調剤薬局や病院で働いていると、思ったよりも給料が低いと嘆く人が少なくありません。
しかしながら、薬剤師の平均年収は542.5万円なので、一般会社員の平均(441万円)よりも101.5万円も高い給与を得られます。また女性薬剤師であれば、会社員女性の平均よりも237万円も高い給与で働けます。そのため、女性でも活躍しやすい薬剤師は、全体の6割を占めるほど割合が高いです。
薬剤師の給与が低いと感じる人は、どのようにして薬剤師の給与が決まるか知らないからです。
例えば、調剤薬局や病院よりも、製薬会社やドラッグストア で働くと年収は100〜200万円も違います。また、薬剤師の数が足りていない地方都市で働くだけでも、最大で300万円も違います。例えば、奈良県の薬剤師の年収は777.3万円、静岡県なら684.6万円、青森県なら670万円ですね。人件費や物価差ではなく、薬剤師の需給関係で給与が決まるからです。
薬剤師の給与の仕組みを知れば、平均以上の年収を稼ぐのは難しくありません。ここでは、男女別、年代別、会社別、都道府県別の薬剤師の平均年収の相場を紹介します。
- 薬剤師の平均年収は542.5万円もある?
- 薬剤師の男女別、年代別、会社別、都道府県別の年収は?
- 薬剤師で平均以上の年収を稼ぐ3つの方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
薬剤師の男女別、年代別、会社別の平均年収は?
薬剤師の男女別、年代別、会社別、都道府県別の平均年収を紹介します。
【平均年収】薬剤師の平均は「542.5万円」
年齢 | 労働時間 | 超過時間 | 月給 | 賞与 | 平均年収 | |
---|---|---|---|---|---|---|
医師 | 40.9 | 162H | 16H | 89.0万円 | 92.1万円 | 1160.1万円 |
看護師 | 39.3 | 158H | 7H | 33.1万円 | 81.6万円 | 478.8万円 |
薬剤師 | 38.6 | 162H | 12H | 37.9万円 | 87.7万円 | 542.5万円 |
賃金構造基本統計調査結果(平成30年)によると、薬剤師の平均年収は542.5万円です。医師の平均年収1160万円よりは少ないが、看護師の478万円よりは高いですね。また、会社員の平均年収は441万円(参考:平成30年民間給与国税庁)なので、平均よりも101万円も高い事がわかります。
【男女別】女性会社員より「237万円」も高い
男女別 | 男性 | 女性 | 男女平均 |
---|---|---|---|
薬剤師 | 574.3万円 | 524.1万円 | 542.5万円 |
一般会社員 | 532万円 | 287万円 | 441万円 |
(参考:平成29年民間給与国税庁)
男性薬剤師と比較すると、女性薬剤師の平均年収は524万円と低いですね。
しかしながら、薬剤師は女性でも活躍できる貴重な職種だと言えますね。なぜならば、女性会社員の平均は287万円しかないからです。薬剤師として就職すれば、一般企業で働く女性よりも、237万円も高い給与で働く事ができます。
実際に、女性薬剤師の割合は全体の61.2%も占めていますね(参考:医師・歯科医師・薬剤師統計の概況)。
【年代別】薬剤師は「30代後半」から昇給しにくい
年代別 | 薬剤師 | 一般会社員 | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
20代前半 | 487万円 | 496万円 | 279万円 | 243万円 |
20代後半 | 536万円 | 517万円 | 393万円 | 318万円 |
30代前半 | 599万円 | 551万円 | 461万円 | 315万円 |
30代後半 | 661万円 | 576万円 | 517万円 | 315万円 |
40代前半 | 661万円 | 579万円 | 569万円 | 308万円 |
40代後半 | 658万円 | 617万円 | 630万円 | 310万円 |
50代前半 | 665万円 | 580万円 | 677万円 | 302万円 |
50代後半 | 680万円 | 586万円 | 669万円 | 298万円 |
薬剤師の平均年収の特徴は、20代でも国家資格を活かして高収入を得られる事です。一般会社員と比較して、20代で150〜200万円も高い年収を得られます。しかしながら、30代後半からの年収の伸びはガクンと落ちますね。40代、50代になると、一般会社員との差は小さくなります。
国家資格を活かせる反面、薬剤師はキャリアアップ が難しい職種でもあります。
【会社別】製薬会社なら「年収600万円」以上も稼げる
平均年収(30歳) | 特徴 | |
---|---|---|
製薬会社 | 600〜800万円 |
|
ドラッグストア | 500〜600万円 |
|
調剤薬局 | 450〜500万円 |
|
病院薬剤師 | 350〜420万円 |
|
薬剤師はどこで働くかによって、大きく平均年収は異なります。
製薬会社に勤めれば、確実に高収入を得られます。ただし、医薬情報担当者(MR)などの営業職につくと、本来の薬剤師とは異なる業務に不満を語る人も少なくありません。成果主義で評価されるため、20代でも高収入が得られる反面、仕事ができなければリストラの危機もあります。
大手ドラッグストア は、調剤薬局や病院よりも稼ぎやすい職種です。なぜならば、急激に店舗が拡大している中で薬剤師が足りない上に、24時間営業で労働時間も長いからです。簡単に稼げるのはメリットだが、品出しやレジ打ちも多く、薬剤師としてキャリアを築くのが難しい職種でもあります。
調剤薬局や病院勤務は、調剤業務や服薬指導、薬歴管理など、薬剤師の基礎知識を積めます。しかしながら、製薬会社やドラッグストア と比較して、年収が低い上に今後も昇給は見込めません。なぜならば、財政赤字を抱える日本では、診療報酬や調剤報酬は減額される一方だからです。
働き方はそれぞれ異なるため、自分に合った働き方を検討する必要がありますね。
【都道府県別】奈良県の薬剤師は年収が「777万円」
薬剤師の平均年収が最も高い都道府県は、奈良県の777.3万円です。意外にも、東京都の平均年収は570万円と10位にランクインしています。東京の会社員の平均年収は622万円なので、国家資格がある薬剤師の方が会社員よりも給料が低くなります(参考:都道府県別平均年収ランキング)。
東京や大阪よりも地方都市の年収が高い理由は、人件費や家賃などの物価差と連動しないからです。調剤薬局や病院の売上げは、政府で管理されている調剤報酬で全国一律です。そのため、都道府県が変わっても基本的には売上は変わらないですね。
平均年収に影響を与えるのは、薬剤師の需給関係だけです。
例えば、青森の平均年収は全国44位で371万円だけです。しかしながら、薬剤師の年収が670万円と高い理由は、青森県には薬学部が1校もないからですね。薬剤師がいなければ病院が成り立たないため、高い給与で募集するしか道はありません。
では、私たち薬剤師が平均年収を増やすには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
薬剤師で平均以上に年収を「増やす方法」は?
