1988年に14.3万人だった薬剤師は増え続け、2018年には30万人を超えました。これだけ増えたにも関わらず、今もなお薬剤師は売り手市場だと言われています。本当に薬剤師は売り手市場なのでしょうか。また売り手市場はいつまで続くのでしょうか?
- 「薬剤師は売り手市場だが、いつまで続くのだろうか…」
- 「薬剤師の数は足りているが、地域偏在に問題がある…」
- 「売り手市場の要因にあるのは、女性薬剤師が多いから…」
薬剤師数が30万人を超えた今も、薬剤師は売り手市場です。
ただし、免許保有者の数でいうと、薬剤師の総数ではすでに足りています。また、売り手市場なのは地方だけで、東京や大阪などの都市部では薬剤師は余り始めています。薬剤師の売り手市場が解消されない最大の原因は、女性が多い特殊な職場だからです。
女性が多い薬剤師は、結婚や出産を気に職場を退職する人が多いですね。
薬剤師の数は都内に集中しているため、物価の割に給与は高くありません。都内薬剤師の給与は高くはないため、派遣やアルバイトで働く女性薬剤師も多いです。また、婚約者の収入がある女性薬剤師は、地方で年収800万円を超える案件があっても移らないですね。
その結果、薬剤師の免許保有者は東京や大阪に集中します。6年制大学を卒業した薬剤師が増えても、全国規模で見たら売り手市場は解消しないですね。
女性が薬剤師の大半を占める以上は、この現象はこの先も解消しないです。
ここでは、薬剤師の売り手市場がいつまで続くのか紹介します。売り手市場が解消される事はないが、「テクニシャン制度」が導入されスキルが低い薬剤師の需要は減ります。そうなると、薬剤師の格差はますます広がる事に注意した方が良いですね。
- 薬剤師の売り手市場は、いつまで続くのか?
- 専門性やスキルが低い薬剤師の需要は急激に減る?
- 売り手市場が終わっても、生き延びる方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
薬剤師の売り手市場は、今もまだ続いているの…
薬剤師の売り手市場がいつまで続くのか、疑問に思っている人は多いですよね。
Aさん)薬剤師の売り手市場はいつまで続くのか…
薬剤師の雇用情勢は売り手市場ですか?題名通りですが、最近新聞やチラシのみならず、サイトでも薬剤師を募集する求人情報をよく見かけます。なぜ、薬剤師の募集が多いのでしょうか。単純に求人に対して薬剤師人口が少ないということなのでしょうか。少なくとも雇用情勢は他業種と比較しても就職しやすい土壌があるように思えます。
やはり薬学部が6年制に移行したことと関係があるのでしょうか。資格を取得するうえでは、ハードルが高くなったような気がするのですが、現実はどうなのでしょうか。国家試験の合格率は大学によって差があるようで90パーセントを超える大学と60パーセント程度の大学(国公立が多いようです)と大きな隔たりがあるようです。
また、いつまでもこの雇用情勢が続くと思いますか?私の疑問を解決してください。よろしくお願いします。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師は20年以上もずっと売り手市場が続いています。医師や歯科医と同様に難易度が高い国家資格なので、誰でも薬剤師になれる訳ではないですね。また、高齢界社会に伴い医療や医薬品業界は拡大しているため、薬剤師の需要はずっと上がっています。
薬剤師の数が少ない地方に行けば、年収800万円以上で募集している求人もあります。
Bさん)薬剤師は足りているが地域偏在に問題がある…
【質問】薬剤師の求人見かけるのですが、そんなに薬剤師って売り手市場なんですか?
