国家資格を取得し薬剤師になるも、期待したより給与が少ないと嘆く人は多いです。20代薬剤師の平均年収は、487〜517万円と実際には少なくありません。しかしながら、多くの薬剤師が不満を感じているのは、何故なのでしょうか?
- 「20代で400万円だけど、その後は昇給しない…」
- 「調剤薬局に勤めて5年、450万円で頭打ちだった…」
- 「病院勤務の仕事が辛いく、業務量と給料が割に合わない…」
薬剤師の給料が少ないと感じる理由は、働く職場によって給与格差が大きい上に、給料が低い職場ほど昇給しないからです。製薬会社やドラッグストア勤務だと、平均以上の年収を得られます。しかし、調剤薬局や病院勤務だと、給料が少ない上にほとんど昇給しません。
薬剤師の6割以上は、調剤薬局や病院に勤めていますね。
調剤薬局の給料が増えない理由は、昇給額を初任給に上乗せしてるからです。調剤薬局や病院勤務の場合、調剤報酬があるため売上は利益は変わりません。その中で、新しい人材を確保するには、初任給や額面を多く見せる必要があります。
なぜならば、業務内容が同じなので、薬剤師は額面が高い薬局に転職するからです。
ここでは、20代薬剤師の平均年収や、薬剤師の給料が増えない理由を紹介します。また、20代でも高収入を得る方法を紹介します。今後のキャリアを築く上で1番大切な事は、20代でしっかりと調剤経験を積む事です。
- 20代薬剤師の平均年収は「509万円」もある?
- 調剤薬局や病院勤務だと、入社後に昇給しない理由は?
- 20代でも、薬剤師が高収入を得る方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
薬剤師になったけど、給与が低い上に昇給しない…
国家資格を取得して薬剤師になるも、期待したより給料が安いと不満を語る人は多いです。
Aさん)20代で400万円だがその後は昇給しない…
兄が薬剤師なんですが、薬剤師って六年も勉強して頑張って資格とっても年収むちゃくちゃ安くないですか??20代の頃はいきなり年収400万越えますが、昇給があまりなく、地方公務員の平均年収よりかなり低いですよね。この理由ってなんなんでしょうか??
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師は20代で稼ぎやすいが、昇給が少ない特徴があります。30代後半や40代になると、大卒の一般会社員よりも年収が低くなる人がいます。薬剤師の就職先で6割を占める調剤薬局や病院勤務は、特に昇給しない事で有名です。
国家資格を取得するのに6年制の私立だと1200万円の学費が掛かりますね。そのため、薬剤師の資格は、最も費用対効果が低い国家資格だと言われています。
Bさん)調剤薬局で年収450万で頭打ちだった…
【質問】20代〜30代の現役薬剤師は年収はズバリいくらですか?
【回答】私も薬剤師です。昔は約5年調剤薬局で働いてました。初任給で、約410万円程から始まり、それでも、年収450万円に達する事はありませんでした。住まいが、大阪である事も影響してるでしょうが。都市部であれば、人が飽和状態なので、中々500万円に達する事は難しいです。管理薬剤師になったとしてもです。そして、昇給が望めないというのと、今後の薬局業界における将来性に不安を感じてしまい、今は保健所で働いています。
今は採用4年目ですが、調剤薬局で働いていた時より、若干多めの収入です。係長になれば、年収650万円程で平均年齢は43歳くらいで、その上の役職につけば、年収1000万円程いきます。定年まで働けば、退職金も結構もらえますよ。少なくても10年以上働ければ、通常の退職金に50万円×勤務年数が加算されます。10年未満であれば、この加算はありません。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師が多い都市部では、調剤薬局の給料は450〜500万円で頭打ちです。また、10年以上働いたとしても、昇給額はしれています。調剤薬局の昇給額が少ない理由は、昇給額を予め初任給に上乗せしているからです。
雇用主側から見た場合に、店舗の売上や利益は調剤報酬で変わりません。人材を確保するために、薬剤師の人件費は最初から昇給分を上乗せして額面に含めています。調剤薬局はどこも仕事内容が同じなので、薬剤師は単純に額面が高い職場を選びますね。
Cさん)病院勤務の仕事が辛い上に給与が安すぎる…
病院薬剤師歴4年目の20代後半の者です。製薬業界に詳しい方がいましたら、御回答お願い致します。病院薬剤師の給料はどんなに頑張っても、たかがしれています。私は現在100時間以上の残業があり、1日に指導を行う患者も15~20人程です。仕事のできるできないのレベルではなく、物理的にこなすことのできない仕事量が課せられています。
ただ、肉体的、精神的には非常に健康です。業務量と給料が割に合わなさすぎるため、転職を考えています。別の病院へ行こうとは考えていません。具体的には、企業を考えています。私は博士を取得していないため、研究職は厳しいですし、そういう分野にはあまり興味がありません。
CRO(受託臨床試験機関)やSMO(試験実施機構管理機関)も考えましたが、やはり企業(特に外資)の開発職の給料と比べると劣ります。そこで、病院で身に付けた知識を活かし、且つ、それを企業(外資)で活かせる職、方法はありませんでしょうか。努力は怠りません。
英語(ビジネス英会話等)が必要であれば、隙間を見つけて勉強します。学歴・学力は問題ありません。病院から企業という狭き門、もしかしたら、その門すら閉ざされているのかもしれません。どんなに小さなことでも構いません。1つでも多くの御意見を参考にさせて頂きたいと考えています。御忙しいとは思いますが、何卒宜しくお願い致します。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師の中で、最も労働環境が悪いのは病院勤務です。夜勤や時間外労働が多い上に、民間病院だと年収が350万円にも届かない職場もあります。現在の労働環境に不満があるならば、まずは転職を考えてみましょう。
病院勤務の経験があれば、どこに就職しても需要は高いですね。
ドラッグストアなら20代でも年収500万円を稼げます。ドラッグストア でなくても、薬剤師が少ない地方に行けば、調剤薬局でも年収500万円を超えます。調剤薬局ならば、土日祝日が休みで毎日定時に帰宅できる利点がありますね。
外資系に就職する場合、英語は特に必要ありません。外資系の多くはMR職で、日本の病院に営業するからです。外資系MR職だと800万円ほど稼げます。しかし、仕事内容はシビアに評価される上に、プライベートを犠牲にして働きますね。
以上のように、薬剤師に就職しても、給与が少ない、昇給が少ないなど不満を語る人は多いですね。では、20代の薬剤師は実際にはどれくらいの給料が得られるでしょうか?
