時短労働や給料増を目的に、転職を考える薬剤師は増えています。しかしながら、転職に慣れていない薬剤師は、就活に失敗するリスクもありますよね。では、薬剤師が転職に失敗しないためには、私たちは何を気をつければ良いのでしょうか?
- 「もしも転職に失敗して、ブラック薬局に就職したらどうしよう…」
- 「ハローワークに紹介してもらうと、ブラックが多いと聞いたけど…」
- 「認定資格や専門資格は、転職市場で評価されないのは本当なのか…」
現職よりも好条件で、転職に成功する薬剤師が多いです。
なぜならば、国家資格保有者に限定される上に、有効求人倍率は4.76倍と高く需要も高いからです。ある薬剤師専門の転職サイトでは、年収500万円以上の割合が92%を占めます。また、高単価の派遣やパート求人も豊富で、ママ薬剤師でも時短労働を実現しやすいですね。
しかしながら、転職に失敗してブラックに就職する薬剤師もいます。
転職に失敗しないためには、いくつかポイントを抑える必要がありますね。例えば、ハローワークは極力避ける、都市部の調剤薬局や病院の給料が安い、認定資格や専門資格は転職市場で評価されにくいなどです。
注意点さえ抑えれば、需要が高い薬剤師は比較的楽に転職に成功します。
ここでは、薬剤師が転職する上での7つの注意点を紹介します。また、転職に失敗しやすい薬剤師の特徴も紹介します。競争倍率が高い一般職と違い、薬剤師は1回の転職で100万円以上年収を増やすのも難しくないです。
- 薬剤師が転職する上での7つの注意点とは?
- 転職に失敗しやすい薬剤師の特徴は?
- 薬剤師が給料が高い職場に転職する方法は?
薬剤師て転職する上での7つの注意点は?
薬剤師が転職する上での注意点を紹介します。
注意点1:ブラック薬局も求人に紛れている?
- 調剤薬局の閉店時間が遅く、残業代を支給しない
- 額面の月給や年収は平均だが、賞与がなく昇給もしない
- 管理薬剤師になっても、手当や昇給がなく責任だけが増える
- 24Hや深夜営業でも、夜間対応のスタッフを募集していない
- 職場の雰囲気や人間関係が悪く、見学に行くだけでも分かる
- 人材が足りず、薬剤師1人体勢の時間帯が多い
- かかりつけ薬局制度で、管理職に会社の携帯を持ち帰らせる
- 調剤事務員が少なく、薬剤師も調剤業務に追われてる
一般企業と比較して、薬剤師はブラックが少ない職種です。
なぜならば、国家資格保有者である薬剤師は、平均年収が542万円と高く労働環境が悪い職場少ないからです。同じ医療従事者である医師や看護師と比較して、労働時間は短く重労働は少ないですよね。
しかしながら、ブラックと呼ばれる調剤薬局やドラッグストア もあるので注意が必要です。
ブラックな調剤薬局に就職すると、入社前の額面給与が高くても昇給や昇進はほぼありません。また、閉店後に在庫管理や服薬管理、レセプト作成を行い、残業代を支給しない店舗もありますね。人材不足を理由に若手薬剤師を管理職にして、責任だけ押し付ける事もあります。
転職する際には、ブラックにも注意する必要があります。
注意点2:ハローワークはブラックも多い?
- 採用コストがゼロなので、零細企業やブラックも多数利用する
- 年収増などのキャリアアップ向けの転職には向いてない
- 内定は得やすいが、ブラックに就職する確率も高い
- 求人のミスマッチが発生し、入社後の離職率が高い
- 就職相談員はただの公務員で、薬剤師業界に関する知識がない
- 薬剤師の求人もあるが、年収や時給は転職サイトと比較して低い
- 求人検索、企業応募、面接日程や給与交渉など、全て自分で行う
薬剤師求人を探すときに、ハロワークを利用する人は多いですよね。しかしながら、ハローワークの求人は、転職サイトよりもブラックの割合が高いので注意が必要です。
ブラックが多い理由は、企業が採用コストゼロで利用できるからです。
採用コストが掛からないからブラックしか集まらない訳ではありません。しかし、経営に余裕がない零細企業やブラックの割合は必然的に高くなります。逆にいうと、100万円の採用コストを掛けられる企業は、良企業が多いと言えます。
金銭的な負担がないと、採用する側もよく人材を吟味しません。その結果、お互いがミスマッチする可能性も多く、入社後にすぐ離職する薬剤師も多いですね。企業側が採用コストを支払う事で、お互いに適度な責任感が生まれます。
転職サイトを使えば必ず安全ではないが、ハローワークよりは明らかにリスクが低いです。
参考:ハローワークにブラックが多いは本当?|メリットとデメリット
注意点3:都市部の薬剤師の給料は低い?