私たち薬剤師が、平均以上の年収を稼ぐにはどうすれば良いでしょうか。
方法1:薬剤師の数が足りていない地方都市で働く
- 奈良県の平均年収は、全国最高で777.3万円もある
- 三重県の平均年収は、全国最低で437.5万円しかない
- 東京は570万円、大阪は510万円、京都は484万円だけ
- 薬剤師が少ない地方都市は、都市圏よりも平均年収が高い
薬剤師の給料を増やす1番単純な方法は、薬剤師が足りていない地方都市で働く事です。
例えば、東京都から奈良県に引っ越して働くだけで、平均年収は207.3万円も増えますね。また、平均年収が371万円しかない青森県でも、薬剤師ならば670万円になります。東京の物価で換算すると、生活水準は年収1200万円で都内暮らしと同じ水準です。
薬剤師の需要が高い都道府県で働くだけで、簡単に年収を増やす事ができます。
方法2:調剤業務以外にマネジメントを経験する
- 調剤薬局で管理薬剤師(店舗責任者)を目指す
- ドラッグストア で薬剤部の責任者や店長を目指す
- 病院の薬剤部門で、管理職を目指す
- 製薬会社で、各部門の課長やチームリーダーを目指す
国家資格だけを活かして、薬剤師の収入を増やすのは難しいです。
なぜならば、2013年時点で薬剤師の供給数は36.9万人に対し、需要数は23.2万人と供給過多にあるからです(参考:薬剤師需給の将来動向に関する検討会)。さらに現在も薬剤師の数は増え続け、わずか20年間で19.4万人から30.1万人まで増加しています(参考:【厚労省調査】薬剤師数、初の30万人突破)。
薬剤師の数が増え続けると、私たちの給料も下がる一方です。
なぜならば、診療報酬や薬剤報酬が国に管理されているため、薬局や病院の売上は変わらないからです。そのため、薬剤報酬に依存しない、薬局や病院以外で働く必要があります。そして、薬局以外で働くには薬剤師の資格だけでは十分ではなく、マネジメントや対人スキルを磨く必要がありますね。
マネジメントができる人材は、民間企業からの需要が高く高収入を得るチャンスにもなります。
方法3:製薬会社やドラッグストア に転職する
- 競争は激しいが、製薬会社のMRや研究職は給料が高い
- 外資系製薬会社のMRだと、年収800万円以上を稼げる
- ドラッグストア は店舗に対して人材が足りず、給与は上がりやすい
- ドラッグストア は夜勤もあり、20代でも年収500万円稼げる
薬剤師で給料を増やしたいならば、製薬会社やドラッグストア など民間企業を目指しましょう。
診療報酬や薬剤報酬で上限がある薬局と違い、競争が激しい民間企業では薬剤師が足りていないからです。製薬会社の医薬情報担当者(MR)や研究開発職は人気が高く、年収700〜1000万円を稼げる職業ですね。マネジメントも経験できれば、さらに給与は増えます。
ドラッグストア は薬剤の規制緩和に伴い、急激に店舗数を増やしていますね。労働時間が長くなるのがデメリットだが、年中無休や24時間営業も多く、20代でも年収500万円を稼げます。
まとめ:薬剤師の年収は542.5万円もある
- 東京都内や大阪より、薬剤師の数が少ない地方都市で働く
- 調剤業務以外に、民間企業で需要が高いマネジメントも経験する
- 調剤薬局や病院よりも、製薬会社やドラッグストアの方が給料は高い
調剤薬局や病院で働いていると、思ったよりも給料が低いと嘆く人が少なくありません。
しかしながら、薬剤師の平均年収は542.5万円なので、一般会社員の平均(441万円)よりも101.5万円も高い給与を得られます。また女性薬剤師であれば、会社員女性の平均よりも237万円も高い給与で働けます。そのため、女性でも活躍しやすい薬剤師は、全体の6割を占めるほど割合が高いです。
薬剤師の給与が低いと感じる人は、どのようにして薬剤師の給与が決まるか知らないからです。
例えば、調剤薬局や病院よりも、製薬会社やドラッグストア で働くと年収は100〜200万円も違います。また、薬剤師の数が足りていない地方都市で働くだけでも、最大で300万円も違います。例えば、奈良県の薬剤師の年収は777.3万円、静岡県なら684.6万円、青森県なら670万円ですね。
薬剤師の給料は、30代後半を機に増えない特徴があります。40代、50代と収入を増やすには、将来のキャリアを事前に考える必要があります。
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