薬学部は増え続け、2016年には大台の30万人を超えました。薬剤師の数が増え過ぎたと主張する一方で、まだ足りていないと主張する声もあります。同じ薬剤師業界にいながらも、どうして真逆の主張があるのでしょうか?
- 「薬学部の合格者数は9479人、今年こそ薬剤師は飽和する…」
- 「薬学部は増え続けてるのに、なぜ不足を解消できないのか…」
- 「薬剤師不足の地方だと、年収800万円もあるって本当なの…」
薬剤師は供給過剰にある意見と、人材不足の意見が対立していますね。
意見が対立する理由は、薬剤師は極端に足りている地域と時間帯、足りていない地域と時間帯があるからです。東京は10万人あたりの薬剤師が最も多い地域です。しかしながら、全国平均に満たない都道府県は36もあります。
青森県の人口当たりの薬剤師数は、東京都の3分の2しかありません。そのため、物価差があるにも関わらず、青森県の薬剤師の給与は東京よりも100万円も高いですね。
また、女性が多い薬剤師業界は、9〜15時間帯が最も供給が多いです。そのため、夕方や夜間の薬剤師の時間給は、3〜4千円と高額になります。ある夜勤専門バイトでは、薬剤師の日給は4万円を超えるほどですね。
実は、薬剤師の資格保有者の数はもう十分に足りています。しかしながら、地域や時間帯で偏重が大きく、薬剤師不足に陥っている地域や職場が多いと言えます。
ここでは、薬剤師数は満たしてるが、足りなくなる条件を紹介します。また、薬剤師不足を利用して、薬剤師が高収入を稼ぐ方法も紹介します。薬剤師は賢く働くことで、簡単に平均以上の年収が得られる職種だと分かりますね。
- 薬剤師数は足りているが、条件によっては薬剤師は足りない?
- 高齢者が増え、在宅訪問の需要が急激に増している?
- 薬剤師不足を利用して、高収入を得る方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
薬剤師は足りないって聞くけど本当なのか…
薬剤師は過剰にあると言われることもあれば、足りないと言われることもあります。実際のところはどうなのでしょうか?
Aさん)薬剤師は9479人も増え今年こそ飽和する…
薬剤師は今年9479人も合格者を出しました。これで薬剤師は飽和することが確定しました。今までは8000人台くらいだったのが今年は1万近くの人数です。さらに薬局は院内調剤に移行していくのが決まっており薬局は大量に倒産、失業する薬剤師で溢れる。薬剤師に未来は完全に無いですよね?これから薬学部に行く高校生はよく考えた方がいい。ちなみに2037年には13万の薬剤師が失業している統計が出ている。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師が過剰になるという話は、実は20年以上も前から言われています。
2016年に薬剤師の数は、大台の30万人を超えました。そして、現在も薬剤師の数は右肩上がりで増え続けています。それでも、現時点でも薬剤師は足りてないと言われていますね。その最大の理由は、高齢者の数が増え続け、医療や医薬品の需要も増え続けてるからです。
Bさん)薬学部は増え続けてるのになぜ解消できない…
【質問】薬剤師不足ですけど、薬学部は沢山できたのに、なぜ解消できないでしょうか
【回答】薬局が増えている、薬局の仕事が増えているからでしょう。背景には人口の高齢化があります。高齢者は薬を服用するのが常態になる人が多い、そういう高齢の方が増えています。ドラッグストアのような薬店でも調剤薬局業務(医院の院外処方)を行うところが増えています。また複数の医療機関にかかる人も増えているので、それぞれで処方される薬のトータルを見るという仕事も増えています。これは院外処方で独立した立場の薬局薬剤師ならではの仕事でしょう。
高齢者の増加で在宅医療というスタイルも増えてきました。医師、看護師、薬剤師、介護ヘルパーのような専門知識を持つ人が、チームを組んで地域の高齢者宅を訪問するスタイルです。比較的新しい仕事でしょう。
医師にかかるようになるまえに未然に防ぐ、予防医療というのも盛んになってきました。栄養士の食事指導など健康の維持に関連する内容も含めて行うのに、調剤薬局が主体的に行っているケースもあります。薬局業務も増えています。
高齢化が急速に進んでいることと、マクロ経済的に医療費の高騰も大きな問題になっていてそれの対策と、両方で薬局と薬剤師業務が増えています。それに追いついてないということでしょう。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師の資格保有者の数を見ると、実はすでに需要は満たしています。しかしながら、薬剤師は女性が6割を占めるため、薬局に従事していない人も多いですね。薬剤師の需給関係は、時間帯と地域でも大きな偏重や格差があります。
Cさん)地方の薬剤師だと年収800万円もあるのか…
【質問】地方の薬剤師って年収800万とか求人がありますが本当でしょうか?
