ドラッグストアの求人を見ると、「年収450~700万、経験者や資格者優遇」と書かれていますよね。また、調剤薬局や病院よりもドラッグストアの方が稼げると良く聞きます。では、調剤経験者がドラッグストに転職したら、実際にはどれくらいの年収を得られるのでしょうか?
- 「ドラッグストア勤務の30歳で、月給30万は多いのか…」
- 「大手ウエルシアだと、初任給で年収600万て本当かな…」
- 「ドラッグストア は、年収700万て聞いたけど少ないかな…」
ドラッグストアに転職したら、20代でも年収500万円は稼げます。
調剤薬局や病院勤務と比較して、年収は100〜150万円程度増えますね。若くても高収入を得られる理由は、薬剤師手当の月5〜10万円以外でも、残業代や夜勤手当が支給されるからです。調剤部門責任者や店舗責任者に昇進すれば、年収は700万円前後まで増えます。
ドラッグストア業界は、年率6.2%で急拡大している成長産業です。
医薬品販売の規制緩和により、2018年の店舗数は2万228まで増加しました。店舗数の増加に合わせて、薬剤師の需要も急増しています。調剤業務以外に品出しやレジ打ちなど雑務が多いなどのデメリットもあります。また、夜勤や残業代で稼ぐだけでは、30代で年収は高止まりします。
デメリットがありながらも、収入目的に転職する薬剤師は増えていますね。
ここでは、大手ドラッグストアの売上高や平均年収ランキングを紹介します。それから、ドラッグストアで働くデメリットや向いている薬剤師も紹介します。東京や大阪などの都市で働きたい、確実に収入を増やしたい薬剤師にドラッグストア は向いています。
- ドラッグストアの平均年収は、500〜700万円?
- 大手ドラッグストアの売上高、平均年収ランキングは?
- ドラッグストアで働くデメリットや向いている人は?
記事の内容を簡単に知りたい
ドラッグストアに転職すれば、本当に年収は増えるのか…
調剤薬局や病院勤務で働く薬剤師と比較したら、ドラッグストアは少し驚くくらい高収入です。でも、本当にドラッグストアに転職したら年収は増えるのでしょうか。
Aさん)ドラッグストアで月給30万円は少ない…
30歳の正社員薬剤師で月給30万は少ない?仕事中、デスクに給与明細が置いてあったので、見せてもらいました。その人は31歳で正社員5年目くらい?です。
(1日8時間+残業)×20日or21日
基本給が20万ちょっと+薬剤師手当10万円ー控除もろもろ=手取り30万円でした。薬剤師ってこんなくらいしかもらえないのでしょうか?店はマツモトキヨXです。店舗としては忙しく売り上げもいい方です。勝手に見たのではなく「あっ、OOさんの明細じゃん、見ていい?」「ん。別に見たっていーよ。ったく、なんで薬剤師でこんなに少ねーんだよ!怒!」っていう流れです。
参考:Yahoo知恵袋
手取り30万円を年収に換算すると、540万円前後(額面40万円+賞与2ヶ月分)になりますね。さらに、残業代や夜勤手当も支給されるため、最終的な年収は540〜650万円になります。30歳の会社員の平均年収は400万円なので、十分に高いと言えますね。
Bさん)ウエルシアの初任給が600万円て本当なの…
ウエルシアの薬剤師は初任給から年収600万ですよね。比較的地方の薬局でも新卒なら年収500万程度だと考えるとこれってかなり破格ではないですか?1日9時間労働であっても他の薬局なんて残業しても残業代なんてでないので労働条件がそんなに悪いようには思えません。
しかしいきなり年収600万で昇級がないとしても薬剤師で年収600万ってかなりおいしいですよね。私も高年収を得るために行ってみたいと思ったのですが、何か裏があるんじゃと思ってしますのです。ただ単に報酬を弾んでくれる優良企業なのでしょうか?ウエルシアで働かれている薬剤師の方や知り合いにウエルシアの薬剤師がいる方、何か情報がありましたら教えて下さい。
参考:Yahoo知恵袋
業界2番手のウエルシアHDの平均年収は、738.7万円です。ただし、30歳の平均年収は594万円なので、初任給はもっと下がります(参考:ウエルシアHD株式会社の年収)。基本給と薬剤師手当だけで600万円にならないけど、残業代や夜勤手当を含めると超える可能性はあります。
年収600万円稼げても、プライベートを犠牲にして働きます。また、残業代や夜勤で稼いでも、昇給しなければ30代の収入は逆に下がりますね。薬剤の調剤能力以外に、店舗を運営する力がなければ昇級できません。
Cさん)ドラッグストア勤務だと年収は700万円くらい…
薬剤師の年収が低いと言っている人はどういう人なんですか??
