わります。今後のキャリアを考えるならば、業界全体の流れを把握しその上で対策を取りましょう。闇雲に認定資格を取得しても、転職が有利になるわけではないですね。
Cさん)スキルアップが目的なら薬局で働くべき…
調剤薬局orドラッグストアどちらに就職しようか迷っています。薬学生の男です。6年生のため、薬剤師として働きたいと思っております。最初はやりがい、薬剤師のスキルアップのため、調剤薬局に勤めたいと考えていましたが、年収の面で迷いが生じています。
調剤薬局、ドラッグストア、一般的に将来的には年収も同じようなものになり、どっちにいっても同じようなもの。という意見がよくあると思うのですが、30代で調剤薬局は400~500万円、ドラッグストアは700~800万円と聞きます。生涯年収の面ではかなり差がでると思います。お金の事ばかりいうのもよくないと思いますが、単純計算で生涯年収に数千万円の差がでるということですよね?いずれは家族を養うことなど考えると、年収の多いドラッグストアの方がいいですかね?
調剤薬局、ドラッグストアで働いている方、または他の業種の社会人の方、アドバイスをいただきたいです。アドバイス以外のコメントはご遠慮お願いします。(こんな事聞くな!などなど・・・)
参考:Yahoo知恵袋
就職先を決める上で、年収は大きな要素になりますね。しかしながら、最近10年の傾向として、薬を袋に積めるだけの薬剤師が増えています。具体的には、目先の年収に囚われ過ぎてしまい、調剤経験が積めないドラッグストアに勤める薬剤師です。
病態や検査種・検査値、注射・輸液の知識が全くない薬剤師が明らかに増えていますね。医師からの質問に答えられない薬剤師は、この先も生き残るには無理ですね。
年齢が若いうちは、年収よりも経験が積める職場を選びましょう。経験やスキルさえ積めれば、転職でいくらでも年収を増やせるからです。調剤経験や専門知識がないまま30代になると、年収500万円で頭打ちです。
では、薬剤師はスキルアップが大事と言われるが、具体的には何を学べば良いのでしょうか?
薬剤師のスキルアップは「何をすれば」良いの?
具体的に何を勉強すれば良いのか分からない薬剤師は多いですね。
その1:スキルアップは「なぜ必要」なのか?
- 国家資格があるだけでは、給料が増えない時代が来てる
- 薬剤師の数が30万人を超え、近い将来に供給過剰になる
- AIで調剤業務が自動化され、調剤だけできる人材の需要は低下する
これまでの薬剤師は、国家資格さえあれば誰でも稼げる時代でした。
しかしながら、薬剤師の数は2016年に大台の30万人を超え、今も増え続けています。現時点では供給過多ではないが、近い将来に過剰になる可能性もは否定できないですね。また、人工知能やAIの普及で、近い将来に調剤だけできる人材の需要は低下します。
参考:薬剤師がAIに仕事を奪われる確率は1%|調剤の92%は消滅?
すでに、薬剤師の二局化は着々と進んでいます。
稼げる薬剤師は40歳で年収800万円を得るが、同じ年齢と職場でも年収420万円しか稼げない薬剤師もいます。国家資格に胡座をかくだけでは、平均年収以上の給与を得るのは難しいですね。では、私たち薬剤師は、どのようにスキルアップすれば良いのでしょうか?
その2:何を「具体的に」勉強すれば良いの?
- 調剤系経験を積み、対応できる診療科目を増やす
- 患者や同僚など、対人能力やコミュニュケーションを磨く
- 最後に、特定の専門分野に特化した知識を増やす
薬剤師のスキルアップで重要なのは、調剤で対応できる科目を増やす事です。
なぜならば、孤児薬、消化器科、眼科、皮膚科など、対応できる科目が増えるほど、薬に関する知識量も増えますね。転職する際にも、経験豊富な薬剤師として重宝されます。
次に大切なのは、対人能力やコミュニケーション能力です。管理薬剤師など現場責任者として働く人は、例外なく対人能力が高いです。そして、調剤業務の人工知能化や「かかりつけ薬局」が進む過程で、今後最も重要視されるスキルでもあります。
これからの薬剤師は、対人能力が低ければ評価されません。患者の声を聞きなければ、適切な医療を提案できないからですね。
最後に「がん薬物療法認定薬剤師」など、特定分野の専門知識があるとより好ましいですね。
その3:「認定資格」はスキルアップになるのか?
- 勉強会に参加すれば、認定資格を誰でも取得できる
- 認定資格や専門資格は、キャリアアップや転職に役立たない
- 実際の現場では、対人能力やマネジメント能力が重視される
- 専門領域の勉強をする際には、キャリアを考えた上で学ぶ
認定資格や専門資格を取得する事で、スキルアップに繋がると考える人は多いです。
しかしながら、認定資格を取得してもその効果はかなり限定的です。なぜならば、認定資格は勉強会に参加すれば、誰でも資格を取得できるからです。また、実際の薬剤師の現場で必要とされない知識も多いです。キャリアアップや転職にも役に立つとは言えません。
もちろん、専門分野を勉強する手段としては、悪い選択肢ではないですね。キャリアアップやスキルアップに繋がると期待するのは避けた方が良いですね。
薬剤師に限らず専門職では、専門知識を現場に活かす事に価値があります。実際の現場で役に立たない知識を習得しても意味はありません。現実問題として、医療現場で求められるのは、現場に役立つ活きた知識です。
薬剤師の資格を取得しても、調剤経験がないと現場で活きないのと一緒ですね。認定資格や専門資格を取得する際には、本当にキャリアに繋がるのかを視点に検討しましょう。
では、スキルアップするには、具体的にはどんな事をすれば良いのでしょうか。
薬剤師がスキルアップする「勉強方法」は?
