薬剤師派遣のマージン35%は、本当にボッタクっているのか?

派遣会社にボッタクられてると嘆く薬剤師も多いですよね。確かに、派遣会社の取り分は35%もあり、調剤薬局から見た負担は決して少なくありません。でも、本当に派遣会社は調剤薬局や薬剤師からボッタクっているのでしょうか

  • 「派遣薬剤師の時給2400円だった場合、派遣会社はいくら取るのか…」
  • 「個人薬局に派遣したいのに、マージン目的に大手ばかり紹介される…」
  • 「派遣だと派遣会社にボッタクられるから、パートで働く方が良い…」

結論から伝えると、派遣会社はボッタクっている訳ではありません。

薬剤師業界に限らず、派遣会社の取り分30〜35%は妥当なマージン率です。なぜならば、派遣会社にも運営費が発生するからです。社会保険料や福利厚生(教育や研修)、有給休暇や産休や育休にも経費が使われます。実質的に、派遣会社の営業利益となるのは1.2%程度です。

パートと比較すると、派遣の時給は500円も高くなりますそのため、派遣会社に支払う手数料35%を含めると、調剤薬局の人件費負担はパートの2倍もあります。

人件費負担が2倍でも、派遣が利用されるのは必要不可欠な存在だからです。

派遣薬剤師の需要が高い理由は、正社員やパートで足りないシフトを埋めるためです。IT業界や自動車業界など全業種に言える事だが、適切な時期に適切な数の人材を確保するのがビジネスで1番難しいです。人材が集められなければ、薬局をオープンする事もできません

派遣会社は、全国の薬局に必要な人材を供給するために必要です

ここでは、派遣会社ごとの薬剤師のマージン率を紹介します。また、マージン率が低い会社を選ぶことのデメリットも紹介します。私たち薬剤師は、マージン率だけで派遣会社を選ぶべきではありません。マージン率が低い会社は、営業力が弱い小規模な派遣会社が多いからです。

派遣のマージン率を知りたい人向け...
  1. 薬剤師派遣のマージン率は、30〜35%もある?
  2. マージン率が低い派遣会社を選ぶデメリットは?
  3. 薬剤師の派遣やパートで、高時給を探す方法は?

薬剤師は派遣会社からボッタクられているのか…

派遣会社にボッタクられていると嘆く薬剤師は多いですね。

Aさん)派遣会社の取り分はどれくらいなのか…

派遣薬剤師の賃金について。例えば派遣薬剤師の時給が2400円だった場合、薬局からその派遣会社に支払う額はいくらになるんでしょうか?マージンやら手数料やら含めると3000円くらいですか?だいたいで良いので教えて下さい。

参考:Yahoo知恵袋

薬剤師派遣の業者の取り分の相場を教えてください。例えば、福井県の高額派遣で労働者の取り分が4500/時のときですと、業者の取り分の相場はいくらくらいなのでしょうか。およそでいいので教えてください。

参考:Yahoo知恵袋

全業種平均で派遣会社の取り分は、30%程度が相場になります。薬剤師の時給が2,400円だと、薬局が支払う時給は3,400円、派遣会社の取り分は1,000円です。薬剤師の時給が4,500円だと、薬局が支払う時給は6,400円、派遣会社の取り分は1,900円です。

Bさん)個人薬局ではなくなぜか大手ばかり紹介される…

紹介会社のバックマージンについて…薬剤師をしています。転職の際、紹介会社を利用したのですが、なぜか大手チェーン薬局ばかり勧められます。規模の小さい薬局希望だと伝えています。これは大手のほうがバックマージンが大きいからでしょうか?

参考:Yahoo知恵袋

基本的には、マージン率の高低で派遣先を紹介しません。どこに紹介しても、マージン率は30%前後で大した差にはならないからです担当者の都合で、大手案件を選んでいる可能性が高いですね。担当者は、大手薬局に人脈を作った方が有利だと考えているかもしれません。

派遣会社を利用する際には、複数利用した方が自分に適した求人を見つけられます派遣会社1社だけでは、良い担当者さんに巡り逢えるとは限らないからです。

Cさん)薬剤師をボッタクらない派遣会社はどこか…

派遣登録したいと考えているのですが、どこもどれもみんな何かしら悪く言っていて、どこに登録すればいいのかわかりません。詐欺じゃない、対応のいい派遣会社はどこですか?それと、派遣はお給料からいくらか取られるのですか?それなら普通に働いた分だけもらえるアルバイトの方がよくないですか?※ちなみに希望的には月30万は稼ぎたいです。

参考:Yahoo知恵袋

マージン率が高い派遣会社が、ボッタクリとは限らないですね。マージン率が高い会社は、大手派遣会社が多く派遣社員へのサポートが充実しています

薬局に直接雇用されるパートよりも、派遣で働いた方が時給は500円程度高くなります時給2500円のパートで月160時間(8時間×20日)働いたら、月給は40万円です。時給3000円の派遣で働いたら、月給は48万円になりますね。

ボッタクリと言われる派遣会社だけれども、薬局から需要が高いのは事実ですね

では、私たち薬剤師は本当に派遣会社にボッタクられているのでしょうか。また、ボッタクられないためには、マージン率が低い会社を選択すれば良いのでしょうか?