知識の他にコミュニケーション能力が必要とはいえ相手にお願いして商品を買ってもらうようなサラリーマン とは違うためコミュニケーションが苦手でも慣れていけると思います。例えばドラッグストアだと700万円くらいのようです。知っている薬剤師さんは1200万円と言っていました。
大手企業と比べて低いと言っているわけではないと思いますし就職の難しい大手企業よりも低いのは当然だと思います。聞きたいのは一般的な職業と比べてどのくらい差があるか知りたいのです。介護師 管理栄養師 普通の文系のサラリーマンとかと比べてどうですか?
マツモトキヨシの平均均年収は770万円です。知っている薬剤師さんはそのドラッグストアでは薬剤師の責任者みたいですが他には数人薬剤師がいて700万円くらいが普通らしいです。その薬剤師さんは前は他のドラッグストアで働いていて責任者でない時でも700万円くらいだったと言っていたので昇給しなくても毎年年収700万円なら十分であると感じます。立場的には登録販売者の方が上である場合もあるようです。
参考:Yahoo知恵袋
厚生労働省が公表する薬剤師の平均年収は542.5万円です(参考:薬剤師の年収は542.5万円|男女別、年代別、会社別の相場は)。一般的な会社員の平均年収は414万円、介護士は320万円、営業管理士は340万円です。
ドラッグストアだと、調剤薬局や病院よりも高く年収は500〜700万円も貰えますね。
薬剤師で年収が少ないと感じているのは、医師や歯科医と比較しているからです。医師や歯科医と同様に6年制大学を卒業して国家資格を取得します。6年制の私立大学に通うと、1127万円の学費が掛かります。高い学費を支払い卒業し病院に勤務しても、年収は400万円程度しか貰えません。
では、調剤薬局や病院と比較して、ドラッグストアではどれくらいの給与を得られるでしょうか。
薬剤師の年収比較、ドラッグストア は「500〜700万円」?
薬剤師 | 初任給 | 初年収 | 30歳前後の年収 |
---|---|---|---|
製薬会社 | 22万円 | 300〜350万円 | 600〜800万円 |
ドラッグストア | 25〜35万円 | 350〜450万円 | 500〜700万円 |
調剤薬局 | 22〜30万円 | 350〜400万円 | 450〜500万円 |
病院勤務 | 20〜25万円 | 300〜350万円 | 350〜420万円 |
ドラッグストアは、初任給や初年収が他よりも高く設定されていますね。
ドラッグストアの年収が高い理由は、1年目でも月5〜10万円の「薬剤師手当」が支給されるからです。また、24時間営業で夜勤もあるため、20代で最も稼ぎやすい働き方です。ドラッグストアの求人を見ると、「資格所有者、年収450〜700万円」で募集していますね。
薬剤師の年収は、30歳以降になると大きく差が出る事に注意が必要です。
民間企業の製薬会社やドラッグストアでは、ポジションが上がるにつれて昇給しますね。しかし、調剤薬局や病院勤務は、30歳以降も昇給しにくいです。なぜならば、診療報酬や調剤報酬で売上が規制されているからです。
経験年数と共に収入を増やすには、民間企業にステップアップする必要があります。もしくは、都市よりも給料が高い地方の調剤薬局や病院で働くべきです(参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?)。
大手ドラッグストアに就職すると、どれくらいの年収を得られるでしょうか?
大手ドラッグストアの売上高と平均年収は?
ドラッグストア 業界は、右肩上がりに急成長しています。2019年度の売上高の業界1位は、ツルハHDの7824億円もありますね。では、私たちが大手ドラッグストアに勤務すれば、どれくらいの年収を得られるでしょうか?