【回答】地方で薬剤師が不足してる地域だと、それくらいは出すでしょう。東京や神奈川でも交通便の悪いエリアはそれくらい出しますよ。東北や北海道の僻地に行けばもっと出すところもあります。
ただし、他の方が仰るように高い理由があります。普通の給与では薬剤師がこない。何故来ないのかと言うと、僻地過ぎてコンビニがない。スーパーもない。金融機関は郵便局だけ。下手すれば携帯の会社によっては圏外。年寄りは多いので薬局はそれなりに患者は来るが、一人調剤。当然休みはなく、週休1日で働く。
精神的、肉体的負担はかなりあります。辞めたくてもかわりの薬剤師が見つかるまで辞めさせてくれない。辞めたければかわりの薬剤師を連れてこいと言う薬局もあります。それらを納得の上で働くなら、お金も貯まるし、悪くはないと思います。
参考:Yahoo知恵袋
地方の薬剤師の給料が高いのは、単純に薬剤師の数が足りていないからですね。給料が高い代わりに、デメリットもたくさんありますね。ただし、働く場所を変えるだけで大きく給料を増やせるのは、薬剤師の特権ですね。
薬剤師は供給過剰だと言われる一方で、足りていないとも言われます。薬剤師が増え続ける中で、足りていないと言われる原因はなぜでしょうか?
薬剤師数は満たしてるが、条件によっては足りない?
単純に資格保有者の数で見ると、実は薬剤師はすでに足りています。しかしながら、それでも薬剤師が足りていない理由は、地域や時間帯など需給バランスが悪いからです。では、どのような条件で薬剤師は足りていないのでしょうか?
条件1:都市以外の「36都道府県」では足りていない?
人口10万人当たりの薬剤師数を見ると、東京都の薬剤師は余っている事が分かります。また、平均以上を満たす都道府県は11しかありません。
残りの36都道府県では、薬剤師が足りていない事が分かりますね。その中でも特に足りていないのは、奈良県と静岡県と青森県です。薬剤師が足りていない地域は需要が高く、平均年収も高いですね。
奈良県の平均年収は777.3万円、静岡県は684.6万円、青森県は670.6万円です。青森県の平均年収は、全国44位で371万円だけです。物価差を考えたら、地方薬剤師の相対価値は年収1千万円以上ですよね。
薬剤師は地域格差が最も大きい職種のひとつです。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
条件2:主婦層が働く「9〜15時間帯」では足りない?
公式サイト:薬剤師の求人・転職なら「ファルマスタッフ」
- 薬剤師の6割は女性を占め、結婚や出産を機に時短労働に変わる
- 既婚女性が働く9〜15時帯は、薬剤師の供給が最も増える
- 派遣やバイトは時給が高く、既婚女性に人気が高い
- 夕方以降の薬剤師の時給は、3千円を超える求人も多い
- 夜勤専門の求人を見ると、日給だけで4万円を超える案件もある
薬剤師不足は、時間帯によっても大きく変わります。
9〜15時間帯では、薬剤師の数は供給過剰になります。しかしながら、15時以降や深夜帯になると逆転し、需要が大きく伸びます。実際にドラッグストア の求人を見ると、夕方以降の時給は3千円と割高です。また、夜勤専門の求人を見ると、日給4万円で募集するものもあります。
夕方と夜間の時給が高い理由は、薬剤師の6割を女性が占める事に原因があります。
家庭がある既婚女性が働ける時間帯は、薬剤師は供給過剰になります。しかしながら、それ以外の時間帯では薬剤師は不足しますよね。薬剤師になる女性は安定志向が強く、20代で早々に結婚する女性も少なくありません。
日給4万円を超える夜勤求人は、薬剤師不足の現状を端的に表しています。
条件3:高齢者が増え「在宅訪問」の需要が増してる?
公式サイト:薬剤師の求人・転職なら「ファルマスタッフ」
- 地方で超高齢化社会が進み、在宅訪問の重要性が増している
- 「かかりつけ薬剤師」で、政府は地域密着医療を後押してる
- 在宅訪問できる薬剤師を募集する案件が増えた
- 在宅訪問した方が、薬局は点数を稼げる
- 在宅訪問経験がある薬剤師は少なく、抵抗を示す人も多い
超高齢化社会に突入し、在宅訪問の案件が増えています。
在宅訪問は、老人ホームや介護施設に訪問する場合と、個人宅に訪問する2つのケースがあります。施設に訪問する場合は医師と同行し、外来の空き時間に薬を調剤します。個人宅の訪問は、お薬を定期的に届け残薬の確認や服薬指導を行います。
在宅訪問は、基本的には電話で24時間対応も必要となります。
そのため、在宅訪問に難色を示す薬剤師は多いですね。調剤報酬上は高い点数をつけられるが、薬剤師の給与に直接キックバックされる訳ではないですね。ただし、需要が高い割に供給が少ないため、高年収で募集する求人が多いです。
ある静岡県の案件は在宅に注力し、年収600〜850万円で人材を募集していますね。
以上のように、時間帯や条件によって、薬剤師の需給バランスは大きく変わります。では、私たち薬剤師が人材不足を利用して、高い収入を得るにはどうすれば良いでしょうか?
「薬剤師不足」を利用して、高収入を得る方法は?