- 奈良県の平均年収は777万円、全国で1番目に高い
- 東京都の平均年収は570万円、全国で10番目に低い
- 大阪府の平均年収は510万円、全国で33番目に低い
- 薬剤師の給料は、地域の物価や人件費に連動しない
- 調剤薬局や病院の売上は、調剤報酬で全国一律に決まる
- 薬剤師の数が多い都会だと、供給が多いため需要が低い
- 物価が高い都市部は、薬局の運営コストが高い
薬剤師の給料は、地方ほど高く都市部ほど低い傾向があります。
例えば、奈良県の平均年収は777万円に対して、東京都の平均年収は570万円しかありません。東京都の平均年収は全国1位で622万円だと考えると、薬剤師にも関わらずかなり給料が低いと言えますよね(参考:都道府県別年収ランキング)。
東京都よりも平均年収が高い県は、9つもあります。
都市部ほど給料が低い理由は、薬剤師の数が多く需要が低いからです。全国一律で調剤報酬が決まる薬剤師は、人件費と物価が連動しないですね。そのため、薬剤師の数が多い都会ほど給料が割安になる点に注意が必要です。
人材が足りない地域に行くと、年収800万円以上で募集する案件もあります。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
注意点4:病院は労働環境が悪い上に低収入?
薬剤師 | 初任給 | 初年収 | 30歳前後の年収 |
---|---|---|---|
製薬会社 | 22万円 | 300〜350万円 | 600〜800万円 |
ドラッグストア | 25〜35万円 | 350〜450万円 | 500〜700万円 |
調剤薬局 | 22〜30万円 | 350〜400万円 | 450〜500万円 |
病院薬剤師 | 20〜25万円 | 300〜350万円 | 350〜420万円 |
病院勤務は、調剤薬局の次に薬学部に人気が高い就職先です。
調剤薬局に就職する学生は31%、病院に就職する薬剤師は21%、この2つで全体の過半数を占めます(参考:薬系学科 6 年制新卒の 1/3 が薬局)。しかしながら、病院薬剤師の給料は、調剤薬局やドラッグストアと比較して低い事に注意が必要ですね。
特に民間病院は、仕事が忙しく労働環境が悪い割に低給料です。
例えば、ある東京都の民間病院の初任給は22万円、初年度の年収は350万円だけです(参考:東京都済生会中央病院の求人)。薬局長まで昇進しても、年収は600万円に届けば良い方ですね。そのため、病院勤務から調剤薬局やドラッグストアに転職する人は多いです。
参考:国県立や民間病院に転職したい|転職後の年収モデルや注意点は?
注意点5:認定資格や専門資格は重要視されない?
- 認定資格や専門資格を習得しても、薬局の売上は増えない
- 国家資格があれば、十分に専門知識がある事をすでに証明してる
- 認定資格も専門資格も、時間とお金を出せば誰でも取得できる
- 人工知能が普及する事で、専門知識の知識量の相対価値は下がる
- 認定資格など資格手当を支給するのは、全体の1%未満
- 資格よりコミュニュケーション能力が高い人材が重視される
認定資格や専門資格を取得しても、転職に有利になるとは限りません。なぜならば、薬剤師が資格を取得してもしなくても、店舗の売上は変わらないからです。また、認定資格や専門資格は、お金を出せば誰でも取得できますね。
国家資格があれば、転職市場では必要な専門知識があると判断されます。
実際に、薬剤師専門の転職サイトで、「認定薬剤師」と検索しても142件(全求人の0.002%)しかヒットしません。薬剤師の採用担当者は、それだけ認定資格を重要視していないからです。資格よりもコミュニュケーション能力が重視されます。
参考:資格取得しても転職で評価されない?|給料が増えない理由は?
注意点6:大手調剤薬局は転勤や異動が多い?