その1:大手の売上高ランキングと平均年収は?
順位 | 企業名 | 売上高(百万円) | 平均年齢 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|
1位 | ツルハホールディングス | 782,447 | 44歳 | 601.4万円 |
2位 | ウエルシアホールディングス | 779,148 | 57歳 | 738.7万円 |
3位 | コスモス薬品 | 611,137 | 29歳 | 419.1万円 |
4位 | マツモトキヨシホールディングス | 554,605 | 45歳 | 743.2万円 |
5位 | スギホールディングス | 488,464 | 40歳 | 553.5万円 |
6位 | サンドラッグ | 411,212 | 33歳 | 526.2万円 |
7位 | ココカラファイン | 397,403 | 45歳 | 641.3万円 |
8位 | クリエイトSDホールディングス | 284,270 | 50歳 | 1080.7万円 |
9位 | カワチ薬品 | 264,926 | 34歳 | 534.2万円 |
10位 | クスリのアオキホールディングス | 250,885 | 32歳 | 432.1万円 |
2019年度の売上高の業界1位は、ツルハHDの7824億円です。業界最大手の平均年収を見ると、社員の給料は売上高ではなく、平均年齢に相関している事がわかります。つまり、大手ドラッグストアであれば、どこの企業に就職しても年収に差はありません。
また、全社員の平均年収なので、薬剤師は月5〜10万円の手当が別途支給されます。
- 30代:550〜680万円(+60〜120万円)
- 40代:680〜740万円(+60〜120万円)
- 50代:740万円〜(+60〜120万円)
クリエイトSDHDの平均年収が高いのは、社員が8人だけの管理会社だからです。クリエイトSDHDに就職した薬剤師の年収は、400〜650万円が相場です。また、平均年齢が29歳や32歳と若いのは、ドラッグストア 業界が急拡大し新規参入が増えているからです。
その2:ドラッグストアの売上高は「前年比6.2%」?
2018年のドラッグストアの売上高は、前年比6.2%増加の7兆2,744億円です。さらに、大手ドラッグストア各社は店舗数を増やし続け、ドラッグストアの総店舗数は2万228店舗まで増えています。2018年の新規出店数は694と、過去最大の伸び率を記録しています。
今後もドラッグストア 業界は、順調に売上を伸ばす事が予想されています。過去20年で、急激に売上を増やしている理由は次の3つの要因が大きいです。
- 医薬品販売の規制緩和により、ドラッグストアの需要が急拡大している
- 繁華街を中心とした都市型店舗が増え、外国人観光客の人気を集めている
- 都市型店舗は面積が狭いが、化粧品や医薬品など高単価商品が多い
ドラッグストアには薬剤師が必ず必要なので、店舗数が増えるだけ需要は高まります。
その3:ドラッグストア は20代でも「高収入」?
- ドラッグストアの店舗数の拡大で、薬剤師が足りてない
- 24時間営業も多く、仕事は忙しいが夜勤や残業手当が貰える
- 経験がない薬剤師でも、月5〜10万円の薬剤師手当がある
ドラッグストアは、20代でも薬剤師の給与が高い特徴があります。
なぜならば、店舗数が拡大する中で、薬剤師の数が足りていないからです。24時間営業の店舗も多く、夜勤や残業手当で稼ぐ20代も多いです。薬剤師手当の他に夜勤や残業も含めれば、経験が浅い20代でも年収500万円以上を稼げますね。
店舗責任者に任される年齢になると、年収は700万円を超えます。ただし、ドラッグストア勤務では、仕事が忙し過ぎる、調剤経験が積めないなどのデメリットもあります。
ドラッグストアの「デメリット」や向いている人は?
調剤薬局と比較したドラッグストア のメリットとデメリットを紹介します。デメリットを正しく把握する事で、ドラッグストアに向いている薬剤師もわかりますね。
その1:調剤薬局と比較した「デメリット」は?