20代薬剤師の平均年収は?30歳以降は昇給しない?
私たち薬剤師は、20代ではどれくらいの給与を得られるのでしょうか?
その1:20代薬剤師の平均年収は「509万円」?
- 製薬会社(MR):年収500〜700万円
- ドラッグストア:年収500万円
- 調剤薬局:年収400〜450万円
- 病院勤務:年収350〜400万円
職種別の平均年収の目安は上記の通りです。ちなみに、国税庁が公表する薬剤師20代の平均年収は487〜517万円です(参考:民間給与実態統計調査)。
薬剤師は働く場所によって、年収が大きく異なる職業です。
製薬会社のMR職に就職したら、平均年収は500〜700万円と高いですね。大手製薬会社は景気動向の影響がない上に年収1千万円を超えるため、昔から就活生に人気が高い就職先です。ただし、仕事内容はハードで、プライベートを犠牲にして働きます。
薬局や病院勤務は、薬剤師の平均からすると高くはないですね。
ドラッグストアの方が給料が高い理由は、薬剤師手当月5〜10万円ある上に、残業代や夜勤手当があるからです。ただし、24時間営業のストアが増え、調剤薬局よりも拘束時間は間違いなく伸びます。
その2:会社員との給与差は40代で「28万円」だけ?
年代別 | 薬剤師 | 一般会社員 | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
20代前半 | 487万円 | 496万円 | 279万円 | 243万円 |
20代後半 | 536万円 | 517万円 | 393万円 | 318万円 |
30代前半 | 599万円 | 551万円 | 461万円 | 315万円 |
30代後半 | 661万円 | 576万円 | 517万円 | 315万円 |
40代前半 | 661万円 | 579万円 | 569万円 | 308万円 |
40代後半 | 658万円 | 617万円 | 630万円 | 310万円 |
参考:薬剤師の年収は542.5万円|男女別、年代別、会社別の相場は
薬剤師は20代でも高収入を得られる職業です。20代前半の薬剤師の平均年収は490万円、20代後半は520万円ですね(参考:民間給与実態統計調査)。一般会社員と比較すると150〜200万円も高い事がわかります。
ただし、20代で高年収を得られる反面、30代を過ぎると徐々に旨味は減ります。
薬剤師と一般会社員男性の年収差を見ると、20代前半で給与差が208万円でも、40代後半では28万円しか差がありません。大卒会社員の場合、役職が上がるに連れて年収は大きく上昇します。対して薬剤師は、構造的に昇給しにくい職業です。
20代や30代の働き方次第で、その後の年収は大きく変わります。
その3:薬局や病院勤務で「昇給しない理由」は?
- 調剤薬局は、昇給分を初任給に上乗せしている
- 初任給は高いが、管理薬剤師になる以外で昇給や昇進がない
- 管理薬剤師に昇進しても、年収は500〜700万円
- 赤字経営が多い上に医療費削減で、病院勤務の給料は上がらない
- 薬局や病院勤務の給料は、薬剤師が足りない地方ほど高い
調剤薬局に就職した場合、入社後に昇給はほぼありません。
なぜならば、雇用主は昇給分を初任給や初給料に上乗せしているからです。診療報酬で売上が決まる調剤薬局は、企業や店舗努力しても売上高や利益はほぼ変わりません。そうなると、年次に合わせた昇給は難しい職業だと言えます。
予め昇給分を給与に上乗せする理由は、仕事内容が同じ薬剤師は額面給与が高い薬局に転職していくからです。雇用主からしたら、人件費に使える予算は予め決まっています。募集求人の額面を多く見せなければ、新しい人材を確保できないですね。
他の調剤薬局も同じ事をしているため、20代の平均年収は高くなります。
病院勤務の場合も、赤字経営や医療費の削減で薬剤師の給与は低いです。私たち薬剤師が30代、40代と収入を増やすには、意識してキャリアを築く必要があります。国家資格を取得したからと安心していると、経験年数に応じて昇給するのは無理です。
では、私たち20代がキャリアを築くにはどうしたら良いでしょうか?
