将来を悲観している薬剤師が多い事に気が付きます。彼らの話を聞いていると、「供給過剰」「給与が増えない」「人工知能に仕事を奪われる」この3つに集約されますね。では、本当に私たち薬剤師の将来性はないのでしょうか?
- 「薬剤師はコスパが悪く、男性の職業じゃないと言われた…」
- 「薬剤師の将来が不安定な中で、生き残るには何をすればいい…」
- 「薬剤師は将来需要がなくなるNo1の職業だと言われた…」
結論から伝えると、今もなお薬剤師は将来性が高い国家資格のひとつです。
なぜならば、現時点で薬剤師は過剰ではない上に、平均年収は今もなお緩やかに上昇しているからです。また、人工知能に仕事が奪われるのは、私たち薬剤師だけではないですね。むしろ、専門職である薬剤師は、人工知能に最も淘汰されにくい職業でもあります。
近い将来、調剤業務が人工知能に代替されるのは間違いありません。
しかしながら、人工知能を活用する事で、新たに付加価値が高い仕事が生まれます。厚生労働省はAI時代を見越して、「かかりつけ薬剤師」という仕組みを構想しています。「かかりつけ薬剤師」が普及する事で、薬剤師は地域に密着したコンサルを担います。
冷静に考えるとわかるが、高度な知識を持つ薬剤師が将来なくなる事はないです。
なぜならば、医療業界は専門領域が深くなり、ここ数年で高度に複雑化しているからです。新しい医薬品がどんどん開発され、もはや医師が全ての責任を負うのは無理があります。医療業界の高度化が進み過程で、薬剤師の権限や責任も大きくなります。
これからは、医師、薬剤師、看護師が専門分野を活かして共同する時代です。
ここでは、薬剤師に将来性がないと言われる3つの理由を紹介します。また、競争が激しくなる薬剤師業界で、順調に年収を増やす方法も紹介します。人工知能が普及しても、薬剤師ほど稼ぎやすい職業は他にありません。
- 薬剤師に将来性がないと言われる3つの理由は?
- 薬剤師は、人工知能に本当に仕事を奪われるのか?
- 競争が激しい社会で、薬剤師が年収を増やし続ける方法は?
薬剤師には、将来性が全くないって本当なの…
薬剤師の将来に対して、悲観的に見ている人は多いですね。
Aさん)費用対効果が悪く男性がなる職業ではない…
薬剤師の将来性についての質問です。国公立六年制薬学部を目指している浪人(宅浪)生です。薬剤師を目指すにあたって不安点があるので質問させていただきます。
やはり、将来的に薬剤師はなくなってしまうのでしょうか。ネット上では[存在価値がない][コスパ悪い][男がなる職業じゃない]などと酷評されており、またAIによって仕事が奪われるなどと噂されていて大変不安です。
薬剤師に関して詳しい方がいらっしゃったら上記の質問に回答お願いします。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師は費用対効果が悪い職業だと言われています。なぜならば、6年制大学で学費が高いのに、会社員と比較して昇給額が少ないからです。20代や30代では給与が高くても、50代前半になると会社員男性に平均年収で逆転されます。
しかしながら、薬剤師ほど稼ぎやすい職業はありません。30代で年収が頭打ちになる薬剤師がいる一方で、稼げる薬剤師は30歳で年収800万円以上稼ぎます。どの職種でも言える事だが、稼げる人材と稼げない人材で格差が拡がっています。
Bさん)薬剤師で生き残るには何をすれば良いのか…
30歳、現在、調剤薬局で管理薬剤師をやっています。将来、薬剤師は過剰になり淘汰されていくというニュースはよく聞きます。生き残るためにはプラスアルファの能力を身につける必要がありますが、生き残るためにはどういう能力が必要かと思いますか?
