テクニシャン制度を導入したら、薬剤師の需要が減ると考える声は多いです。なぜならば、薬剤師の既得権益がなくなり、国家資格を取得しなくても調剤業務ができるからです。しかしながら、テクニシャン制度を導入したら、本当に日本の仕事はなくなるのでしょうか?
- 「テクニシャン制度を導入したら、薬剤師の需要は減る…」
- 「現状は薬剤師じゃないに、事務がピッキングさせられる…」
- 「日本で調剤技師の仕事は、パート薬剤師が担っている…」
テクニシャン制度を導入すると、薬剤師の需要はさらに高くなります。
なぜならば、付加価値が低い調剤業務から薬剤師が解放され、より専門知識を活かした対人業務にシフトできるからです。厚生労働省が調剤業務を分離する目的は、実は人工知能による完全自動化が背景にあります。
欧米諸国では、調剤業務を専門に行う「調剤技師(テクニシャン)」がすでにいます。
オックスフォード大学の論文によると、調剤技師は人工知能の普及によって92%の確率で消えると言います。日本も人工知能の普及を考えると、薬剤師から調剤業務を分離する必要性が出てきたと言えます。
その結果、厚生労働省はテクニシャン制度を検討していますね。薬剤師の格差は広がっているが、制度が導入される事でより格差が拡大しますね。私たち薬剤師も、調剤技師にはできない領域で専門性を活かす必要があります。
ここでは、テクニシャン制度が導入される背景や導入後の薬剤師の年収を紹介します。制度導入後は欧米化が進み、年収1千万円を超える薬剤師も増えます。
- テクニシャン制度が、薬剤師に与える影響は?
- テクニシャン制度を導入したら、薬剤師の年収は増える?
- 薬剤師が付加価値を付けて、高収入を得る方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
テクニシャン制度を導入したら、薬剤師はどうなるの…
テクニシャン制度を導入したら、給料が減ると不安になる薬剤師は多いです。
Aさん)テクニシャンを導入したら薬剤師の需要は減る…
調剤業務において、テクニシャンが導入されたら薬剤師市場はどう変化すると思いますか?よく言われてるのが、薬剤師の仕事の一部を任せるのだから、薬剤師の需要が減るとのことです。ですが、私はその事に違和感があります。
思い返せば、登録販売者を導入した時も、ドラッグストアから薬剤師が激減し、薬剤師の需要が減ると言われてました。しかし、年月が経ち蓋を開けてみれば、郊外を中心に調剤併設型のドラッグストアが急増し、薬剤師の需要はむしろ増えてます。しかも、どこも人手不足です。
これらの事から、薬剤師が仕事の一部を手放したとしても、会社とは利益拡大を目指すものですから、新たな事業拡大により、需要急増するはずだと考えてます。おそらく、郊外などに調剤併設型食品スーパーやコンビニが急増するでしょう。また、24時間調剤対応の場所が増え、夜勤薬剤師も増えてくると思います。
そうなると、やっと面分業が本格化すると予想されます。薬局の経営はますます厳しくなると思います。給料の面では薬学部が少なく、慢性的に薬剤師不足が続いてる地方では事業拡大に伴い、破格の給料を提示することもあると思います。(実際に、遠隔地手当などが月に5〜10万ほど支給されてるとこもあります。)
色々書いて、まとまりが悪い質問になってしまいましたが、皆さんは薬剤師市場の変化について、どう予想されますか?
参考:Yahoo知恵袋
高度な専門知識を要する薬剤師の需要が無くなることはないですね。また、テクニシャン制度が普及しても、薬剤師の需要は増し米国並みに高収入を得られます。
ただし、人工知能が調剤業務を自動化するようになると、付加価値が低い薬剤師、調剤技師(テクニシャン)、登録販売者は淘汰されます。オックスフォード大学の論文では、調剤技師の仕事は92%の確率で消えると結論付けています(参考:薬剤師がAIに仕事を奪われる確率は1%)。
厚生労働省はこの数値を知った上で、テクニシャン制度を導入しようとしてますね。
Bさん)薬剤師じゃないのにピックキングさせられる…
調剤薬局の事務員です。薬剤師でもないのにピッキング、水剤、散剤、軟膏を混合する、一包化する、薬の在庫管理、発注、もちろん事務員ですからレセコン使っての処方入力は毎日です。薬剤師不在中でも薬局は開いています。おかしいですよね?皆さんどう思いますか?