私たち薬剤師は、将来を見据えた上でスキルアップする必要があります。
方法1:勉強会や「研修セミナー」に参加する
- 「日本薬剤師研修センター」の勉強会や研修に参加する
- 研修センターで、漢方薬や小児薬物療法の認定資格を取得する
- 対人スキル向上のセミナーなど、民間企業の研修に参加する
- 転職エージェントに、将来のキャリアについて相談する
将来のキャリアが明確に定まらず、漠然と何かを学びたい人は、「日本薬剤師研修センター」の勉強会やセミナーに参加してみましょう。日本薬剤師研修センターとは、元厚生労働省の公益財団法人で、薬剤師の生涯学習を支援し推進する機関です。
研修に参加する事で、漢方薬や小児薬物療法の認定資格を得られます。また、他のスキルアップを目指す他の薬剤師と交流する事もできます。
また、薬剤師専門の転職エージェントに相談するのもありですね。薬剤師専門のキャリアコンサルタントは大半が薬剤師出身のスタッフです。現状の不満や課題をヒアリングし、具体的な解決策や求人を紹介してくれます。
明確なキャリアの目標を決めてから、スキルアップを考えた方がより効果的に学べますね。もちろん、キャリアコンサルタントに相談したからと、無理に転職する必要はありません。
方法2:「調剤経験」を幅広く積み管理薬剤師を目指す
- 対応できる診療科目を増やし、現場で幅広く調剤経験を積む
- 調剤経験を積みながら、管理薬剤師を目指す
- 現場をマネジメントできる人材は、民間企業で需要が高い
- 調剤薬局でも管理薬剤師になると、年収600〜700万円になる
- ドラッグストアで、店舗責任者になると年収は700万円以上
- 管理薬剤師になると、製薬会社からも需要が高い
薬剤師としてスキルアップするには、調剤経験を積むことが1番大切です。
できれば、総合病院の近くの調剤薬局か、もしくは大手調剤薬局に勤務する方が良いですね。大手調剤薬局ならば、転職しなくても職場移動する事で広く経験を積めます。そして、調剤経験を積むのと同時に、管理薬剤師を目指しましょう。
管理薬剤師を目指す過程で、現場で必要なスキルが何かを学べるからです。
管理薬剤師として役職を得られば、薬局やドラッグストアなどどの現場でも重宝されます。その後は、支店長やエリアマネージャーにも昇進できます。また、管理薬剤師の役職を貰えると、その店舗の最高額の給与を得られますね。
都内の薬局であれば年収は600万円、地方の年収が高い地域なら700〜900万円、ドラッグストアでも年収700万円以上を貰えます。また、調剤経験がある上に現場をマネジメントできる人材は、製薬会社からも需要が高いですね。
方法3:「対人能力」を磨いて地域医療に活かす
- 調剤業務がなくなり、対人業務の重度度が増す
- 高齢化が進む社会で、地域に貢献できる医療を目指す
- 高齢化社会で老人が増え、地方は在宅医療が中心になる
- 調剤業務は第五世代に移行し、薬剤師の役割は増える
- 薬剤師が少ない地域ほど、需要が高く地域社会に貢献できる
- 薬剤師が少ない地方ほど、薬剤師の給料は高い
- 奈良県の平均年収は777万円、静岡県は684万円もある
厚生労働省は「かかりつけ薬局・薬剤師」という制度を進めています。かかりつけ薬局では、調剤経験ではなく、地域社会に密着した対人能力が求められますね。
私たちは処方通りに薬剤を調合するだけでなく、医療が行き届かない地域でいかに自分が貢献できるか考える必要があります。これからは、高齢化社会で老人が増え在宅医療が中心になっていきますね。
自ら患者のために動ける薬剤師ではなければ、生き残るのは難しいですよね。日本薬剤師会が公表する「薬剤師の将来ビジョン」によると、調剤業務は第四世代から第五世代に移行しています。医療の高度化が進み、私たち薬剤師の役割はますます増えていますね。
幸いにも現状は、地方に行くほど薬剤師の数は少ないです。今は働く場所を変えるだけで、私たち薬剤師の年収が増える恵まれた時代でもあります。国家資格を活かして、どうしたら地域社会に貢献できるのかを考えましょう。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
まとめ:薬剤師はスキルアップで何を学ぶべき?
- 調剤系経験を積み、対応できる診療科目を増やす
- 患者や同僚など、対人能力やコミュニュケーションを磨く
- 最後に、特定の専門分野に特化した知識を増やす
薬剤師のスキルアップで最も重要なのは、調剤で対応できる科目を増やす事です。
なぜならば、消化器科、眼科、皮膚科など、対応できる科目が増えるほど、薬に関する知識量も比例して増えますね。転職する際にも、経験豊富な薬剤師として重宝されます。反対に、十分な調剤経験がなく年齢を重ねてしまうと、30歳以降で将来のキャリアが限定されます。
スキルアップする上で、認定資格はあまり重要視されません。
なぜならば、認定資格は勉強会に参加すれば、誰でも資格を取得できるからです。また、実際の薬剤師の現場で必要とされない知識も多いです。キャリアアップや転職にも役に立つとは言えません。
闇雲に資格の勉強するよりも、将来のキャリアを明確にした上で学ぶ内容を決めた方が良いですね。明確な目標が定まらないうちは、机に座って知識を得ても時間の無駄です。私たち薬剤師に最も大切な事は、調剤経験をしっかりと積み対人能力を磨く事です。
管理薬剤師に昇進すれば、どこの職場に行っても必要とされる人材になれます。
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