【回答】薬剤師の総数としては足りてるはずなんですよ。しかし、医師不足と同じで、医師の場合は偏在が問題です。都会志向と診療科目が偏っている。みんな楽な診療科に行きたいのと田舎に飛ばされるのが嫌なんです。
薬剤師も不足が目立つのは田舎です。それと薬剤師の生涯賃金が低いので、免許を持っていても、免許不要のもっと給料のいい仕事につく人が大勢います(医師の場合はそれが少ない)。あと、女性が多いので、結婚後ご主人の所得が多いと無理して働きません(私の周囲ではそういう人が多いです)。それと、昨年、今年と2年続けて国家試験の合格率が悪かったのが拍車をかけているようです。
それやこれやで、当面は薬剤師不足のようですよ。知り合いの先生が2年前にある病院の院長になったんだけど、人集めが大変なのはわかっていたけど、医者と看護師までかと思ってた。まさか薬剤師まで苦労するとは思ってなかったとぼやいていますよ。そこは田舎じゃないですよ。かなり大きな都市で交通の便利もいいです。やっぱり薬剤師不足は本当なのだと感じましたね。
参考:Yahoot知恵袋
免許保有者の総数で言えば、実は薬剤師の数は足りています。しかしながら、薬剤師の免許取得者=薬剤師で働いている人ではないですね。実際には、免許がありながらも働いていない薬剤師はたくさんいます。
また、都道府県事の10万人当たりの薬剤師数を見ると、東京や大阪に集中しています。地方の薬剤師不足が、今後も解消される可能性はかなり低いです。
Cさん)女性が多いことが売り手市場に関係している…
【質問】薬局の薬剤師について、薬剤師って転職する人がかなり多いと聞きます。なぜ転職するのですか?薬局は夜遅くまでやっているのでいわゆるブラック経営がほとんどだから回転率が高いのですか?
【回答】薬剤師は圧倒的に女性が多く、結婚退職、その後、家計やりくりのためパートで復職と言うケースが多い。パートは昇給が少ないので長期同じ職場でつとめるメリットよりも条件がいい=給料だけではなく、家に近い、家庭と両立できる立地、多忙で疲労する事がない=薬局に職場を変えた方が良い場合が多い。場合によっては正社員でも同じ理由で転職するケースは多々あるね。何しろ、取得が難しい業務独占国家資格だし、女性が多く結婚後には仕事をしてない薬剤師も多く、基本的には売り手市場であることも女性薬剤師の転職の多さに結びついている。
まあ、うちも家内が薬剤師だけど、上に書いた通り。家計の助け、と言っても特に貧乏な家じゃないから家内の稼ぎは全額家内の小遣いになるから、すぐに楽な職場に転職しちゃうってものある。
ブラックな薬局?あるよ。同じ時給でも一日にこなす処方箋の数は薬局によって驚くほど違いがある。勤務時間は近隣の医院の空いてる時間に左右される。ヤクザや〇〇保○、中○人の多い地域は客対応がホントに大変。あとね、内科医院の近くだと処方箋持ってくる患者からいろんな病気を移される。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師不足が解消しない最大の原因は、女性が多い職場だからです。特に、東京や大阪などの都市では、薬剤師の数が多く物価の割に年収が低いです。そのため、家庭がある薬剤師女性は、少ない給料で無理に働こうとはしないですね。
「都市は薬剤師が多い→供給過剰で給料が低い→共働きで都市を離れない→地方の薬剤師不足が解消できない」と悪循環に陥っています。その結果、薬剤師の売り手市場は20年以上も続いています。
では、薬剤師の売り手市場は、いつまで続くのでしょうか?
薬剤師の売り手市場は「いつまで」続くのか?
1955年に5.2万人だった薬剤師は、ずっと増え続けています。2018年には、大台だった30万人も突破しました。これだけ薬剤師が増え続けているのに、なぜ売り手市場がおわらないのでしょうか?
その1:30万人超えても「売り手市場が続く」理由は?
2018年度に医療機関に支払われた概算医療費は、前年度より3000億円増えて42兆6000億円となり、2年連続で過去最高を更新した(参考:2018年度の医療費42兆6000億円に)。
- 資格保有者の総数は足りてるが、就業者の数は少ない
- 東京や大阪など都市に集中し、地方に薬剤師が足りていない
- 女性が61.3%を占め、結婚や出産で薬剤師を離れる人も多い
- 薬剤師の数は増え続けてるが、需要も急拡大している
- 60年前の65歳以上の割合は4.9%、現在は27.7%
- 26年前の医療費22兆円から、現在は42兆円も増えた
- 調剤薬局の数はコンビニより増え、5.5万店もある
- 薬局以外にも、ドラッグストアの店舗が増え続けている
薬剤師が増え続け、いずれは売り手市場も解消すると主張する人は多いですね。
実は、95年あたりから薬剤師は、近い将来に過剰になると言われています。しかしながら、現時点でも薬剤師の売り手市場は続いています。医師も含めた薬剤師の有効求人倍率は、全国で4.37倍と高いです。
売り手市場が解消されない理由は、資格保有者の割に従事者が少ないからです。
薬剤師は女性が6割を占める職種です。女性が多い職場では、結婚や出産を機に職場を離れる人が多いですね。また、女性が多いと地域に人材が流れにくいです。なぜならば、男性の仕事に合わせる女性が多く、高収入の求人が地方に出ても移動しないからです。
そのため、仮に薬剤師の数が定数を超えても、地方の薬剤師不足が解消される事はありません。東京や大阪など都市部では、現在と同じように過剰が続きます。東京や大阪で薬剤師が過剰だと給料が減るため、薬剤師免許を持っていても働かない女性は増えますね。
また、薬剤師の数が増える以上に、医薬品市場も急拡大を続けています。
超高齢化社会で65歳以上の割合は27.7%を超えました。それに伴い医療費も25年間で倍増しています。2018年度の医療費は、42兆6千億円にも膨れ上がっていますね。つまりは、薬剤師の数は増え続けているが、それでも需要には追いついていません。
ただし、このまま薬剤師の数が増え続けると、いずれは売り手市場も終わりますね。
その2:「いつまで」売り手市場が続くのか?