参考:Yahoo知恵袋
日本の薬事法では、調剤や調合ができるのは薬剤師だけです。しかしながら、実際の現場では薬局事務員にピッキングさせる職場も少なくありません。このような問題を解決するためにも、厚生労働省はテクニシャン制度を導入を検討しています。
テクニシャン制度が導入されたら、調剤業務は調剤技師が担いますね。
Cさん)日本で調剤技師の仕事はパートが担っている…
薬剤師の仕事が人工知能A.I.に奪われるかどうかについて調べていたのですが、オクスフォード大学の教授が算出したという702の職業のリスト(Carl Benedikt Frey and Michael A. Osborne THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?)には薬剤師関連のイングランドでの国家資格が取って代わられない順番に3種類ありました。
- 54位 0.012% Pharmacists (薬剤師)
- 394位 0.72% Pharmacy Aides (?)
- 562位 0.92% Pharmacy Technicians (高卒+職業訓練校で取れる国家資格)
ファーマシストは処方箋が書ける(日本は書けない)。ファーマシーテクニシャンは処方箋を書くことはできないけど、調剤、処方箋のチェックや、患者の薬のカウンセリングができるそうです。
イギリスと日本とでは色々と違うものだと思いますが、日本でいう薬局のパート薬剤師さんの仕事内容ってファーマシーテクニシャンに当たると考えていいんでしょうか?つまり、日本の場合は結構な数の薬剤師の雇用は10〜20年後にはAIに取って代わる可能性があるということですか?現在のの高校生が2025年ごろに卒業すると、上記の論文の12年後になります。今から薬学部に行くのはコスパ悪いでしょうか?
参考:Yahoo知恵袋
日本でファーマシーテクニシャン (調剤技師)という職種はありません。調剤技師に当たる仕事は、若手薬剤師、パート薬剤師、もしくは薬局の事務が担っています。オックスフォードの研究によると、調剤技師と調剤事務の仕事は、近い将来に人工知能に置き換わると言います。
厚生労働省は薬剤師から付加価値の低い調剤業務を切り離すために、テクニシャン制度を検討しています。テクニシャン制度が導入される事で、日本の薬剤師の需要はさらに高くなります。欧米諸国と同様に、年収1千万円を超える薬剤師が増えます。
では、テクニシャン制度を日本で導入したら、具体的にはどのような影響があるのでしょうか?
「テクニシャン制度」が薬剤師に与える影響は?
厚生労働省や日本薬剤師会では、テクニシャン制度を導入する議論が活発化していますね。では、どのような経緯でテクニシャン制度の導入を考えているのでしょうか?
その1:導入背景は「対人業務」を重視するため?
- 「かかりつけ薬剤師」で、対物業務から対人業務へシフトする
- 付加価値が低い調剤業務から、薬剤師を解放できる
- 医療費が高騰し、薬剤師が調剤業務すると割りに合わない
- 人工知能の普及で、近い将来に調剤業務は自動化される
- 調剤技師(テクニシャン)を増やす事で、薬剤師不足を解消できる
- 医療分業の欧米諸国では、薬剤師の調剤業務は分離されている
厚生労働省は、薬局ビジョンで対人業務へのシフトを促しています。最大の目的は、付加価値が低い調剤業務から薬剤師を解放するためです。
日本の医療費は年々高騰し、2018年に42兆億円を超えましたね。今あるリソースを有効活用しなければ、日本経済は財政破綻に陥ります。調剤業務は近い将来に人工知能に代替されるため、薬剤師から切り離した方が財政的にもメリットは大きいです。
また、テクニシャン制度は新しい制度ではないですね。
日本と違い欧米諸国では調剤業務は、専門の調剤技師が担当しています。元々日本の医療分業化は欧米を参考しているため、テクニシャン制度を導入するのは自然な流れですね。では、テクニシャン制度を導入したら、薬剤業界はどう変わるのでしょうか?