よく言われるのは経営の知識といわれていますが、私は、今、法律に興味があります。
だから、薬事法、薬剤師法、毒物及び劇物取締法の勉強をして詳しくなりたいなという思いがあり、将来はこの法律を教えるような仕事ができればいいなと思います。しかし、この知識は需要があるでしょうか?正直な話、いつまでも現場にいるだけではいけないと思っており、現場から離れた仕事をしたいと常々思っております。
参考:Yahoo知恵袋
法律に興味があるならば、医療業界に特化した弁護士を目指すべきですね。薬剤師が法律の勉強をしたとしても、薬剤師自体の需要が上がる事はありません。
薬剤師で生き残るには、プラスアルファで専門知識を学ぶ必要があります。なぜならば、近い将来に人工知能が普及するため、調剤業務できるだけの薬剤師は居場所がないからです。需要を高めるには、特定の専門領域を持つ事が大切になりますね。
Cさん)薬剤師は将来需要がない仕事NO1と言われた…
薬剤師という仕事はやっぱり将来、需要がないんでしょうか?私は高校1年生なのですが、薬剤師になりたいという風に先生に言ったら薬剤師は将来需要がない仕事No.1だと思ってると言われてしまいました。。
自分ではきちんと仕事内容や薬剤師の資格が取れる大学、AI化が進む中の薬剤師の需要なども調べた上で言っていたのでちょっとショックでした、。たしかに薬剤師の資格を持っている方よりも需要薬剤師の人数が多いのは知っています
ですが、まだまだ患者さんとのコミュニケーションなどの事からAIには仕事を取られないと思うし、専門職だし、都市は飽和しているけれど地方は足りていないなどという事から需要はまだあるだろうと思い、目指し続けていました。
薬剤師は資格をとれて安定しているし、私は女なので色々仕事をやめなければならない時もあるかもしれないのですが薬剤師はやめても他のお仕事に比べ比較的すぐに復帰できるとききました。ぶっちゃけ薬剤師の仕事内容にも興味はとてもありますが、お給料もよく安定するのでいいかなという事がなりたい一番の理由です
薄っぺらい理由なので、とても心が揺らいでいます
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師の飽和や年収減、人工知能を理由に将来性がないと嘆く人が増えています。
しかしながら、現時点で薬剤師は過剰ではない上に、平均年収も右肩上がりで増えています。冷静に考えればわかるが、薬剤師だけが人工知能に淘汰される訳ではないですね。むしろ、専門職である薬剤師は、人工知能に最も淘汰されにくい職業でもあります。
医療や薬剤師業界に限らず、付加価値が低い仕事は人工知能に淘汰されます。しかしながら、人工知能を活用する事で、新たに付加価値がある仕事が生まれるのも事実です。私たちが専門職である以上は、人工知能を活用して何ができるのかを考える必要があります。
では、なぜ薬剤師は将来性がないと言われるようになったのでしょうか?
薬剤師に「将来性がない」3つの理由は?
薬剤師に将来性がないと言われています。その理由を詳しく見ていくと、「供給過剰」「給料が増えない」「人工知能やAIの普及」が原因として挙げられます。
理由1:薬剤師は「供給過剰」に陥っている?
- 薬剤師の有効求人倍率は4.76倍(医師も含む)である
- 10万人当たり薬剤師数を見ると、東京以外は足りていない
- 女性が61.3%を占め、結婚や出産で薬剤師を離れる人も多い
- 薬剤師の数は増え続けてるが、需要も急拡大している
- 60年前の65歳以上の割合は4.9%、現在は27.7%
- 26年前の医療費22兆円から、現在は42兆円も増えた
- 調剤薬局の数はコンビニより増え、5.5万店もある
- 薬局以外にも、ドラッグストアの店舗が増え続けている
薬剤師が増え続けている事を理由に、将来性がないと主張する人は多いですね。
実は、薬剤師は95年当たりから近い将来過剰になると言われています。薬剤師の数は1955年以降増え続け、2018年には大台の30万人を突破しました。しかしながら、今もなお薬剤師は十分ではないです。
現時点で過剰に陥っていない理由は、薬剤師の6割を女性が占めるからです。女性が多い職場では、結婚や出産を機に職場を離れる人が多いからです。また、超高齢化社会で65歳以上の割合は27.7%と増え、医療費は42兆円まで膨れ上がっている事も原因にあります。
つまりは、薬剤師の数は増え続けているが、それでも需要には追いついていません。10万人当たりの薬剤師数を確認すると、実は東京以外の大半の都道府県では、今もなお薬剤師が足りない状態が続いています。
理由2:調剤薬局に勤めても「450万円」で頭打ち?