- 全国に薬局がある大手調剤薬局は、転勤や異動が多い
- 全国に店舗があるドラッグストア は、転勤や異動が多い
- 全国に病院や販路がある製薬会社は、転勤や異動が多い
- 中小薬局や個人経営、病院勤務は転勤や異動が少ない
- ドラッグストア は、転勤有無で給与体系を選べる
- 正社員と違い、派遣やパートは勤務地を選択できる
薬剤師は、基本的には転勤や異動が多い職種です。
なぜならば、大手調剤薬局やドラッグストアは、全国各地に薬局や店舗があるからです。製薬会社のMR職に就職しても、クライアント先の病院が全国にあります。転勤がほとんどないのは、中小薬局や個人経営、病院勤務に限られます。
最近だと、転勤なしの給与体系を選べるドラッグストア も増えてますね。
大手調剤薬局で経験を積んだ後に、転勤がない中小薬局に転職する薬剤師は多いです。家族ができると、独身時代のように身軽に引っ越すのが難しくなるからです。女性が6割を占める薬剤師業界では、転勤や異動がない職場の方が人気が高いですね。
注意点7:転職理由1位は人間関係によるストレス?
- 性格が悪い上司に当たると、毎日厳しい事を言われる
- 狭い空間で1度でも人間関係が崩れると、修復が難しい
- 人員配置転換やリストラがない閉じた社会である
- 地域だと流動性が低く、公務員のように陰険な職場に陥りやすい
- 要領が悪い後輩を担当すると、毎日ストレスが溜まる
- 医師が処方したのに、患者から苦情を言われる
- 疑義照会が必要なのに、理不尽な対応をされる
医療従事者で1番多い転職理由は、実は人間関係の問題です。薬剤師の話を聞いていると、人間関係で深刻な悩みを持つ人は多いですよね。
人間関係で悩みを抱える理由は、流動性が低い上に閉じた社会だからです。免許制度のため薬剤師になれる人材は限られます。また、地方に行くと人員の配置転換やリストラが全くありません。普通の会社ならば首にされる人材が、いつまでも職場に残り続ける事もあります。
狭い空間で毎日顔を合わせるため、人間関係が1度崩れてしまうと修復は難しいですよね。職場雰囲気や人間関係を重視する人は、転職先を決める前に必ず職場見学に行きましょう。本当にやばい職場であれば、外から見ても分かりますね。
参考:薬剤師は人間関係でうつ病に陥りやすい?|うつ防止の対策方法
では、転職に失敗する薬剤師は、どのような特徴の人が多いのでしょうか?
転職に失敗しやすい薬剤師の特徴は?
- 漠然とした不満ばかりで、転職の目的がはっきりしてない
- 1度の転職で、現職の全ての問題を解決しようとする
- 人間関係、収入、残業など、転職の優先順位を決められない
- 転職はメリットだけではなく、リスクがある事を理解していない
- 自分の要望だけでなく、妥協できる点が明確になっていない
転職活動に失敗する人は、解決したい不満を明確にできない薬剤師が多いです。
また、解決したい事に優先順位を付けられず、1度に実現しようとする人も失敗します。例えば、労働時間を劇的に減らした上で、年収増を狙うのは現実的に難しいですよね。プライベートを犠牲にすれば年収は増えるし、私生活を優先すれば給料は減る可能性は高いです。
「年収」「労働時間」「人間関係」「勤務地」など、優先順位を持ってエージェントに提案する事が大切ですね。また、転職に成功する人は、相手の話をよく聞きながら妥協点を抑え柔軟に思考を変えられる人です。
転職活動はメリットだけではなく、リスクやデメリットがある事も理解する必要がありますね。では、私たちが高収入で転職するには、具体的には何をすれば良いのでしょうか?
薬剤師が給料が高い職場に転職する方法は?
薬剤師の転職に成功する方法を紹介します。
方法1:年収が高い大手ドラッグストアで働く
ドラッグストア | 年収 | 初年度年収 | 福利厚生 |
---|---|---|---|
イオン薬局 | 〜800万円 | 年430万円~550万円、賞与120万円 | ◎ |
ウエルシア | 〜700万円 | 年517万円 | ○ |
マツモトキヨシ | 〜700万円 | 年4,585,910~5,055,000円 | ◎ |
ツルハドラッグ | 〜600万円 | 月286,640~321,640円(薬剤師手当込)賞与年2回 | ○ |
クオール薬局 | 〜600万円 | 月321,000円~381,000円 | ◎ |
スギ薬局 | 〜600万円 | 新卒月29万3000~月31万8000円 | ○ |
年収を増やす1番簡単な方法は、大手ドラッグスアに就職する事です。
大手ドラッグストアは、薬剤師手当月8〜12万円支給される上に、時間外や夜勤割増賃金が支払われます。そのため、経験が浅い薬剤師でも年収500万円を稼げます。業界大手のウエルシアに就職すると、初年度でも年収は517万円もありますね。
大手ドラッグストアは、賞与額を公開してるため安心して入社できます。
ドラッグストアは、店舗数が急拡大してるため常に薬剤師が足りてません。そのため、求人募集に応募すれば誰でも面接に合格できます。
ただし、ドラッグストアのデメリットは、拘束時間が長く仕事が忙しい事です。また、初年度から給料が高い分昇給額も限られます。ドラッグストアで順調に昇給するには、管理薬剤師、店舗責任者、エリアマネージャーへと昇進する必要があります。
参考:ドラッグストアの年収は600万円|デメリットや向いている人は?