20代でも、薬剤師が高収入を得る方法は?
私たちや薬剤師が高い収入を得るには、具体的にはどうしたら良いでしょうか。
方法1:都市よりも薬剤師が少ない地方で働く
- 奈良県の平均年収は、全国最高で777.3万円もある
- 三重県の平均年収は、全国最低で437.5万円しかない
- 東京は570万円、大阪は510万円、京都は484万円だけ
- 薬剤師が少ない地方都市は、都市圏よりも平均年収が高い
薬剤師の給料を増やす1番簡単な方法は、薬剤師が足りていない地方で働く事です。
例えば、東京都から奈良県に引っ越して働くだけで、平均年収は207.3万円も増えますね。また、平均年収が371万円しかない青森県でも、薬剤師ならば670万円になります。同じ県内でも薬剤師の数次第で大きく変わります。
例えば、福岡市内の調剤薬局では年収500万円、市内から外れた地域に行くと年収800万円で募集もザラにあります。薬剤師の需要が高い都道府県で働くだけで、簡単に年収を増やす事ができます。
これは、薬剤師にしかない大きな特権ですね。
方法2:ドラッグストア で年収500万円以上を稼ぐ
- ドラッグストアだと、20代でも年収500万円以上稼げる
- 薬剤師手当月5〜10万円の他に、時間外手当や夜勤が加算される
- 店舗が増え続けているため、薬剤師の数はまだまだ足りていない
- 医薬品の規制緩和で、ドラッグストアの需要が増している
ドラッグストアに転職する事でも、年収を増やす事ができます。
調剤薬局や病院勤務よりも、ドラッグストアの給料が高い理由は、薬剤師手当の他に残業代や夜勤手が支給されるからですね。そのため、経験が浅い20代でも年収500万円以上を稼げます。
ただし、ドラッグストアへの転職は十分に注意した方が良いですね。調剤薬局が併設しない店舗も多く、調剤業務ができないストアもあるからです。また、品出しやレジ打ちなど、薬剤師と直接関係ない雑務も増えます。
一時的に収入は増えても、その後は頭打ちになる可能性もありますね。
方法3:調剤経験を積み将来的に管理薬剤師を目指す
- 国家資格がある上に、マネジメントできる人材は需要が高い
- 管理薬剤師になれば、製薬会社やドラッグストア でも需要が高い
- 調剤薬局や病院でも、その店舗の最高額の給与を得られる
- 薬剤部門や店舗管理者として、責任を持って仕事ができる
薬剤師のキャリアを築く上で大事な事は、20代はしっかりと調剤経験を積む事です。また、調剤経験だけでは十分ではなく、仕事が慣れたら現場のマネジメントも意識しましょう。管理薬剤師というポジションに就けば、製薬会社やドラッグストアからも需要が高いです。
まずは、調剤経験の基礎を積める職場で働く事を意識しましょう。調剤経験を積まずに年齢を重ねてしまうと、30代や40代でキャリアの選択肢が狭まります。逆にいうと、現場責任者のポジションに就けば、どこの職場でも平均以上の給与を得られます。
まとめ:20代薬剤師の年収は509万円もある
- 調剤薬局は、昇給分を初任給に上乗せしている
- 初任給は高いが、管理薬剤師になる以外で昇給や昇進がない
- 管理薬剤師に昇進しても、年収は500〜700万円
- 赤字経営が多い上に医療費削減で、病院勤務の給料は上がらない
- 薬局や病院勤務の給料は、薬剤師が足りない地方ほど高い
薬剤師の給料が少ないと感じる理由は、働く職場によって給与格差が大きい上に、給料が低い職場ほど昇給しないからです。製薬会社やドラッグストア勤務だと、平均以上の年収を得られます。しかし、調剤薬局や病院勤務だと、給料が少ない上にほとんど昇給しません。
薬剤師の6割以上は、調剤薬局や病院に勤めていますね。
調剤薬局の給料が増えない理由は、昇給額を初任給に上乗せしてるからです。調剤薬局や病院勤務の場合、調剤報酬があるため売上は利益は変わりません。その中で、新しい人材を確保するには、初任給や額面を多く見せる必要があります。
なぜならば、業務内容が同じなので、薬剤師は額面が高い薬局に転職するからです。
20代の薬剤師がキャリアを築く上で重要な事は、まずはしっかりと調剤経験を積む事です。調剤経験がある上で、現場のマネジメントができる人材は製薬会社やドラッグストア でも重宝されますね。そうすれば、20代後半や30代で年収を増やすための転職が楽になります。
逆にいうと、調剤経験ができない、マネジメントができない人材はキャリアの幅が狭くなります。20代のうちは額面給与よりも、確実に経験を積む事を重視しましょう。
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