病院薬剤師の年収は400万円だけ?|国県立と民間病院の違い

病院薬剤師は、やりがいがあると薬学部に人気が高い就職先です。しかしながら、仕事内容が多岐に渡り責任もある一方で、年収が低いと不満を漏らす薬剤師も多いです病院薬剤師で働いた場合、本当に給与は低いのでしょうか?

  • 「薬学部時代の友人に会ったら、病院勤務の自分だけが低収入だった…」
  • 「東京都の総合病院なのに、月給は22万円しかない…」
  • 「公務員として公立病院に勤務したら、給料が高いと聞いた…」

病院薬剤師の給与は、国県立病院か民間病院で働くかで大きく違います。

公務員薬剤師で国県立病院で働いた場合、公務員に準ずるため給与は高いです主任薬剤師で532万円、薬局長で働いた場合710万円も貰えます。さらに、公務員なので終身雇用で定年まで働ける上に、福利厚生も充実しています。

しかしながら、民間で働いた場合の給与は350万円、良くても500万円が限界です

国県立病院で働く薬剤師の定員には限りがあるため、実際には多くの薬剤師が民間で働きます。また、大学病院や県立病院で働く場合も、正職員(公務員)として採用されるとは限らず、非常勤や派遣で働く薬剤師が多いです

ここでは、国県立病院と民間病院で働く薬剤師の給与の違い、それから民間病院で働く薬剤師のデメリットや向いている人を紹介します。

病院で働きたい薬剤師向け
  1. 国県立病院と民間病院に勤務する薬剤師の年収は?
  2. 公務員以外の病院薬剤師の給料が低い原因は?
  3. 病院薬剤師のデメリットや向いている人は?

病院に勤務する、薬剤師の給料が低いって本当なの…

調剤薬局や病院勤務で働く薬剤師と比較したら、ドラッグストアは少し驚くくらい高収入です。でも、本当にドラッグストアに転職したら年収は増えるのでしょうか。

Aさん)薬学部時代の友人と比べて年収が低すぎる…

給与が低すぎる・・・27歳薬剤師の男です新卒から地元の病院で働いています。幼い時に病気を患った事があり、働き始めた当初はやりがいを感じていました。しかし、最近あまりにも給与が低い事に気づいてしまいました。大学の友達と会うと、ときどき給与の話になるのですが、明らかに私の年収が一番低いのです

仕事は夜勤もあり、つらい場面もたくさんあります。それなのに、ドラッグストアに勤めている友人にはもちろん、定時で毎日帰る友人よりも給与が低い事がわかった時には、正直ショックでした

どうやら、他の病院に比べても給与が低い職場のようです。もちろん、お金が全てで無いと分かっています。仕事にはやりがいも感じています。しかし、このまま仕事を続けていくのか、疑問を日々感じています・・・ドラッグストアなどに転職したほうがよいのでしょうか?悩んでいます。。。何かアドバイス頂戴できないでしょうか?よろしくお願いします。

参考:Yahoo知恵袋

薬剤師はどこで働くかによって、大きく平均年収が異なりますね。そして、病院勤務は数ある働き方の中で最も給与が安いです。そのため、薬学部時代の友人にあうと、自分の給与の低さに驚く人も少なくありません。

薬剤師手当や夜勤手当が支給されるドラッグストアは、20代でも年収500万円以上を稼げます。また、調剤薬局勤務ならば病院勤務並みに給与が低くても、毎日定時退社できますね。

Bさん)東京都の総合病院なのに月給は22万円だけ…

どこの済生会の募集か知りませんが、済生会が給与水準がいいという噂は聞いたことがない。むしろ、低めだと聞いてたので、その数字には驚きました。私が知ってるのは、数年前だから、今は違うのかなと、現在募集中のところを見るんだけど、、、、

求人:東京都済生会中央病院

基本給:186,000円(勤続給100,000円+職能給86,000円)
調整手当:21,000円
住宅手当:5,000~18,000円
合計:212,000~225,000円

上記金額は、6年課程の大学新卒者の初任給です
※勤務経験のある方の給与については、当院の規定により職歴加算をさせていただきます。

当日直や残業があるとしても、そこまでありそうに思えない。考えられるのは、田舎で定数が少なくて、当直日数が異常に多い場合。看護師並みに月8回もすれば、軽くオーバーしそうです。5人しかいないところなら、月6回だわ。そういう計算ならわかる。

参考:Yahoo知恵袋

病院勤務の薬剤師の給与は安いです。東京都内の総合病院でも、薬剤師の給与は22万円で募集しています。国家資格取得のために6年で1200万円掛かった事を考えると、病院勤務の給与の低さは異常だと言えます。

Cさん)公務員として公立病院に勤務したら給料は高い…

【質問】公立病院の病院薬剤師さんの給料ってどれくらいなのでしょうか??

