「かかりつけ薬局制度」で、研修認定薬剤師の資格が義務化されました。2016年の報酬改定に伴い、研修認定薬剤師を新規で取得する薬剤師が増えています。しかしながら、研修認定薬剤師の資格は本当に必要なのでしょうか?
- 「認定や専門薬剤師になれば、給料は増えるのかな…」
- 「認定薬剤師を取得するメリットは、具体的に何があるのか…」
- 「かかりつけ薬剤師って、本当に患者に意味がある制度なの…」
結論から伝えると、現時点で研修認定薬剤師の資格を取得する必要性は薄いです。
なぜならば、取得や更新で費用や手間が掛かる上に、費用対効果が低い資格だからです。現実問題として、研修認定薬剤師の資格を取得しても給与には反映されないし、転職市場での評価も高くはありません。
「かかりつけ薬剤師」になる条件で必要だが、調剤報酬が70点が加算されるだけです。
「かかりつけ薬剤師指導料」は、患者から同意を得る必要がある上に、そもそも患者が必要としていません。経営側の都合で無理に点数を加算しても、逆に利用者が離れるだけですね。研修認定薬剤師は誰でも取得できるので、本当に必要な時に取ればいいだけです。
報酬改定から2年経った結果、新規で認定資格を取得する薬剤師は激減しています。現実的に考えると、費用対効果が悪い認定薬剤師よりも、「管理薬剤師」に昇進する方が有効性が高いです。ここでは、認定薬剤師資格を取得する方法とメリット、それからデメリットを紹介します。
- 研修認定薬剤師の資格を取得する方法は?
- 研修認定薬剤師を取得するメリットとデメリットは?
- 研修認定薬剤師の資格がなくても、収入を増やす方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
やっぱり、研修認定薬剤師は取得した方がいいのか…
認定資格を取得すべきか、悩んでいる薬剤師は多いですね。認定資格は時間と手間が掛かる上に、現時点ではっきりとしたメリットがないからです。
Aさん)認定や専門薬剤師になれば給料は増えるの…
薬剤師について。認定薬剤師と専門薬剤師の違いが分かりません。ただの薬剤師と認定薬剤師と専門薬剤師とでは、年収の違いはどれほどありますか??また、専門薬剤師や認定薬剤師のなかでも分野において給料額は異なりますか??
例えば、がん専門薬剤師と感染症専門薬剤師などにおいて、また、薬局薬剤師なら取得する認定薬剤師の分野は決まっているのですか??
参考:Yahoo知恵袋
認定薬剤師も専門薬剤師も、年収については基本的に違いはありません。なぜならば、どちらの資格も学会が勝手に称号を与えているだけで、薬剤師の現場で重要視されてないからです。
認定薬剤師は、専門薬剤師の資格を取得するために必要です。専門薬剤師は認定要件として論文や症例報告が必須になります。ただ現実問題として、薬局で働く薬剤師が論文を発表するのは無理です。調剤薬局に行って認定、専門を取る人はいないですね。
認定資格を取得したからと言って、業務範囲が広がる訳でも給与が増える訳でもありません。
Bさん)認定薬剤師を取得するメリットはなに…
認定薬剤師について、認定薬剤師に興味が有ります。薬剤師のくせに、丸で無知なので、知識をお貸し下さい。
- 勤務薬局に支援制度がない場合、費用はどれくらいかかりますか。
- 更新は必ず必要ですか。更新で、また費用がかさむのでしょうか。
- どんなメリットがあるのですか。
- 取得は難しいでしょうか。(純粋な難易度、時間など)
宜しくお願い致します。
参考:Yahoo知恵袋
研修認定薬剤師を取得する費用は、最初の申請で1万円掛かります。その後は、3年毎に更新が必要で同額の1万円支払います。2016年以前は、誰でも取得できる認定薬剤師にメリットはありませんでした。
しかしながら、「かかりつけ薬剤師」の必須資格になり、16年以降は需要が増しています。かかりつけ薬剤師になれば、診療報酬で70点を加算できるからです。経営側の都合で研修認定薬剤師を取得する人が増えています。
Cさん)かかりつけ薬剤師にメリットはないと思う…
薬局勤務です。かかりつけ薬剤師って、ほとんどメリットがないと思いますが、どう思われますか?理由は、
- 健康相談、電話相談はかかりつけ薬剤師でなくても対応してくれる。
- かかりつけ登録しても、門前の病院に処方箋持って行く患者さんが多数いる。かかりつけ以外の薬局でも飲み合わせチェックは当たり前にしてもらえる。
- 門前薬局の方がクリニックとの連携が取りやすく、医師の処方意図も詳しくわかっている場合が多く、薬の説明や監査、疑義紹介がスムーズ。
- 薬局側はかかりつけになってもらう患者さんを選んで声かけをしている。難病や重病の方、たくさん薬を飲んでいて対応が難しい患者さん、心配性で何度も問い合わせてきそうな患者さんには敢えて声をかけないことがあると思います。押しに弱く優しくて要求が少なそうな、優等生の患者さんがかかりつけにピッタリですね。果たして本当にかかりつけ薬剤師を必要とする人なのでしょうか?
