薬剤師の誤薬やうっかりミスが、重大な調剤事故に直結しますね。調剤薬局やドラッグストアでは、1人体制や重労働の負担が大きく、調剤事故が起こさないか不安を抱える薬剤師も多いです。では、実際に私たち薬剤師は、どれくらい事故を起こす確率が高いのでしょうか?
- 「薬剤師は年間でどれくらい、ミスや誤薬してるだろうか…」
- 「医師の処方通りに調剤しても、調剤事故になるのか…」
- 「誤薬の原因は1人体制だけど、現状を変えようとしない…」
日本医療機能評価機構によると、2014年のヒヤリハット事例は5399件です。薬剤師の調剤業務で最も多いミスは、「当事者の確認怠り」で77%を占めます。また、ヒヤリハットから重大な調剤事故に陥るのは、年間で30件程度と報告されてます。
薬剤師も人間なので、私たちがミスを完全に無くす事はできません。私たちが出来る事は、ミスをしない職場環境やシステムを構築する事ですね。ヒヤリハットの要因を分析すると、複数チェックや負担軽減するだけで、9割のヒヤリハットを防げる事が分かります。
また、冷静に数値を分析すると、私たちは過度に心配すべきでない事も分かります。
薬剤師1人が起こすヒヤリハットの確率は0.017%、薬剤師1人が起こす調剤事故の確率は0.0001%しかないからです。ブラック以外の職場で働けば、私たちが調剤事故に出くわす可能性は極めて低い事が分かりますね。
ここでは、薬剤師が起こすヒヤリハット事例と調剤事故の発生件数を紹介します。また、ヒヤリハットの発生要因から、うっかりミスや事故を減らす方法も紹介します。ブラック以外の職場で働けば、私たちが事故を過度に心配する必要はないですね。
- 薬剤師のヒヤリハット事例や調剤事故の発生件数は?
- 薬剤師の調剤で最も多い間違いは「当事者の確認怠り」?
- ヒヤリハットや調剤事故を減らす方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
薬剤師のミスや誤薬で、重大な調剤事故が怖い…
Aさん)医師の処方通り調剤しても調剤事故になるか…
医者が誤った薬を処方して患者が死亡した場合、一番責任が大きいのは次のうちどれ?
- 総合病院の場合は雇った病院
- 誤診、誤処方した医者
- 疑いもなく調剤した薬剤師
- 患者の自己責任
- その他
参考:Yahoo知恵袋
医師が誤って薬を処方した場合、1番責任が大きいのは医師ですね。しかし、薬剤師も処方監査の責任を負っているため、疑義照会しなかった薬剤師にも責任があります。実際に医者の処方ミスで患者が死亡したケースでは、ミスを見抜けなかった薬剤師も裁判で責任を問われてます。
新人で経験や知識が足りていなくても、責任は追求されますね。
Bさん)薬剤師1人体制で誤薬が多くて困ってる…
本音が言えなくて・・・医療関係で対薬剤師と事務の仕事をしてます。誤薬の多い薬剤師(店長)で困ってます。薬の監査はもともと、薬剤師の仕事となっているようでその薬剤師は事務員には監査は基本させません。うちの店舗は薬剤師1に対し事務1の体制です。別の♀薬剤師からは事務員に監査するようにうるさく言ってきます。勿論この薬剤師は事務員に監査をさせます。
今度ミーティングを開く予定ですが、本音を言えないので出たくありません。ちなみに私の意見は、薬剤師2人事務員1人体制にするか、今の人員体制で監査をさせるなら、事務員の給与を上げて責任を持たせるかです。
この♂店長薬剤師はもうひとりの♀薬剤師には頭があがりません。何かにつけて叱られてばかりです。また年配事務員にも頭が上がりませんので、この事務員には監査をさせているようです。よろしくお願いしますm(–)m
参考:Yahoo知恵袋
誤薬が多い調剤薬局は、いつもミスしていますね。薬剤師1人1人の意識ではなくて、システムに重大なエラーがあります。日本薬師会も主張するように、本来ならば薬剤師2人に対して事務1人が基本です。また、調剤する薬剤師と監査する薬剤師は別でなければいけません。
薬剤師1人体制の職場であれば、すぐに別の薬局に転職した方が良いですね。なぜならば、近い将来に重大な調剤事故を起こす可能性が高いからです。実際に、調剤事故やヒヤリハットが多い薬局は、複数チェックを怠っている職場が多いです。
Cさん)誤処方に対する危機意識が低い…
薬の誤処方について知りたい。年末にかかりつけの個人病院で毎月もらっている血圧の薬を処方してもらいました。私の血圧は薬を飲んで133/95程度。飲まないときは160/120くらいまであがってしまいます。毎月処方してもらっている薬は、アムロジピン錠5mg、イルベタン錠100mgです。
しかし年末に処方された というか薬手帳に記載されているのは上記のいつもの薬でしたが(後で気がついた)実際もらったのは、イルベタン錠100mg ロサルタンカリウム100mgでした。
ジェネリック薬品とかあるので同じ内容の薬なんだろうと特に疑いもせず飲んでいたのですが、次に病院に行ったときまた以前の薬に戻り「?」と思い、先月頂いた薬はこれじゃなかったことを薬剤師に伝えました。
「間違って出してしまった薬が余っていたら次回持ってきてください」と言われたので今日持っていきました。「間違って出してしまった薬はこちらで処分しますね」と言われただけ。
薬が7日ぶんしか残っていなかったし、たいした金額ではないのでお金が欲しいわけではないのですが、薬を処分というだけでミスをなかったことにするように感じて、 「間違って出された薬の代金、私支払っていますよね?」と言ってみました。
そうしたところ、薬剤師は「お金ですか?」と聞き返してきました
参考:Yahoo知恵袋
調剤薬局の中には、調剤事故に対する危機管理が全くない薬局もあります。本来ならば、薬局の現場責任者、薬を調剤した薬剤師、それから監査した薬剤師が謝罪するべきですね。また、調剤過誤があった場合は、病院にも連絡しなければなりません。
調剤事故や調剤過誤に対して、危機管理能力がない薬局で働くのは避けた方が良いですね。
では、私たちが薬剤師が起こすヒヤリハットや調剤事故はどれくらいあるのでしょうか?