その2:制度導入したら「薬剤業界」はどう変わる?
- 調剤技師が増え、薬剤師不足の解消に役立つ
- 調剤業務の価値が下がり、医療費削減に貢献できる
- 薬剤師は、専門知識を活かして対人業務に専念できる
- 仕事ができない薬剤師は、価値が下がり淘汰される
テクニシャン制度が導入されたら、薬剤師業界は大きく変わりますね。
国家資格ではない調剤技師が増える事で、地方の薬剤師不足の解消にも役立ちます。調剤技師が調剤業務を担当する事で、薬剤師は本来の対人業務に専念できますね。薬剤師の管理下で働く調剤技師が増え、少ない薬剤師でより多くの処方箋を捌けます。
ただし、テクニシャン制度を導入する事で、デメリットもありますね。
薬剤師の調剤業務が完全に分離されると、仕事ができない薬剤師の価値は下がります。今現在でも薬剤師の格差は広がっているが、今後はさらに格差が拡大します。では、テクニシャン制度が導入されると、私たち薬剤師の給料はどのように変わるでしょうか?
その3:制度導入後の年収は「1千万円」を超える?
職種 | 日本 | アメリカ |
---|---|---|
医師 | 1160.1万 | 2300〜2500万 |
看護師 | 478.8万 | 700万前後 |
薬剤師 | 542.5万 | 1375.7万 |
調剤技師 | なし | 351.8万 |
参考:米国薬剤師は年収1375万円|日本とアメリカの違い3つは?
テクニシャン制度導入後の年収は、米国の薬剤師の年収から予測できますね。
米国で薬剤師の年収が高い理由は、日本にはない調剤技師の存在があるからです。付加価値が低い調剤業務を薬剤師から分離する事で、米国薬剤師は専門知識を活かした対人業務に専念できます。日本では調剤業務も行うため、両業種の中間の給料しか得られません。
テクニシャン制度を導入した場合、仕事ができる薬剤師とできない薬剤師で格差は拡大します。仕事ができる薬剤師が年収1千万円を超える一方で、できない薬剤師の給与は300万円台まで落ちると予測できますね。
なぜならば、調剤技師と仕事を取り合う関係にあるからです。
格差が大きいからといって、テクニシャン制度を導入しない選択肢はありません。なぜならば、テクニシャン制度に関わらず、人工知能で調剤業務が自動化するからです。テクニシャンや「かかり付け薬剤師」の移行は、生き残るために厚生労働省が用意した道でもあります。
参考:薬剤師がAIに仕事を奪われる確率は1%|調剤の92%は消滅?
私たち薬剤師が年収を増やすには、調剤事務や調剤技師と差別化する必要があります。では、私たちが給与を増やすには、具体的にはどうすれば良いのでしょうか?
付加価値を付けて高収入を得る方法は?
私たち薬剤師が年収を増やすには、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。
方法1:大手ドラッグストアでビジネス経験を積む
ドラッグストア | 年収 | 初年度年収 | 福利厚生 |
---|---|---|---|
イオン薬局 | 〜800万円 | 年430万円~550万円、賞与120万円 | ◎ |
ウエルシア | 〜700万円 | 年517万円 | ○ |
マツモトキヨシ | 〜700万円 | 年4,585,910~5,055,000円 | ◎ |
ツルハドラッグ | 〜600万円 | 月286,640~321,640円(薬剤師手当込)賞与年2回 | ○ |
クオール薬局 | 〜600万円 | 月321,000円~381,000円 | ◎ |
スギ薬局 | 〜600万円 | 新卒月29万3000~月31万8000円 | ○ |
年収を増やす1番簡単な方法は、大手ドラッグスアに就職する事です。
大手ドラッグストアは、薬剤師手当月8〜12万円支給される上に、時間外や夜勤割増賃金が支払われます。そのため、経験が浅い薬剤師でも年収500万円を稼げます。業界大手のウエルシアに就職すると、初年度でも年収は517万円もあります。
ドラッグストアは、店舗数が急拡大してるため常に薬剤師が足りてません。そのため、求人募集に応募すれば誰でも面接に合格できます。
ただし、ドラッグストアのデメリットは、拘束時間が長く仕事が忙しい事です。また、初年度から給料が高い分昇給額も限られます。ドラッグストアで順調に昇給するには、管理薬剤師、店舗責任者、エリアマネージャーへと昇進する必要があります。
参考:ドラッグストアの年収は600万円|デメリットや向いている人は?