- かかりつけを取っている薬剤師も、取っていない薬剤師も患者さんには対して全く同じ対応をしていると感じます。
- かかりつけ薬剤師になるために、薬剤師は研修費や認定のお金を万単位で払わなければなりません。テストなどがあるわけではないので知識や能力がなくても金と時間をかければ誰でもなれます。
以上のことで、私としてはかかりつけ薬剤師なんて意味がないし、デメリットしかないと感じています。会社や同業者は必死でかかりつけ薬剤師を推しており、踊らされているようにしか見えません。
参考:Yahoo知恵袋
「かかりつけ薬剤師」制度ができ、認定薬剤師を取得する人が増えています。しかし、現時点でかかりつけ薬剤師を懐疑的に見る人は多いです。なぜならば、患者さんの都合ではなく、薬局経営側の都合で制度が利用されているからです。
「かかりつけ薬剤師指導料」70点のために、薬局側は「かかりつけ薬剤師」を勧める必要があります。しかしながら、実際には「かかりつけ薬剤師」を必要としてる患者は少ないです。本来の薬剤師の役割と、診療報酬が一致しない典型的な例ですね。
では、私たち薬剤師が研修認定薬剤師を取得するメリットはあるのでしょうか?
研修認定薬剤師を取得する方法や「メリット」は?
日本全国に研修認定薬剤師は8万人が登録しています。また、研修認定薬剤師の認定者数は、緩やかに増加傾向にあります。2016年と2017年の急増は、「かかりつけ薬剤師」の診療報酬改定が影響しています。その後は、再び取得者数が落ち着いています。
その1:研修認定薬剤師の「取得方法」は?
「研修認定薬剤師制度」とは、公益財団法人「日本薬剤師研修センター」が始めた資格制度です。薬剤師として常に学び続け、能力を向上支えたい薬剤師に役立つ資格です。
「研修認定薬剤師」を取得するには、各研修毎に1単位、合計で40単位を取得する必要があります。最短1年で取得できるが、年を超える場合は毎年5単位を継続して取得しなけれなりません。研修の種類は、大きく分けて次の5種類があります。
- 集合研修:指定された団体や会場で行われる(90分)
- 実習研修:薬品に関わる現場に実際に赴き学ぶ実習研修(2時間)
- グループ研修:複数人で実施される研修会がグループ研修(2時間)
- 通信講座研修:大学などが主催する、協会に認められた通信講座を受講
- 自己研修:個人で学習する自己研修(4時間)
40単位を取得した後に、所定の申請料1万円を支払い申請を行います。研修認定薬剤師の資格を保有し続けるには、その後も3年毎に更新料を支払います。申請から認定証が届くまで3か月程かかります。詳しくは「日本薬剤師研修センター」のサイトを確認してください。
その2:メリットは「かかりつけ薬剤師」になれる?