方法2:薬剤師の数が少ない地域で働く
- 薬剤師が少ない地方ほど、薬剤師の給料は高い
- 高齢化社会で老人が増え、地方ほど薬剤師の需要は高い
- 東京は平均年収620万に対して、薬剤師は570万だけ
- 奈良県の平均年収は777万円、静岡県は684万円もある
- 同じ県内でも都市を離れるだけで、100〜200万円も変わる
薬剤師が少ない地域で働く方が、月給や賞与額は高いですね。薬局によっては、別途地域手当を支給してくれる職場もあります。
薬剤師が少ない地域ほど、薬剤師の待遇は厚いです。なぜならば、薬剤師が辞めたら運営できないため、給与や福利厚生を手厚くするしかないからです。薬剤師の数が多い都市では、代わりの人材がすぐに見つかりますね。そうなると、薬剤師の労働条件も悪くなります。
薬剤師が少ない地域では、年収800万円以上で募集する求人もあります。また、同じ県内でも都市部を少し離れるだけでも違います。例えば、福岡市内の調剤薬局では年収500万円、市内から少し外れた地域に行くと年収800万円で募集してます。
住む場所を変えるだけで、簡単に労働条件や年収を増やせるのは薬剤師の特権です。薬剤師が余っている都市部よりも、高齢化が進む地域社会に貢献した方が私たちの給与も増えます。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
方法3:転職サイトやエージェントを利用する
- 薬事師専門の転職プロから、客観的なアドバイスを得られる
- 第三者に相談する事で、将来のキャリアを明確にできる
- 相談を聞いて貰った上で、具体的な求人を掲示してくれる
- 勤務地や条件に合わせて、求人をスクリーニングしてくれる
- 最適な職場を選ぶ事で、年収100〜200万円増やせる
薬剤師専門の大手転職サイトを利用する事で、質が高い優良案件を紹介してくれます。
転職エージェントの最大のメリットは、希望条件や適性をヒアリングした上で、求人をスクリーニングしてくれる事です。「年収500万円以上の求人」「年間賞与が100万円以上の職場」「残業がない調剤薬局」など、条件に応じて紹介してくれます。
面談日や給与交渉もしてくれるため、自分で求人を探すよりも楽に転職できます。
まとめ:転職する上で7つの注意点は?
- 薬剤師は良求人が多いが、ブラック薬局も紛れている
- ハローワークによる紹介は、ブラックの割合が高い
- 都市部の薬剤師は、地方よりも給料が低い
- 薬局やドラッグストアと比較して、病院の給料は低い
- 認定資格や専門資格は、転職市場では評価されない
- 大手調剤薬局やドラッグストア は、転勤や異動が多い
- 医療従事者の転職理由1位は、人間関係によるストレス
現職よりも好条件で、転職に成功する薬剤師が多いですね。なぜならば、国家資格保有者に限定される上に、有効求人倍率は4.76倍と高く需要も高いからです。ある薬剤師専門の転職サイトでは、年収500万円以上の割合が92%を占めます。また、高単価の派遣やパート求人も豊富で、ママ薬剤師でも時短労働を実現しやすいですね。
しかしながら、転職に失敗してブラックに就職する薬剤師もいます。
転職に失敗しないためには、いくつかポイントを抑える必要がありますね。例えば、ハローワークは極力避ける、都市部の調剤薬局や病院の給料が安い、認定資格や専門資格は転職市場で評価されにくいなどです。
注意点さえ抑えれば、需要が高い薬剤師は比較的楽に転職に成功します。競争倍率が高い一般職と違い、薬剤師は1回の転職で100万円以上年収を増やすのも難しくないですね。
コメントを残す