想像していたよりも、給料の低さにショックを受ける薬剤師は多いです。しかしながら、薬剤師の平均年収は542.5万円と決して低くはありません。私たち薬剤師が、給料が少ないと感じる原因はどこにあるのでしょうか?
- 「薬剤師の年収は700万て聞いたけど、なぜ少ないと言う人がいるの…」
- 「東京都の大きな病院でも、薬剤師の月給が22万円しかない…」
- 「30歳の薬剤師で手取り30万円は、やっぱり少ないと思う…」
薬剤師の給料が少ないと感じる最大の原因は、費用対効果の悪さにあります。
私たち薬剤師が国家資格を取得するには、6年制の大学を卒業する必要があります。そして、私立の大学に入学して卒業するには、1127万円の学費が必要ですね。しかしながら、薬学部の就職先の6割を占める調剤薬局や病院に就職しても、年収は350〜420万円にしかなりません。
会社員と比較すると多いが、同じ6年制の医学部や歯学部と比較すると明らかに少ないですよね。医師の平均年収は1230万円ある上に、開業すれば2〜3000万円の収入を得られます。薬剤師の偏差値は、医学や歯学部と大きく変わりません。
さらに、今後も調剤薬局や病院の給料は上がる見込みはありません。
なぜならば、薬剤師は供給過多にある上に、今現在も急速に増え続けているからです。2013年時点で供給数36.9万人に対し、需要数23.2万人しかありません。さらに、診療報酬や薬剤報酬が国で定められているため、薬局や病院の売上が改善し薬剤師の給料が増える見込みもゼロです。
ここでは、薬剤師の年収が低いと感じる3つの理由を紹介します。それから、供給過多が原因で給料が減り続ける中で、私たち薬剤師が年収を増やす方法も紹介します。
- 薬剤師の年収が低いと感じる3つの原因は?
- 供給過多が原因で、今後も給与は下がり続ける?
- 薬剤師で平均以上に年収を増やす3つの方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
想像よりも薬剤師の給料が低くてショックだった…
薬学部時代に想像していたよりも、給料の低さにショックを受ける薬剤師は多いです。
Aさん)薬剤師の年収が低いって本当なのか…
薬剤師の年収が低いと言っている人はどういう人なんですか??
知識の他にコミュニケーション能力が必要とはいえ相手にお願いして商品を買ってもらうようなサラリーマン とは違うためコミュニケーションが苦手でも慣れていけると思います。例えばドラッグストアだと700万円くらいのようです。知っている薬剤師さんは1200万円と言っていました。
大手企業と比べて低いと言っているわけではないと思いますし就職の難しい大手企業よりも低いのは当然だと思います。聞きたいのは一般的な職業と比べてどのくらい差があるか知りたいのです。介護師 管理栄養師 普通の文系のサラリーマンとかと比べてどうですか?
マツモトキヨシの平均均年収は770万円です。知っている薬剤師さんはそのドラッグストアでは薬剤師の責任者みたいですが他には数人薬剤師がいて700万円くらいが普通らしいです。その薬剤師さんは前は他のドラッグストアで働いていて責任者でない時でも700万円くらいだったと言っていたので昇給しなくても毎年年収700万円なら十分であると感じます。立場的には登録販売者の方が上である場合もあるようです。
参考:Yahoo知恵袋
厚生労働省が公表する薬剤師の平均年収は542.5万円です(参考:薬剤師の年収は542.5万円|男女別、年代別、会社別の相場は)。一般的な会社員の平均年収は414万円、介護士は320万円、営業管理士は340万円です。薬剤師の年収は、一般的な会社員の平均よりも101万円も高いですね。
薬剤師の給与は、どこで働くかによって大きく異なります。調剤薬局や病院で働く薬剤師は、平均年収よりも低い職場が多いです。対して、製薬会社やドラッグストア で働く薬剤師は、業界の平均以上を貰えます。ただし、1000万円以上貰える仕事は、外資系製薬会社など限られますね。
Bさん)病院勤務の薬剤師は月給で22万円しかない…
どこの済生会の募集か知りませんが、済生会が給与水準がいいという噂は聞いたことがない。むしろ、低めだと聞いてたので、その数字には驚きました。私が知ってるのは、数年前だから、今は違うのかなと、現在募集中のところを見るんだけど、、、、
求人:東京都済生会中央病院