- 研修を受講する事で、実務や薬剤師資格の復習になる
- 薬剤師として、一定以上のレベルがある事を証明できる
- 「かかりつけ薬剤師」になるには、研修認定薬剤師が必要
研修認定薬剤師を取得する薬剤師は、2016年と17年に急増しています。
急増した理由は、「かかりつけ薬剤師」になる条件に、研修認定薬剤師の取得があるからです。2016年度の診療報酬改定で、「かかりつけ薬剤師指導料」になると処方箋1枚に付き70点(700円)が加算されます。
薬局の経営者から見たら、この70点は小さくはないですよね。
今後の需要を見越して、薬剤師が研修認定薬剤師の取得に動いた事になります。ただし、研修認定薬剤師の資格保有者が、給料の見返りがあるかはかなり懐疑的ですよね。研修認定薬剤師を目指すよりも、「管理薬剤師」の方が転職市場では高く評価されています。
また、継続して更新料を支払い続ける事も、薬剤師から敬遠されています。では、認定薬剤師を取得するデメリットはなんでしょうか?
その3:デメリットは「転職市場」で評価されない?
- 研修認定薬剤師を取得するのに、お金と手間が掛かる
- 取得する期間は1〜3年、最低でも80〜120時間を費やす
- 3年毎に更新が必要で、更新する度に1万円が発生する
- 「かかりつけ薬剤師指導料」を得るには、患者から同意が必要
- 認定薬剤師を取得しても、転職市場では評価されない
- 調剤報酬が70点加算されるが、年収アップや給料増は見込めない
研修認定薬剤師の最大のデメリットは、費用対効果が悪いという事です。
日本薬剤師研修センターが実施する資格は、勉強会に参加するだけで取れます。さらに、公益財団法人が維持費を得るために、資格を維持するだけでも費用が発生しますね。時間さえ費やせば誰でも取得できるため、昔から転職市場では評価されていません。
取得者が増えたのは、取得者を増やしたい政治的な意図があるからですね。
「かかりつけ薬剤師指導料」も、現時点では懐疑的に見られています。患者の同意を得る必要があり、期待する以上に点数を取れていません。また、診療報酬が70点増えても、私たち薬剤師の年収は変わらないですね。
現実的に考えると、費用対効果が悪い認定薬剤師よりも、「管理薬剤師」に昇進する方が有効性が高いです。そう考えている人が増えた結果、報酬改定から2年後には新規取得者は激減していますよね。
では、私たち薬剤師が収入を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?
研修認定薬剤師がなくても、収入を増やす方法は?
認定資格を取得する以外で、現実的に収入を増やす方法を紹介します。
方法1:薬剤師専門の「エージェント」に相談する
- 薬事師専門の転職プロから、客観的なアドバイスを得られる
- 第三者に相談する事で、将来のキャリアを明確にできる
- 相談を聞いて貰った上で、具体的な求人を掲示してくれる
- 勤務地や条件に合わせて、求人をスクリーニングしてくれる
- 最適な職場を選ぶ事で、年収100〜200万円増やせる
将来のキャリアが明確に定まらない人は、コンサルタントに相談しましょう。
キャリアが不明確だと、具体的に何を勉強すれば良いかも分からないからです。とりあえず将来のためにと、認定薬剤師やケアマネージャーを取得しても意味がありません。第三者に相談する事で、客観的なアドバイスを貰う事ができます。
また、薬剤師専門のコンサルタントに相談する事で、適切に求人をスクリーニングしてくれます。例えば、「サービス残業がない職場」「管理薬剤師を目指せる職場」「年収500万円以上の薬局」など、候補を絞って具体的に求人を紹介してくれます。
自分に最適な職場を選択する事で、年収100〜200万円増やすのは難しくありません。
方法2:「調剤経験」を幅広く積み管理薬剤師を目指す
- 対応できる診療科目を増やし、現場で幅広く調剤経験を積む
- 調剤経験を積みながら、管理薬剤師を目指す
- 現場をマネジメントできる人材は、民間企業で需要が高い
- 調剤薬局でも管理薬剤師になると、年収600〜700万円になる