派遣会社のマージン35%は、ボッタクっているのか?

薬剤師派遣のマージン率や派遣会社の選び方を紹介します。

その1:薬剤師派遣のマージン率は「30〜35%」?

一般社団法人日本人材派遣協会によると、派遣先からもらう派遣料金のうち、派遣会社のマージン率は30%で約7割が派遣スタッフに給料として支払われています。マージン率は会社や職種によって違います。

参考:派遣会社のマージン率ってどれぐらい?

派遣会社のマージン率は、一般的には30%前後が相場です。薬剤師業界の派遣は、業界全体より少し高めで30〜35%になります。

例えば、派遣先薬局が月64万円(時給4,000円)を派遣会社に支払う案件があります。薬剤師の給料は70%の44.8万円(時給2,800円)、派遣会社の取り分は30%の19.2万円(時給1200円)ですね

なぜ、30%も派遣会社に支払う必要があるの?」と思った人もいますよね。

薬剤師業界に限らず、IT業界や自動車業界、建築業界で多くの技術者が必要とされています。企業からすれば、適切な時期に適切な数の人材を確保するのが1番難しいです。企業は人材を確保しなければ、そもそも事業として成り立たないですね。

薬剤師業界は、正社員やパートで足りないシフトを埋めるために派遣社員を利用します。そのため、薬剤師派遣の方が、正社員やパートよりも時給が高いです。薬局経営者から見たら、パートよりも2倍近い人件費を派遣に支払います

薬剤師が稼いだ売上の3割も派遣会社が取るのは、ボッタクリではないでしょうか?

その2:薬剤師は派遣会社に3割も「ボッタク」られてる?

派遣会社 平均マージン率 派遣求人数 平均時給
ファルマスタッフ 37.7% 5,322件 3272円
クラシス 35.3% 6,076件 3373円
ファルメイト 34.0% 3769件 3233円
アプロドットコム 30.3% 7,862件 3433円
お仕事ラボ 32.0% 825件 3431円

薬剤師業界のマージン率は、業界平均よりも少し高くなります。また、マージン率は派遣会社によっても違います。薬剤師が稼いだ売上の3割を、派遣会社がピンハネしている」と思った人もいますよね

派遣会社の取り分が、そのまま純利益になるわけではありません。派遣会社を運営するために、社会保険料や福利厚生、会社運営費に使われます。具体的には次の経費が掛かります。

  • 社会保険料(厚生年金、健康保険)
  • 有給休暇手当
  • 福利厚生費
  • 教育訓練費
  • 健康診断代(定期健康診断、雇い入れ時健康診断など)
  • 募集広告費
  • 営業担当や経理担当などバックオフィスの人件費
  • 本社・営業所の賃料などの固定費

諸経費を差し引いた1.2%程度が、派遣会社の利益になります。では、私たち薬剤師は、マージン率が低い会社を利用した方が良いのでしょうか?

実は、単純にマージン率の低さだけで、派遣会社を選ぶべきではありません。

その3:「マージン率が低い」会社を選ぶデメリットは?

マージンが低い会社のデメリットは...
  1. エージェントの営業力が弱く、全国に求人数が少ない
  2. 有給休暇や育休、産休などの福利厚生が弱い
  3. 柔軟に給与交渉に応じてくれない
  4. 教育や研修がなく、ブランク明けに向かない
  5. サポート内容が薄く、出向後にフォローしてくれない
  6. 評価制度がないため昇給がなく、交通費も支給されない

マージン率が高い会社が、単純に良い派遣会社とは限りません。

なぜならば、マージン率が低い会社は、営業力が弱い小規模な派遣会社が多いからです。全国展開する大手派遣会社は、良質な求人を扱う上に豊富な営業スタッフを抱えます。また、薬剤師に対してサポートを充実させるため、マージン率も高い傾向があります。

マージン率が低い会社を利用すると、有給や育休、産休を保障しない派遣会社もあります

薬剤師の求人は、地域や個別の求人によって派遣料金もマージン率も異なります。単純にマージン率が低い会社を選ぶのではなく、複数の派遣会社に登録した上で条件に合う求人を選択した方が良いですね条件に合う良い求人を選ぶ際に、マージン率を意識する必要はありません。

実は、マージン率が高い会社を選ぶ方が、逆に時給を増やすチャンスです。なぜならば、マージン率が高い派遣会社の方が、売上や資金に余力があるからです。また、営業の交渉力が強く、派遣先との給与交渉も柔軟に対応してくれます。

薬剤師派遣は参入者が少なく、3〜500円くらい時給を上げるのは難しくないです。では、私たち薬剤師が高時給の派遣やパート求人を探すには、具体的に何をすれば良いのでしょうか?

薬剤師の派遣・パートで高時給の求人の探し方は?