基本給:186,000円(勤続給100,000円+職能給86,000円)
調整手当:21,000円
住宅手当:5,000~18,000円
合計:212,000~225,000円※上記金額は、6年課程の大学新卒者の初任給です。
※勤務経験のある方の給与については、当院の規定により職歴加算をさせていただきます。当日直や残業があるとしても、そこまでありそうに思えない。考えられるのは、田舎で定数が少なくて、当直日数が異常に多い場合。看護師並みに月8回もすれば、軽くオーバーしそうです。5人しかいないところなら、月6回だわ。そういう計算ならわかる。
参考:Yahoo知恵袋
薬剤師は高給だと思っている人は多いですよね。
しかしながら、病院や調剤薬局で働く薬剤師の給与は低いです。ある病院の給与は22.5万円、手取りにすると19万円しかありません。病院勤務の給与が安い原因は、赤字経営の病院が多いからです。医師や看護師が優先されるため、薬剤師の給与は低く抑えられます。
Cさん)30歳の薬剤師で手取り30万円は少ない…
30歳の正社員薬剤師で月給30万は少ない?仕事中、デスクに給与明細が置いてあったので、見せてもらいました。その人は31歳で正社員5年目くらい?です。
(1日8時間+残業)×20日or21日
基本給が20万ちょっと+薬剤師手当10万円ー控除もろもろ=手取り30万円でした。薬剤師ってこんなくらいしかもらえないのでしょうか?店はマツモトキヨXです。店舗としては忙しく売り上げもいい方です。勝手に見たのではなく「あっ、OOさんの明細じゃん、見ていい?」「ん。別に見たっていーよ。ったく、なんで薬剤師でこんなに少ねーんだよ!怒!」っていう流れです。
参考:Yahoo知恵袋
手取り30万円の年収は、540万円(額面40万円+賞与2ヶ月分)ですね。
さらに、基本給と薬剤師手当以外にも、残業代や夜勤手当が支給されます。最終的な年収は、540〜650万円になると思います。30歳の会社員の平均年収は400万円なので、普通の業種よりも多い事が分かります。薬剤師の給与が少ないと感じる理由は、国家資格を取るために6年間の高額な学費を支払っているからです。
薬剤師の年収は、会社員の平均よりも101万円も高いです。しかしながら、なぜ給与が低いと不満を語る薬剤師が多いのでしょうか?
薬剤師の「年収が低い」と感じる3つの原因は?
薬剤師の平均年収は、会社員よりも101万円も高いですね。しかしながら、実際には多くの薬剤師が給料を少ないと感じています。なぜ、平均年収が542万円もあるのに少ないと感じるのしょうか?
原因1:学費1127万円に対して費用対効果が悪い
薬剤師は、医師や歯医者と比較して費用対効果が低い国家資格です。
6年間の私立大学を卒業するのに必要な学費は1127万円です。新卒で製薬会社に就職すれば給料は良いが、調剤薬局や病院勤務だと年収は400万円前後ですね。6年間の奨学金を返済するのに、10年以上もの期間を必要とします。
医学部や歯学部は、薬剤師よりも学費が高いですね。しかしながら、医師の平均年収は1230万円で、薬剤師の2倍以上です。さらに、医師や歯医者が開業医になれば、年収で3000万円を稼ぐ事も難しくないですね。
- 医師の平均年収:1230万円
- 歯医者の平均年収:750万円
- 薬剤師の平均年収:542万円
- 会社員の平均年収:441万円
医師や歯医者と比較して、薬剤師は費用対効果が悪い国家資格だと言えます。
原因2:調剤薬局と病院の給与は平均より低い
平均年収(30歳) | 特徴 | |
---|---|---|
製薬会社 | 600〜800万円 |
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ドラッグストア | 500〜600万円 |
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調剤薬局 | 450〜500万円 |
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病院勤務 | 350〜420万円 |
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参考:薬剤師の年収は542.5万円|男女別、年代別、会社別の相場は?