薬剤師のヒヤリハット事例と調剤事故の発生件数は?
2014年に日本医療機能評価機構が、薬局の年間ヒヤリハット事例を調査しています。
その1:ヒヤリハット事例は「5399件」もある?
日本医療機能評価機構によると、1年間の薬局のヒヤリハット事例は5,399件です。また、時間帯ごとの発生件数を見ると、午前10〜12時で全体の37.9%を占めます。集中力が切れる時間帯に、薬剤師にミスが増える事が分かりますね。
ただし、全体的に見るとヒヤリハット件数は極端に多い訳ではないですね。
全国で薬局は5.9万店舗あり、薬事師の数は30万人います。薬剤師1人が1年間でヒヤリハットを起こす確率は、0.017%しかない事が分かります。ただし、報告されていないだけで、実際にはもっとたくさんの事例が隠れている可能性があります。
では、私たち薬剤師はどのようなミスが多いのでしょうか?
その2:調剤で多い間違いは「当事者の確認怠り」?
- 当事者の確認怠り:4,181件(77%)
- 勤務状況が繁忙だった:1,406件(26%)
- 医薬品に由来する:892件(16%)
ヒヤリハット事例で最も多いのが、「当事者の確認怠り」で全体の77%を占めます。
この3つの発生要因を見ると、現場の努力次第でヒヤリハットを未然に防げる事が分かります。当事者の確認怠りと医薬品由来のミスは、薬剤師と事務のダブルチェックで防げますね。また、勤務状況に関しては、人材を増やし薬剤師の負担を軽減する事で減ります。
3つの発生要因を解決するだけで、9割のヒヤリハット事例がなくなります。
逆にいうと、人材不足で薬剤師1人当たりの負担が大きく、ダブルチェックできない現場は調剤過誤や事故が起きる可能性が高いと言えます。負担軽減や複数チェックできない薬局は、ブラックの傾向が強いですね。
では、実際に薬剤師が起こした調剤事故はどれくらいあるのでしょうか?
その3:薬剤師の調剤事故件数は「27件」?
- 薬剤師が起こす調剤事故は、年間30件ほど発生する
- 薬剤師が起こす調剤事故の確率は、0.0001%だけ
- 薬剤師が起こすヒヤリハットの確率は、0.017%だけ
- ヒヤリハットから調剤事故になる確率は、0.005%だけ
調剤事故件数を見ると、毎年30件程度発生している事が分かります。調剤事故の多くは、服薬した患者さんが体調不良を起こし、病院薬剤師が調剤の誤りに気ずく事が多いです。
調剤事故に合った患者は、軽い体調不良だけで治る人もいれば、事故がきっかけで後遺症になる人もいます。重大な過失になると、多額の損害賠償を請求されるケースもありますね。例えば、2009年の事例では、後遺障害が生じたと判断し薬局に5300万円を要求しています。
ただし、私たちは過度に調剤事故を恐れる必要はないですね。
薬剤師1人が起こす調剤事故の確率は、年間0.0001%しかないからです。また、ヒヤリハットを起こす確率も0.017%しかありません。過度に調剤事故を恐れる必要はないですね。複数チェックや薬剤師の負担を軽減すれば、9割のヒヤリハットを失くせます。
現実的に考えた時に、事故を起こしたり訴えられる可能性はないです。では私たち薬剤師が確実にミスを減らすには、具体的に何をすれば良いのでしょうか?
ヒヤリハットや調剤事故を減らす方法は?