いつまでも、薬剤師の売り手市場が続く訳ではないですね。
医師・薬剤師等の有効求人倍率を見ると、明らかに売り手市場は縮小傾向にあります。ただし、全職種の平均は1.61倍しかないため、医療従事者の数はまだまだ足りていない事も事実です。。ただ、薬剤師の需要が減っている事には注視する必要があります。
実際に2016年から18年の2年間で、薬剤師の需要は減少しています。
- 薬剤師の需要:19,272件→16,224件
- 薬剤師の求職者数:3,084人→3,533人
ただし、いつ薬剤師の売り手市場が終わるかを予想するのは不可能です。なぜならば、超高齢化社会に突入し、医療や医薬品の需要も急拡大しているからです。過去20年間がそうだったように、20年後も薬剤師の数が足りていない可能性があります。
また、現在薬剤師業界は「かかりつけ薬局・薬剤師」に移行し、転換点を迎えています。制度が大きく変わる中で、薬剤師の需要がどれくらい変わるか予想するのも難しいですよね。
売り手市場の終わりは予測できないが、確実に言える事があります。それは、スキルが低い薬剤師の需要は、今後急速に減少する事ですね。
その3:「専門性やスキル」が低い薬剤師の需要は消える?
- テクニシャン制度が導入され、調剤と服薬指導が分離される
- 薬剤師は服薬指導や薬剤管理など、付加価値が高い仕事ができる
- 薬剤師は地域医療に密着し、コンサルタントに近い役割をする
- 専門性やスキルが低い薬剤師は、需要が減り生き残れない
2019年に、厚生労働省は「テクニシャン制度」を導入しました。
テクニシャン制度では、調剤技師(Pharmacy technician)と呼ばれる薬剤師を持たないスタッフが、調剤業務やピッキングを行います。薬剤師の業務を分担する事で、薬剤師の負担を軽減し、薬局に必要な薬剤師数を減らすのが狙いです。
この制度が広く普及すると、専門性やスキルが低い薬剤師の需要は急激に減ります。調剤技師という職種は、アメリカに実際にある職種です。
アメリカでは薬剤師の平均年収は1375万円と高く、代わりに薬剤師免許を持たない調剤技師の年収は351万円と低く抑えられています。なぜならば、付加価値が低い調剤業務を、調剤技師に一任したからです。
日本も欧米と同様に、薬剤師には付加価値が高い仕事に移行させます。
つまりは、テクニシャン制度がある事で、専門性やスキルが低い薬剤師は淘汰されます。薬剤師が生き残るには、専門性を高めて対人業務に力を入れる必要がありますね。調剤業務しかできない薬剤師の需要はなくなります。
では、テクニシャン制度後も私たち薬剤師が生き延びるにはどうすればいいでしょうか?
売り手市場が終わっても、生き延びる方法は?
薬剤師が増え続ける時代で、年収を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?