メリット | デメリット | |
---|---|---|
調剤薬局 |
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ドラッグストア |
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ドラッグストアの最大のメリットは、20代でも高収入を稼ぎやすい事です。
調剤薬局では、東京や大阪などの都市ほど給料は低く抑えられます。また、診療報酬や薬剤報酬が原因で、30歳を過ぎて収入を増やすのは難しいですね。他にも、調剤業務以外の経験を幅広く積めるのも、ドラッグストアの魅力ですね。
直にお客さんと接する事で、薬剤に関する様々な課題が見えてきます。
ただし、品出しやレジ打ちなど、薬剤師以外の雑務が増えるのは大きなデメリットですね。給与は高いけれども労働時間は長く、プライベートの時間が減るのは避けられません。では、ドラッグストアに向いているのは、どのような薬剤師なのでしょうか?
その2:ドラッグストアが「向いている人」は?
- 経験が浅い20代でも、できる限り収入を増やしたい
- 地方の調剤薬局より、給料が高い都市圏で働きたい
- ルーチンワークよりも、臨機応変に仕事がしたい
- 規制された業界ではなく、民間企業で利益を追求したい
- 学生時代の奨学金を1日でも早く返済したい
ドラッグストアが向いている人は、今よりも確実に収入を増やしたい人です。
また、地方よりも都市圏に住みたい人の方が向いています。なぜならば、東京や大阪、京都で働くならば民間企業の方が調剤薬局や病院よりも給料が高いからです。薬剤師が少ない地方では、収入が逆転するケースもあります(参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?)。
そのため、都内で働きたい人は、大手ドラッグストアの方が向いてますね。
また、医師の処方箋通りの調剤業務に、飽きた人も民間企業に向いていますね。ドラッグストアでは、自分で考えて行動する必要があるため、臨機応変に対応する事が求められます。会社の利益を考えて行動する事も、人によっては楽しいと思えますね。
ドラッグストアの店舗で働く事で、お客さんが何を求めているのか敏感に知れます。
その3:「調剤併設型」ではない店舗は避ける
- 調剤業務の経験が積めず、薬剤師のキャリアが限定される
- 経験が浅い薬剤師は、レジ打ちしか担当させてもらえない
- OTC販売型だと、薬剤師手当がない店舗もある
ドラッグストアには、「OTC販売型」と「調剤併設型」の2つがあります。
OTCとは、2007年までの法律で一般用医薬品と呼ばれていたものですね。OTC医薬品は医師の処方箋なしで店頭にて購入できます。そのため、OTC販売しかないドラッグストアに勤務すると、薬剤師としてのキャリアが限定されてしまいます。
薬剤師がいなくても成り立つため、薬剤師手当が付かない店舗もあります。ドラッグストアを目指すならば、必ず「調剤併設型」を選択しましょう。
まとめ:ドラッグストアの年収は500〜700万円?
- ドラッグストアの店舗数の拡大で、薬剤師が足りてない
- 24時間営業も多く、仕事は忙しいが夜勤や残業手当が貰える
- 経験がない薬剤師でも、月5〜10万円の薬剤師手当がある
- 残業代や夜勤があるため、20代でも年収500万円以上稼げる
- 調剤部門の責任者や店長になれば、年収700万円前後になる
ドラッグストアに転職したら、20代でも年収500万円は稼げます。調剤薬局や病院勤務と比較して、年収は100〜150万円程度増えますね。若くても高収入を得られる理由は、薬剤師手当の月5〜10万円以外でも、残業代や夜勤手当が支給されるからです。調剤部門責任者や店舗責任者に昇進すれば、年収は700万円前後まで増えます。
ドラッグストア業界は、年率6.2%で急拡大している成長産業です。
医薬品販売の規制緩和により、2018年の店舗数は2万228まで増加しました。店舗数の増加に合わせて、薬剤師の需要も急増しています。調剤業務以外に品出しやレジ打ちなど雑務が多いなどのデメリットもあります。また、夜勤や残業代で稼ぐだけでは、30代で年収は高止まりします。
デメリットがありながらも、収入目的に転職する薬剤師は増えていますね。
ドラッグストアに向いている人は、確実に今よりも稼ぎたい人、地方よりも都市で働きたい人、規制された医療業界ではなく民間企業で経験を積みたい人に向いています。調剤薬局のルーチンワークに疲れた人は、製薬会社やドラッグストアも視野に入れましょう。
「調剤併設型」のドラッグストア勤務ならば、薬剤師のキャリアが制限される事はありません。
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