国家資格が必要である薬剤師は、高給だとイメージする人は多いですよね。
しかしながら、調剤薬局や病院勤務の給料は、平均年収の542万円よりも低いです。新卒で就職しても初年度の給与は、350〜400万円しかありません。さらに、昇給がしにくい上に、30代後半で頭打ちにもなります。
薬剤師の給与が高いのは、製薬会社やドラッグストア の民間企業に就職し昇進した時だけです。国家資格を取得したから安泰ではなく、自分でキャリアを設計していく必要があります。
原因3:初任給は高いが30代以降は昇給しにくい
薬剤師として働き10年未満。これからのホープと呼ばれる世代です。20代で貰いたい理想の年収はおよそ462.0万円を超える年収です。30代になると、薬剤師としてある程度力がついてきたころ。役職についたり、責任ある仕事を任されることも。そんな30代で貰いたい理想の年収は490.0万円を超える年収です。40代の理想の年収は686.0万円を超える年収です。
薬剤師の給料は、初任給は高いけれども昇給しにくい特徴があります。
給料バンクによると、20代の理想年収は462万円なのに対し、30代は490万円と28万円しか増えていません。30代の会社員男性の平均年収は461〜517万円もあるため、30代では逆転現象が起きます。6年間掛けて国家資格を取得したのに、会社員の平均よりも低くなるのは辛いですよね。
薬剤師は国家資格があるため、20代でも高収入を得られます。
しかしながら、調剤薬局や病院勤務だと昇給額は少なく、ほぼ年収は増えません。薬剤師で40代を超えて稼ぐ人は、製薬会社やドラッグストア など民間企業で働く人だけです。20代や30代の年収を比較すると、薬剤師は経験年数と共に、昇給がしにくい職種だと分かりますね。
では、今後は薬剤師の給料はどのように変わっていくのでしょうか?
供給過多が原因で、今後も給与は下がり続ける?
薬剤師の給与は、今後も増えていかない事が予想できます。なぜならば、調剤薬局や病院で勤務する薬剤師の数が飽和状態にあるからです。
薬剤師の数は増え続け、1988年から16年間で2倍の28.8万人まで急増しています。2016年には30万人も超えました(参考:【厚労省調査】薬剤師数、初の30万人突破)。しかしながら、2013年時点で薬剤師の供給数は36.9万人に対し、需要数は23.2万人しかありません(参考:薬剤師需給の将来動向に関する検討会)。
供給過多の状況の中で、薬剤師が給与を増やすのは難しいですよね。東京都の大きな病院でも、6年大学を卒業した薬剤師の月給は22万円だけです。
- 基本給:186,000円(勤続給100,000円+職能給86,000円)
- 調整手当:21,000円
- 住宅手当:5,000~18,000円
- 合計:212,000~225,000円
病院勤務の給料が低く抑えられている原因は、診療報酬や薬剤報酬では売上に限界があるからです。供給過多の調剤薬局や病院を離れ、製薬会社やドラッグストア などの民間企業に流れる薬剤師が増えています。
では、私たち薬剤師が給料を増やすにはどうすれば良いでしょうか?
薬剤師で平均以上に年収を「増やす方法」は?