- 都内の薬局勤務は、年収450〜500万で頭打ち
- 昇給額が少なく、50代後半で会社員に抜かれる
- 病院や薬局の年収は、ドラッグストアと比較して低い
- 6年制を卒業したのに、平均年収は医師の半分だけ
将来性がない理由は、薬剤師が以前よりも稼げなくなったからです。
しかしながら、薬剤師の平均年収を見ると20代後半で536万円、30代前半で599万円と決して低くはありません(参考:薬剤師の年収は542.5万円)。給与に対して不満を述べる薬剤師が多いのは、初任給の割りに昇給額が少ないからです。
薬剤師の数が多い地域ほど、初任給と昇給額は少ないです。
例えば、10万人当たりの薬剤師が全国で最も多い東京都は、30代でも年収450で頭打ちです。東京都の平均年収は622万円なので、最も割りに合わない地域ですね。薬剤師の大多数が働く東京では、多くの薬剤師が給与に不満を持っています。
薬剤師業界では、給与の二局化が進んでいます。
薬剤師が少ない地域で能力がある人材は、40歳で年収800万円以上稼ぎます。一方で、薬剤師の数が多い都市部では、40歳を過ぎても450万円に達しない人も多いです。私たち薬剤師も、自身のキャリアを設計する時代に生きています。
参考:年収500万円で頭打ちは本当?|薬剤師の供給過多が原因?
理由3:「人工知能・AI」に仕事を奪われる日が来る?
- 調剤業務だけの薬剤師は、大半が淘汰される
- 地域社会に密着し、かかりつけ薬局や薬剤師が増える
- 調剤業務が減り、薬剤師はコンサルに近い役割をする
- 医療分業化や高度化が進み、医師や看護師と連携が増える
- 医療が高度化し、特定分野の専門家の需要が増す
- 地域社会に密着した在宅医療が中心になる
人工知能が普及し、仕事が奪われると考える薬剤師は多いですね。
実際に調剤薬局の現場では、すでに投与量の計算も既にプログラムを組んでAIが計算しています。この流れは今後も進み、次第に薬剤師の手が入らなくなりますね。しかしながら、全ての業務が人工知能に代替される訳ではありません。
むしろ、人工知能を活用する事で、新たに付加価値がある仕事が生まれます。
厚生労働省はAI時代を見越して、「かかりつけ薬剤師・薬局推進指導者協議会」を設立しています。AI時代では調剤業務が淘汰される一方で、コンサルタントに近い役割が増えます。従来の門前薬局と違い、地域に密着した「かかりつけ薬局」が増えるからです。
かかりつけ薬局では、地域を包括的にケアする事を目的にしています。薬剤師は患者さんの容体を確認し、医療機関の医師や看護師と連携します。
また、今後は薬剤師も医師と同様に特定の専門家が必要になりますね。
医療業界は、専門領域がどんどん深くなりここ数年で複雑化しています。さらに、新しい医薬品がどんどん開発され、もはや医師が全てを把握するのは物理的に不可能です。そう考えると、高度な知識がある薬剤師の必要性は今後も増すばかりですね。
AI時代でも、高度な知識を持つ薬剤師の必要性が薄れる事はありません。
もちろん、調剤業務しかできない薬剤師は、今後も需要がなくなり淘汰されます。30代で年収450万円で止まっている人は注意が必要ですね。では、私たち薬剤師が年収を増やし続けるには、具合的にはどうすれば良いでしょうか。
薬剤師が年収を「増やし続ける」方法は?
薬剤師が増え続ける時代で、年収を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?