私たち薬剤師が、調剤過誤やミスを事前に減らすにはどうすれば良いでしょうか。
方法1:「日本薬剤研修センター」の勉強会に参加する
- 研修に参加する事で、薬剤師に必要な情報をアップデートできる
- 行政処分や違反内容を学ぶ事ができ、危機感が強くなる
- 他の薬剤師と交流する事で、モチベーションが上がる
- 研修を受講する事で、実務や薬剤師資格の復習になる
- 薬剤師として、一定以上のレベルがある事を証明できる
- 「かかりつけ薬剤師」になるには、研修認定薬剤師が必要
薬剤師の違反や行政処分が怖い人は、「研修センター」の勉強会に参加しましょう。
研修センターとは、元厚生労働省の公益財団法人で生涯学習を支援する機関です。研修に参加する事で、定期的に薬剤師に必要な情報をアップデートできますね。また、他の薬剤師と交流し学習意欲を高めたり、行政処分や違反の事例を学ぶ事で危機意識を高められます。
研修センターの認定資格は、必要ないと語る薬剤師は多いですね。しかし、学びたい目的がはっきりしてる薬事師には有益ですよね。
参考:研修認定薬剤師は本当に必要?|転職市場では評価されない?
方法2:個人ではなく「組織」でミスや事故を減らす
- ミスや事故が少ない薬局は、組織でミスを減らす仕組みがある
- 薬剤師も人間なので、ミスを0件にするのは物理的に不可能
- 2014年に報告されたヒヤリハット事例は、5399件もある
- 「当事者の確認怠り」は、全体の77%を占める
- ダブルチェックする薬局では、ミスがほとんど発生しない
私たち薬剤師で1番多いミスは、確認を怠る事による誤薬です。
2014年に報告された5399件のヒヤリハット事例のうち、「当事者の確認怠り」が全体の77%を占めます(参考:日本医療機能評価機構2014年度調査)。ミスを気をつけようと意識しても、個人の力ではミスを防ぐのは無理ですよね。
なぜならば、私たち人間は誰しもが必ずミスを犯すからです。
ミスが多い薬局と少ない薬局の違いは、組織で防ぐ仕組みの有無です。ミスが少ない薬局は、人件費を余分に費やしてもダブルチェックします。なぜならば、ミスを防ぐ事が経営を助けるからです。ミスを防ぐ事で助けられるのは、患者だけではなく私たち薬剤師自身でもありますね。
組織で仕組みや体制作りしない薬局は、ブラックが多いです。
方法3:1人体制の「ブラック薬局」で働かない
- 薬局の閉店時間が遅く、残業代を支給しない
- 求人票の月給や年収が少なく、昇給額も少ない
- 24時間営業なのに、夜勤対応のスタッフを募集してない
- 薬剤師の数が多い地域で、周辺に薬局が少ない
- 職場の雰囲気が悪い、薬剤師1人体勢の時間帯もある
- 調剤事務が少なく、薬剤師も調剤業務に追われてる
調剤過誤やミスを防ぐには、ブラックを避けて就職する事が大切です。
なぜならば、事故やミスが多い薬局ほど、労働環境が悪い職場多いからです。2人体制でダブルチェックを行う薬局よりも、1人体制でチェック機能が働かない薬局の方がミスは増えます。医薬品が必要な患者が利用したいのは、万全体制の薬局ですよね。
私たちの薬剤師自身を守るためにも、調剤過誤やミスの意識が高い職場で働きましょう。
まとめ:薬剤師は誤薬やミスが多い?
- 薬剤師が起こす調剤事故は、年間30件ほど発生する
- 薬剤師が起こす調剤事故の確率は、0.0001%だけ
- 薬剤師が起こすヒヤリハットの確率は、0.017%だけ
- ヒヤリハットから調剤事故になる確率は、0.005%だけ
日本医療機能評価機構によると、2014年のヒヤリハット事例は5399件ですね。薬剤師の調剤業務で最も多いミスは、「当事者の確認怠り」で77%を占めます。また、ヒヤリハットから重大な調剤事故に陥るのは、年間で30件程度と報告されてます。
薬剤師も人間なので、私たちがミスを完全に無くす事はできません。私たちが出来る事は、ミスをしない職場環境やシステムを構築する事ですね。ヒヤリハットの要因を分析すると、複数チェックや負担軽減するだけで、9割のヒヤリハットを防げる事が分かります。
また、冷静に数値を分析すると、私たちは過度に心配すべきでない事も分かります。
薬剤師1人が起こすヒヤリハットの確率は0.017%、薬剤師1人が起こす調剤事故の確率は0.0001%しかないからです。ブラック以外の職場で働けば、私たちが調剤事故に出くわす可能性は極めて低い事が分かりますね。
ぶっちゃけブラック以外の職場で働けば、私たちが調剤事故を過度に心配する必要はありません。
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