薬剤師不足を利用して稼ぐ方法を紹介します。
方法1:夜勤手当と「時間外労働」でたくさん働く
- ドラッグストアなら、20代でも年収600万円稼げる
- 経験がない薬剤師でも、月10万円の薬剤師手当がある
- 24時間営業も多く、夜勤や時間外で最大50%割増される
- ドラッグストアの店舗数の拡大で、薬剤師が足りてない
夜勤や時間外でとにかく稼ぎたい人は、ドラッグストアがお勧めです。
ドラッグストアでは、月10万円の薬剤師手当があるため、経験がない若手でも給与が高いです。例えば、業界最大手のウエルシアやマツキヨの新卒年収は、450〜500万円です。夜勤手当や時間外労働も付くため、20代でも年収600万円以上稼げますね。
ドラッグストアは24時間営業が多い上に、薬剤師の数が足りていません。労働時間を増やして、たくさん給料を稼ぎたい人は、ドラッグストアを検討してみましょう。調剤薬局が併設する店舗も多く調合業務の経験を積めます。
ただし、仕事が忙しすぎるのが大きな難点ですね。
方法2:薬剤師の数が少ない「地域」で働く
- 薬剤師が少ない地方ほど、薬剤師の給料は高い
- 高齢化社会で老人が増え、地方ほど薬剤師の需要は高い
- 東京は平均年収620万に対して、薬剤師は570万だけ
- 奈良県の平均年収は777万円、静岡県は684万円もある
- 同じ県内でも都市を離れるだけで、100〜200万円も変わる
薬剤師の数が少ない地域で働く方が、ホワイト求人は多くなります。
なぜならば、薬剤師が辞めたら運営できないため、給与や福利厚生が手厚くなるからです。薬剤師の数が多い都市では、代わりの人材がすぐに見つかりますね。そうなると、薬剤師の労働条件も悪くなります。
薬剤師が少ない地域では、年収800万円以上で募集する求人もあります。また、同じ県内でも都市部を少し離れるだけでも違います。例えば、福岡市内の調剤薬局では年収500万円、市内から少し外れた地域に行くと年収800万円で募集してます。
住む場所を変えるだけで、簡単に労働条件や年収を増やせるのは薬剤師の特権です。薬剤師が余っている都市部よりも、高齢化が進む地域社会に貢献した方が私たちの給与も増えます。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
方法3:夜勤専門で「高日給」の職場で働く
- 夜勤バイトは時給が高く、最大で日給4万円で募集している
- 月20日労働すれば、月給は60〜80万円も稼げる
- 週末の2日間だけ働いても、月給は32万円も稼げる
- 夜勤アルバイトは、結婚や出産後の女性薬剤師に人気が高い
- 最近は未婚の若い薬剤師も、夜勤専門にシフトしている
薬剤師で1番効率良く稼ぐ方法は、高日給の夜勤だけ働く事です。
日給4万円の夜勤バイトを月20日入れたら、月給は80万円になりますね。仮に、週末2日だけ働いたとしても、月32万円も得られます。残りの週5日は働かずに稼げるため、副業ビジネスや趣味に没頭できますね。
高時給の夜勤バイトは、正社員を辞めた女性が重宝しています。私の薬学部時代の友人も、結婚や出産を機に夜勤バイトだけにシフトします。なぜならば、夜勤アルバイトだけの方が効率良く稼げるからですね。平日は家事や育児を行い、週末の1日だけ夫に任せて外に出れば良いですね。
最近では高日給に目をつけて、結婚していない若い女性も夜勤専門にシフトしています。
まとめ:薬剤師は本当に足りてない理由は?
- 都市や一部の地域以外で、36都道府県で薬剤師が足りてない
- 人口当たりの青森県の薬剤師数は、東京都の3分の1だけ
- 奈良の平均年収は777万、静岡県は684万、青森県は670万
- 薬剤師の6割は女性を占め、結婚や出産を機に時短労働に変わる
- 既婚女性が働く9〜15時帯は、薬剤師の供給が最も増える
- 派遣やバイトは時給が高く、既婚女性に人気が高い
- 夕方以降の薬剤師の時給は、3千円を超える求人も多い
- 夜勤専門の求人を見ると、日給だけで4万円を超える案件もある
薬剤師は供給過剰にある意見と、人材不足の意見が対立していますね。意見が対立する理由は、薬剤師は極端に足りている地域と時間帯、足りていない地域と時間帯があるからです。東京は10万人あたりの薬剤師が最も多い地域です。しかしながら、全国平均に満たない都道府県は36もあります。
青森県の人口当たりの薬剤師数は、東京都の3分の2しかありません。そのため、物価差があるにも関わらず、青森県の薬剤師の給与は東京よりも100万円も高いですね。
また、女性が多い薬剤師業界は、9〜15時間帯が最も供給が多いです。そのため、夕方や夜間の薬剤師の時間給は、3〜4千円と高額になります。ある夜勤専門バイトでは、薬剤師の日給は4万円を超えるほどですね。
実は、薬剤師の資格保有者の数はもう十分に足りています。しかしながら、地域や時間帯で偏重が大きく、薬剤師不足に陥っている地域や職場が多いと言えます。薬剤師は賢く働くことで、簡単に平均以上の年収が得られる職種だと分かりますね。
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