方法1:特定の専門領域に特化した薬剤師を目指す
- がん薬物療法認定薬剤師など、専門領域に特化する
- 漢方薬・生薬認定薬剤師など、専門領域に特化する
- 製薬の知識を活かして、日系や外資系でMRを目指す
- 製薬会社で、学術やDI業務(医薬品管理)など研究職を目指す
私たち薬剤師の仕事は、本来ならば専門職である必要があります。
しかしながら、調剤薬局やドラッグストアの現場をみると、単調でルーチンワークするだけの薬剤師が多いですね。これからの薬剤業界を生き延びるならば、最低でも1つ以上の専門領域を作る必要があります。
例えば、「がん薬物療法認定薬剤師」など特定分野に特化すべきですね。
特定領域の専門家になると、癌を専門にする病院から高待遇でチーム医療に携われます。専門病院では、最先端の技術が揃い医療チームが欧米化していますね。さらには、癌の医薬品を研究開発する製薬会社や医薬品メーカーからも声が掛かります。
処方通りに調剤するだけでは、今後も需要が下がるのは避けられません。
方法2:調剤だけでなく管理できる薬剤師を目指す
- 現場をマネジメントできる人材は、民間企業で需要が高い
- 調剤薬局でも管理薬剤師になると、年収600〜700万円になる
- ドラッグストアで、店舗責任者になると年収は700万円以上
- 管理薬剤師になると、製薬会社からも需要が高い
薬剤師に必要な基礎知識を習得したら、現場をマネジメントできる管理薬剤師を目指しましょう。管理薬剤師という肩書を貰えれば、現場責任者として責任ある仕事ができます。
調剤薬局やドラッグストアで管理薬剤師になると、その店舗の最高額の給与を得られますね。
都内の薬局であれば年収は600万円、地方の年収が高い地域なら700〜900万円、ドラッグストアでも年収700万円以上を得られます。また、調剤経験がある上に現場をマネジメントできる人材は、製薬会社からも需要が高いですね。
管理薬剤師として働いた経験があれば、今後も需要は伸び続けます。
方法3:地域社会に貢献できる薬剤師を目指す
- 高齢化が進む社会で、地域に貢献できる医療を目指す
- 高齢化社会で老人が増え、地方は在宅医療が中心になる
- 調剤業務は第五世代に移行し、薬剤師の役割は増える
- 薬剤師が少ない地域ほど、需要が高く地域社会に貢献できる
- 薬剤師が少ない地方ほど、薬剤師の給料は高い
- 奈良県の平均年収は777万円、静岡県は684万円もある
これからの医療業界はより高度化し、都市よりも地域社会が中心になります。
私たちは処方通りに薬剤を調合するだけでなく、医療が行き届かない地域でいかに自分が貢献できるか考える必要があります。これからは、高齢化社会で老人が増え在宅医療が中心になっていきますね。
自ら患者のために動ける薬剤師ではなければ、生き残るのは難しいですね。
日本薬剤師会が公表する「薬剤師の将来ビジョン」によると、調剤業務は第四世代から第五世代に移行しています。医療の高度化が進み、私たち薬剤師の役割はますます増えていますね。
幸いにも現状は、地方に行くほど薬剤師の数は少ないです。今は働く場所を変えるだけで、私たち薬剤師の年収が増える恵まれた時代でもあります。国家資格を活かして、どうしたら地域社会に貢献できるのかを考えましょう。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
まとめ:薬剤師に将来性がないって本当?
- 調剤業務だけの薬剤師は、大半が淘汰される
- 地域社会に密着し、かかりつけ薬局や薬剤師が増える
- 調剤業務が減り、薬剤師はコンサルに近い役割をする
- 医療分業化や高度化が進み、医師や看護師と連携が増える
- 医療が高度化し、特定分野の専門家の需要が増す
- 地域社会に密着した在宅医療が中心になる
結論から伝えると、今もなお薬剤師は将来性が高い国家資格のひとつです。なぜならば、現時点で薬剤師は過剰ではない上に、平均年収は今もなお緩やかに上昇しているからです。また、人工知能に仕事が奪われるのは、私たち薬剤師だけではないですね。
むしろ、専門職である薬剤師は、人工知能に最も淘汰されにくい職業でもあります。近い将来、調剤業務が人工知能に代替されるのは間違いありません。
しかしながら、人工知能を活用する事で、新たに付加価値が高い仕事が生まれます。厚生労働省はAI時代を見越して、「かかりつけ薬剤師」という仕組みを構想しています。「かかりつけ薬剤師」が普及する事で、薬剤師は地域に密着したコンサルを担います。
冷静に考えるとわかるが、高度な知識を持つ薬剤師が将来なくなる事はないです。
なぜならば、医療業界は専門領域が深くなり、ここ数年で高度に複雑化しているからです。新しい医薬品がどんどん開発され、もはや医師が全ての責任を負うのは無理があります。医療業界の高度化が進み過程で、薬剤師の権限や責任も大きくなります。
これからは、医師、薬剤師、看護師が専門分野を活かして共同する時代です。
競争が激しい時代を生き延びるには、私たちは専門領域に特化する必要がありますね。薬剤師は将来性がないと言われるけれども、AI時代が到来しても薬剤師ほど稼ぎやすい職業は他にありません。
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