私たち薬剤師が、平均以上の年収を稼ぐにはどうすれば良いでしょうか。
対策1:薬剤師が不足してる地方都市で働く
- 奈良県の平均年収は、全国最高で777.3万円もある
- 三重県の平均年収は、全国最低で437.5万円しかない
- 東京は570万円、大阪は510万円、京都は484万円だけ
- 薬剤師が少ない地方都市は、都市圏よりも平均年収が高い
薬剤師の給料を増やす1番単純な方法は、薬剤師が足りていない地方都市で働く事です。
例えば、東京都から奈良県に引っ越して働くだけで、平均年収は207.3万円も増えますね。また、平均年収が371万円しかない青森県でも、薬剤師ならば670万円になります。東京の物価で換算すると、生活水準は年収1200万円で都内暮らしと同じ水準です。
薬剤師の需要が高い都道府県で働くだけで、簡単に年収を増やす事ができます。
対策2:年収500万円以上のドラッグストアで働く
- 一般薬の規制緩和で、ドラッグストアの売上が伸びている
- 大手ドラッグストアは店舗数に対して、薬事師の数が足りていない
- 24時間営業のストアも多く、夜勤手当が支給される
- 管理薬剤師や店舗責任者など、調剤以外にマネジメントも経験できる
- 夜勤手当を入れると、20代でも年収は500万円を超える
調剤薬局や病院勤務と比較して、ドラッグストア の平均年収は高いです。
平均年収が高い理由は、一般薬の規制緩和で急激に売上を伸ばしているからです。急激な店舗数の増加に対して、薬剤師の数は足りていません。ドラッグストア では必ず薬剤師を配置する必要があります。夜勤手当を含めれば、20代でも年収は500万円を超えます。
大手ドラッグストア のマツモトキヨシの平均年収は770万円もあります。ただし、ドラッグストアに勤務すると、調剤経験が積めないなどデメリットもありますね。
対策3:製薬会社でMRや開発研究を目指す
- 新しい薬の研究開発を行い、専門性が高い業務ができる
- 薬剤師の資格がないと入社できないため、希少価値が高い
- 薬剤の知識だけではなく、ビジネス的な能力も必要とされる
- 薬学部の学生から人気が高く、平均年収は800万円以上が多い
- 外資系製薬会社なら、年収1000万円を超える事もある
薬剤師で将来のキャリアを考えるならば、製薬会社に就職するべきです。
新しい薬や研究を行う製薬会社では、幅広い薬学の知識を必要とします。誰でも就職できるわけではないため、国家資格がある薬剤師は重宝されますね。製薬会社は薬学部生からも人気が高く、日系企業でも平均年収は800万円を超えます。
薬剤に関する知識だけではなく、ビジネス的な能力も必要とされます。
ただし、研究開発や管理薬剤師以外にも、医薬情報担当者(MR)の仕事がありますね。営業に苦手意識を持っている人は、製薬会社が合わない人も少なくありません。給料が高いから製薬会社を選ぶのではなく、業務内容を把握した上で自分に適した働き方を選択しましょう。
収入だけを目的にしないならば、調剤薬局の方がストレスなく働けますね。
まとめ:薬剤師の平均年収534万円は低いの?
- 東京や大阪よりも、薬剤師が不足してる地方都市で働く
- 調剤経験を積んだら、年収500万円以上のドラッグストアで働く
- 年収800万円以上の製薬会社で、MRや開発研究を目指す
薬剤師の給料が少ないと感じる原因は、費用対効果の悪さにありますね。私たち薬剤師が国家資格を取得するには、6年制の大学を卒業する必要があります。そして、私立の大学に入学して卒業するには、1127万円の学費が必要ですね。調剤薬局や病院に就職しても、年収は350〜420万円にしかなりません。
会社員と比較すると多いが、同じ6年制の医学部や歯学部と比較すると明らかに少ないですよね。医師の平均年収は1230万円ある上に、開業すれば2〜3000万円の収入を得られます。薬剤師の偏差値は、医学や歯学部と大きく変わりません。
さらに、今後も調剤薬局や病院の給料は上がる見込みはありません。
なぜならば、薬剤師は供給過多にある上に、今現在も急速に増え続けているからです。2013年時点で供給数36.9万人に対し、需要数23.2万人しかありません。さらに、診療報酬や薬剤報酬が国で定められているため、薬局や病院の売上が改善し薬剤師の給料が増える見込みもゼロです。
薬剤師を続けながら30代でも収入を増やすには、調剤経験を活かしてドラッグストアや製薬会社で働く必要があります。ドラッグストアであれば年収は500万円、製薬会社であれば将来的に800万円を稼ぐのは難しくありません。
もちろん、収入を目的に働くわけではないならば、薬局や病院の方がストレスなく働けますね。
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