私たち薬剤師が、好条件で派遣やパートで働くにはどうすれば良いのでしょうか。

方法1:福利厚生や研修が充実してる派遣会社を選ぶ

派遣会社 求人数 有給条件 健康保険 教育制度
薬キャリ 57,673件 3ヶ月 21,250円
  • E-larningが活用できる
  • 認定薬剤師の取得はできない
ファルマスタッフ 60,737件 1年以上 24,250円
  • 入職導入研修
  • キャリア支援研修
  • スキルアップ講座
  • ファーマシーセミナー
  • ファルマスタッフDI室
  • JPラーニング
ヤクジョブ 95,599件 1年以上 24,000円
  • 入職導入研修
  • キャリア支援研修
  • スキルアップ講座
  • ファーマシーセミナー
  • MPラーニング受講

派遣やパートで働く際には、派遣会社選びが重要になります。

派遣会社を選ぶ際には、福利厚生や教育体制がしっかりしている会社を選ぶべきです例えば、有給を付与される条件は、薬キャリだと3ヶ月以上の就労だけです。対して、ファルマスタッフやヤクジョブでは、1年間の就労が条件ですね。

また、教育制度がしっかりしている派遣会社の方が良いですね

派遣会社で最も教育に力を入れてるのは、ファルマスタッフです。入職導入研修をはじめ、キャリア支援研修など、ブランクがある女性薬剤師にも支援を行っています。認定薬剤師の単位取得をサポートし、費用を全額サポートしてくれる派遣会社もあります。

方法2:時給4千円以上の派遣・パートを探す

公式サイト:薬剤師の求人・転職なら「ファルマスタッフ」

転職サイトを利用すれば、簡単に高時給の派遣・バイト求人を探せます。

転職サイトで求人検索すると、パートの全国平均2,196円よりも高収入の案件がたくさんありますね。派遣に限って言えば、6割以上の求人が時給3,000円以上です。「ファルマスタッフ」だと時給4000円以上の求人は22件、時給3000円以上は640件も見つかります。

薬剤師が少ない地域だと、平日で時給が4000円を超える求人もあります

まずは、自分が住んでいる地域で、高時給の案件がないか検索してみましょう検索条件に都道府県と希望時給を入力すれば簡単に探せますね。また、自分で探すよりも、キャリアコンサルタントに依頼した方が効率良く案件を探せます。

方法3:コンサルタントに高単価の案件を探してもらう

コンサルタントに依頼するメリットは...
  1. 公開求人と非公開求人から、高時給の案件を探してくれる
  2. 派遣やパートどちらが良いか、多角的にアドバイスしてくれる
  3. 地域内で案件がなくても、交通圏内で求人を探してくれる
  4. 勤務地や条件に合わせて、求人をスクリーニングできる
  5. 条件に納得できなければ、担当者に給与交渉してくれる
  6. 薬事師専門の転職プロから、客観的なアドバイス得られる

派遣やパートの案件を探す際には、コンサルタントに依頼した方が効率良く探せます。

コンサルタントに依頼すると、一般に公開されてない非公開求人からも案件を探してくれます転職サイトやハローワーク、町の求人情報だけでは限界がありますね。地域内で高時給の案件がなくても、交通圏内で条件に合う求人をリストアップしてくれます

また、細かく条件を設定できるメリットも大きいです。「〇〇駅から徒歩20分圏内」「時給3500円以上」「週3日労働〜」など、条件に合致する求人を探してくれます。給与条件が合わない場合も、キャリアコンサルタントが給与交渉してくれます。

まとめ:薬剤師派遣のマージン35%は妥当なの?

マージンが低い会社のデメリットは...
  1. エージェントの営業力が弱く、全国に求人数が少ない
  2. 有給休暇や育休、産休などの福利厚生が弱い
  3. 柔軟に給与交渉に応じてくれない
  4. 教育や研修がなく、ブランク明けに向かない
  5. サポート内容が薄く、出向後にフォローしてくれない
  6. 評価制度がないため昇給がなく、交通費も支給されない

派遣会社はボッタクっている訳ではないですね。薬剤師業界に限らず、派遣会社の取り分30〜35%は妥当なマージン率です。なぜならば、派遣会社にも運営費が発生するからです。社会保険料や福利厚生(教育や研修)、有給休暇や産休や育休にも経費が使われます。

実質的に、派遣会社の営業利益となるのは15%未満ですね

パートと比較すると、派遣の時給は500円も高くなりますそのため、派遣会社に支払う手数料35%を含めると、調剤薬局の人件費負担はパートの2倍もあります。人件費負担が2倍でも、派遣が利用されるのは必要不可欠な存在だからです。

派遣薬剤師の需要が高い理由は、正社員やパートで足りないシフトを埋めるためです。IT業界や自動車業界など全業種に言える事だが、適切な時期に適切な数の人材を確保するのがビジネスで1番難しいです。人材が集められなければ、薬局をオープンする事もできません

派遣会社は、全国の薬局に必要な人材を供給するために必要です私たち薬剤師は、マージン率だけで派遣会社を選ぶべきではありません。マージン率が低い会社は、営業力が弱い小規模な派遣会社が多く使いやすいとは限りません。

大手派遣会社を利用した方が、交渉力や資金に余力があるため時給を上げやすいです

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