- ドラッグストアで、店舗責任者になると年収は700万円以上
- 管理薬剤師になると、製薬会社からも需要が高い
薬剤師としてキャリアアップするには、調剤経験を積むことが1番大切です。
できれば、総合病院の近くの調剤薬局か、もしくは大手調剤薬局に勤務する方が良いですね。大手調剤薬局ならば、転職しなくても職場移動する事で広く経験を積めます。そして、調剤経験を積むのと同時に、管理薬剤師を目指しましょう。
管理薬剤師を目指す過程で、現場で必要なスキルが何かを学べるからです。
管理薬剤師として役職を得られば、薬局やドラッグストアなどどの現場でも重宝されます。その後は、支店長やエリアマネージャーにも昇進できます。また、管理薬剤師の役職を貰えると、その店舗の最高額の給与を得られますね。
都内の薬局であれば年収は600万円、地方の年収が高い地域なら700〜900万円、ドラッグストアでも年収700万円以上を貰えます。また、調剤経験がある上に現場をマネジメントできる人材は、製薬会社からも需要が高いですね。
方法3:「対人能力」を磨いて地域医療に活かす
- 調剤業務がなくなり、対人業務の重度度が増す
- 高齢化が進む社会で、地域に貢献できる医療を目指す
- 高齢化社会で老人が増え、地方は在宅医療が中心になる
- 調剤業務は第五世代に移行し、薬剤師の役割は増える
- 薬剤師が少ない地域ほど、需要が高く地域社会に貢献できる
- 薬剤師が少ない地方ほど、薬剤師の給料は高い
- 奈良県の平均年収は777万円、静岡県は684万円もある
厚生労働省は「かかりつけ薬局・薬剤師」という制度を進めています。かかりつけ薬局では、調剤経験ではなく、地域社会に密着した対人能力が求められますね。
私たちは処方通りに薬剤を調合するだけでなく、医療が行き届かない地域でいかに自分が貢献できるか考える必要があります。これからは、高齢化社会で老人が増え在宅医療が中心になっていきますね。
自ら患者のために動ける薬剤師ではなければ、生き残るのは難しいですよね。日本薬剤師会が公表する「薬剤師の将来ビジョン」によると、調剤業務は第四世代から第五世代に移行しています。医療の高度化が進み、私たち薬剤師の役割はますます増えていますね。
幸いにも現状は、地方に行くほど薬剤師の数は少ないです。今は働く場所を変えるだけで、私たち薬剤師の年収が増える恵まれた時代でもあります。国家資格を活かして、どうしたら地域社会に貢献できるのかを考えましょう。
参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?
まとめ:研修認定薬剤師は本当に必要なの?
- 研修認定薬剤師を取得するのに、お金と手間が掛かる
- 取得する期間は1〜3年、最低でも80〜120時間を費やす
- 3年毎に更新が必要で、更新する度に1万円が発生する
- 「かかりつけ薬剤師指導料」を得るには、患者から同意が必要
- 認定薬剤師を取得しても、転職市場では評価されない
- 調剤報酬が70点加算されるが、年収アップや給料増は見込めない
結論から伝えると、現時点で研修認定薬剤師の資格を取得する必要性は薄いですね。なぜならば、取得や更新で費用や手間が掛かる上に、費用対効果が低い資格だからです。現実問題として、研修認定薬剤師の資格を取得しても給与には反映されないし、転職市場での評価も高くはありません。
「かかりつけ薬剤師」になる条件で必要だが、調剤報酬が70点が加算されるだけです。
「かかりつけ薬剤師指導料」は、患者から同意を得る必要がある上に、そもそも患者が必要としていません。経営側の都合で無理に点数を加算しても、逆に利用者が離れるだけですね。研修認定薬剤師は誰でも取得できるので、本当に必要な時に取ればいいだけです。
報酬改定から2年経った結果、新規で認定資格を取得する薬剤師は激減しています。現実的に考えると、費用対効果が悪い認定薬剤師よりも、「管理薬剤師」に昇進する方が有効性が高いです。管理薬剤師に昇進できれば、全国どこに行っても重宝されます。
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