方法1:特定の専門領域に特化した薬剤師を目指す
- がん薬物療法認定薬剤師など、専門領域に特化する
- 漢方薬・生薬認定薬剤師など、専門領域に特化する
- 製薬の知識を活かして、日系や外資系でMRを目指す
- 製薬会社で、学術やDI業務(医薬品管理)など研究職を目指す
私たち薬剤師の仕事は、本来ならば専門職である必要があります。
しかしながら、調剤薬局やドラッグストアの現場をみると、単調でルーチンワークするだけの薬剤師が多いですね。これからの薬剤業界を生き延びるならば、最低でも1つ以上の専門領域を作る必要があります。
例えば、「がん薬物療法認定薬剤師」など特定分野に特化すべきですね。
特定領域の専門家になると、癌を専門にする病院から高待遇でチーム医療に携われます。専門病院では、最先端の技術が揃い医療チームが欧米化していますね。さらには、癌の医薬品を研究開発する製薬会社や医薬品メーカーからも声が掛かります。
処方通りに調剤するだけでは、今後も需要が下がるのは避けられません。
方法2:調剤だけでなく管理できる薬剤師を目指す
- 現場をマネジメントできる人材は、民間企業で需要が高い
- 調剤薬局でも管理薬剤師になると、年収600〜700万円になる
- ドラッグストアで、店舗責任者になると年収は700万円以上
- 管理薬剤師になると、製薬会社からも需要が高い
薬剤師に必要な基礎知識を習得したら、現場をマネジメントできる管理薬剤師を目指しましょう。管理薬剤師という肩書を貰えれば、現場責任者として責任ある仕事ができます。
調剤薬局やドラッグストアで管理薬剤師になると、その店舗の最高額の給与を得られますね。
都内の薬局であれば年収は600万円、地方の年収が高い地域なら700〜900万円、ドラッグストアでも年収700万円以上を得られます。また、調剤経験がある上に現場をマネジメントできる人材は、製薬会社からも需要が高いですね。
管理薬剤師として働いた経験があれば、今後も需要は伸び続けます。
方法3:地域社会に貢献できる薬剤師を目指す
- 高齢化が進む社会で、地域に貢献できる医療を目指す
- 高齢化社会で老人が増え、地方は在宅医療が中心になる
- 調剤業務は第五世代に移行し、薬剤師の役割は増える
- 薬剤師が少ない地域ほど、需要が高く地域社会に貢献できる
- 薬剤師が少ない地方ほど、薬剤師の給料は高い
- 奈良県の平均年収は777万円、静岡県は684万円もある
これからの医療業界はより高度化し、都市よりも地域社会が中心になります。
私たちは処方通りに薬剤を調合するだけでなく、医療が行き届かない地域でいかに自分が貢献できるか考える必要があります。これからは、高齢化社会で老人が増え在宅医療が中心になっていきますね。
自ら患者のために動ける薬剤師ではなければ、生き残るのは難しいですね。
日本薬剤師会が公表する「薬剤師の将来ビジョン」によると、調剤業務は第四世代から第五世代に移行しています。医療の高度化が進み、私たち薬剤師の役割はますます増えていますね。
幸いにも現状は、地方に行くほど薬剤師の数は少ないです。今は働く場所を変えるだけで、私たち薬剤師の年収が増える恵まれた時代でもあります。国家資格を活かして、どうしたら地域社会に貢献できるのかを考えましょう。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
まとめ:薬剤師の売り手市場が続く理由は?
- 資格保有者の総数は足りてるが、就業者の数は少ない
- 東京や大阪など都市に集中し、地方に薬剤師が足りていない
- 女性が61.3%を占め、結婚や出産で薬剤師を離れる人も多い
- 薬剤師の数は増え続けてるが、需要も急拡大している
- 60年前の65歳以上の割合は4.9%、現在は27.7%
- 26年前の医療費22兆円から、現在は42兆円も増えた
- 調剤薬局の数はコンビニより増え、5.5万店もある
- 薬局以外にも、ドラッグストアの店舗が増え続けている
薬剤師数が30万人を超えた今も、薬剤師は売り手市場ですね。ただし、免許保有者の数でいうと、薬剤師の総数ではすでに足りています。また、売り手市場なのは地方だけで、東京や大阪などの都市部では薬剤師は余り始めています。薬剤師の売り手市場が解消されない最大の原因は、女性が多い特殊な職場だからです。
女性が多い薬剤師は、結婚や出産を気に職場を退職する人が多いですね。
薬剤師の数は都内に集中しているため、物価の割に給与は高くありません。都内薬剤師の給与は高くはないため、派遣やアルバイトで働く女性薬剤師も多いです。また、婚約者の収入がある女性薬剤師は、地方で年収800万円を超える案件があっても移らないですね。
その結果、薬剤師の免許保有者は東京や大阪に集中します。6年制大学を卒業した薬剤師が増えても、全国規模で見たら売り手市場は解消しないですね。
女性が薬剤師の大半を占める以上は、この現象はこの先も解消しないです。
しかしながら、「テクニシャン制度」が導入されスキルが低い薬剤師の需要は減ります。そうなると、薬剤師の格差はますます広がる事に注意した方が良いですね。私たち薬剤師が生き延びるには、専門性を磨く以外には道はありません。
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