方法2:調剤だけでなく「管理薬剤師」を目指す
- 現場をマネジメントできる人材は、民間企業で需要が高い
- 調剤薬局でも管理薬剤師になると、年収600〜700万円になる
- ドラッグストアで、店舗責任者になると年収は700万円以上
- 管理薬剤師になると、製薬会社からも需要が高い
薬剤師に必要な基礎知識を習得したら、現場をマネジメントできる管理薬剤師を目指しましょう。管理薬剤師という肩書を貰えれば、現場責任者として責任ある仕事ができます。
調剤薬局やドラッグストアで管理薬剤師になると、その店舗の最高額の給与を得られますね。
都内の薬局であれば年収は600万円、地方の年収が高い地域なら700〜900万円、ドラッグストアでも年収700万円以上を得られます。また、調剤経験がある上に現場をマネジメントできる人材は、製薬会社からも需要が高いですね。
管理薬剤師として働いた経験があれば、今後も需要は伸び続けます。
方法3:薬剤師の数が少ない「地域」で働く
- 薬剤師が少ない地方ほど、薬剤師の給料は高い
- 高齢化社会で老人が増え、地方ほど薬剤師の需要は高い
- 東京は平均年収620万に対して、薬剤師は570万だけ
- 奈良県の平均年収は777万円、静岡県は684万円もある
- 同じ県内でも都市を離れるだけで、100〜200万円も変わる
薬剤師の数が少ない地域で働く方が、ホワイト求人は多くなります。
なぜならば、薬剤師が辞めたら運営できないため、給与や福利厚生が手厚くなるからです。薬剤師の数が多い都市では、代わりの人材がすぐに見つかりますね。そうなると、薬剤師の労働条件も悪くなります。
薬剤師が少ない地域では、年収800万円以上で募集する求人もあります。また、同じ県内でも都市部を少し離れるだけでも違います。例えば、福岡市内の調剤薬局では年収500万円、市内から少し外れた地域に行くと年収800万円で募集してます。
住む場所を変えるだけで、簡単に労働条件や年収を増やせるのは薬剤師の特権です。薬剤師が余っている都市部よりも、高齢化が進む地域社会に貢献した方が私たちの給与も増えます。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
まとめ:テクニシャンを導入したらどうなる?
- 調剤技師が増え、薬剤師不足の解消に役立つ
- 調剤業務の価値が下がり、医療費削減に貢献できる
- 薬剤師は、専門知識を活かして対人業務に専念できる
- 仕事ができない薬剤師は、価値が下がり淘汰される
テクニシャン制度を導入すると、薬剤師の需要はさらに高くなりますね。なぜならば、付加価値が低い調剤業務から薬剤師が解放され、より専門知識を活かした対人業務にシフトできるからです。厚生労働省が調剤業務を分離する目的は、実は人工知能による完全自動化が背景にあります。
欧米諸国では、調剤業務を専門に行う「調剤技師(テクニシャン)」がすでにいます。
オックスフォード大学の論文によると、調剤技師は人工知能の普及によって92%の確率で消えると言います。日本も人工知能の普及を考えると、薬剤師から調剤業務を分離する必要性が出てきたと言えます。
その結果、厚生労働省はテクニシャン制度を検討していますね。薬剤師の格差は広がっているが、制度が導入される事でより格差が拡大しますね。私たち薬剤師も、調剤技師にはできない領域で専門性を活かす必要があります。
制度導入後は欧米化が進み、年収1千万円を超える薬剤師も増えます。格差が大きくなるけれども、仕事ができる薬剤師にとっては稼ぎやすい業界に変わりますね。
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