【回答】国立、都道府県立、市立病院で、正職員として採用された場合は、それぞれの自治体の公務員給与規定に準じて給与がもらえるので、民間病院より、薬剤師の平均給与、薬剤師の平均生涯収入より多くもらえますよ。ただ、入職時は安いかもしれませんが、公務員ですので給与体系は右肩上がりで、40代、50代ではけっこうもらえます。薬剤師は一般職より給与が高めに設定されているので、公務員の平均年収より若干多くもらえます。人気が高く、募集人数は少ないので、非常に狭き門で激戦です。

私の回答に公務員に準じた待遇はあり得ないようなことを仰る方がいらっしゃいますが、回答が少し誤解を与える表現だったので、追記します。公立病院は、正職員とパート、派遣、契約など色々雇用形態があり、公務員扱いとならない薬剤師も多数います。こちらのほうが多いと思います。

国立病院ですら同様です。公務員採用試験を受けて、市や都道府県、厚生労働省に採用され、それぞれの所管する病院に勤務を命じられたような場合は正職員です。この場合は、公務員給与が適用されるのでそれなりの年収期待できます。

要は、どういう採用試験を受けたかで決まります。病院独自の採用試験では正職員採用にはなりません。正職員になれば、当然転勤もありますし、病院を離れて本庁勤務もあり得ます。パート、契約、派遣など正職員として採用されない(公務員の給与規定が適用されない)の場合は、転勤ないですが、給与は非常に安いです。それ故、公務員薬剤師は極めて狭き門と言っているのです。

参考:Yahoo知恵袋

一般的に病院に採用されて働く薬剤師の給与は低いです。しかしながら、公務員採用試験を受けて、厚生労働省や都道府県に採用された場合の薬剤師の給与は高くなります。公務員採用で薬学部長や主任に昇進した場合、病院勤務でも618万円以上の収入を得られます。

また、公務員は経験年数に応じて昇給する上に、福利厚生も充実していますねでは、病院に勤務する薬剤師は、具体的にはどれくらいの給与を得られるのでしょうか?

薬剤師の年収比較、病院薬剤師は「350〜450万円」?

薬剤師 初任給 初年収 30歳前後の年収
製薬会社 22万円 300〜350万円 600〜800万円
ドラッグストア 25〜35万円 350〜450万円 500〜700万円
調剤薬局 22〜30万円 350〜400万円 450〜500万円
病院薬剤師 20〜25万円 300〜350万円 350〜450万円

病院薬剤師は、薬剤師の中で最も初任給や年収が少ない働き方です。

初年度の年収は300〜350万円、5年以上キャリアを経験しても400万円前後が相場ですね。さらに、夜勤がある病院も多く、労働環境は看護師と同様に過酷にもなります。病院内での序列も「医師>>看護師>薬剤師」と、良いポジションではありません。

ただ、国立や県立病院に勤務すると、公務員扱いとなるため給与は高いです初任給は安くても経験年数に応じて確実に昇給します。ただし、公的な病院で働ける薬剤師の数は少ない上に人気も高く狭き門です。

また、大学病院では医療費削減で、契約社員やバイトとして採用する職場も増えてます。

以上を考慮した上で、私たちは病院薬剤師を目指した方が良いですね。では、公務員か民間病院で勤務した場合では、どれくらい給与差があるのでしょうか?

「国県立病院」と「民間病院」の給料の違いは?

病院薬剤師の場合、国県立病院に勤務するかどうかで給料は大きく異なります。国県立病院に勤務すれば、公務員に準じた年収が貰えるからです。

その1:国県立病院の年収は「421〜939万円」?

15号 月給 年収 職務内容
1級 173,600 347万 栄養士の職務
2級 210,500 421万 薬剤師の職務
3級 243,900 487万 困難な業務を行う薬剤師の職務
4級 266,200 532万 医療機関の薬剤部又は薬剤科の相当困難な業務を行う主任薬剤師の職務
5級 309,100 618万 薬局の長の職務
6級 355,100 710万 相当の規模を有する薬局の長の職務
7級 404,400 808万 規模の大きい薬局の長の職務
8級 469,900 939万 特に規模の大きい薬局の長の職務

参考:医療職俸給表(二)の具体的な俸給額

国家公務員の給与を定める人事院は、2019年の6年制薬剤師の初任給を21万5千円(2級15号俸)と設定しています。公務員の賞与は4ヶ月×2回なので、初年度の年収は421万円になります

主任薬剤師になれば532万円、薬局長になれば618万円です。さらに、残業代や夜勤手当も加算されるため、決して低い年収ではないですよね

国県立病院で公務員として採用されたら、確実に昇給でき福利厚生も充実していますでは、民間企業に就職した場合の給与はどうでしょうか?

その2:民間病院の年収は「350〜500万円」?

  • 基本給:186,000円(勤続給100,000円+職能給86,000円)
  • 調整手当:21,000円
  • 住宅手当:5,000~18,000円
  • 賞与:4ヶ月
  • 合計:212,000~225,000円

参考:東京都済生会中央病院の求人

千人を超える東京都の総合病院の求人を見ると、6年過程の大卒者の初任給は22万円です。4ヶ月分の賞与を加算した初年度の年収は352万円だけですね。経験年数と共に順調に昇給する公務員と違い、民間病院の昇給額は限られます。

10年以上働いたとしても、500万円を超えるのは難しいですね。これだと、大卒で一般企業に働く会社員の方が給与は高いです。世間一般的に病院勤務の薬剤師の給与が低いと言われるのは、公務員ではない民間病院に限った話です。

公務員として採用されるのは限られるため、実質的には多くの薬剤師が民間病院で働きます。また、大学や県立病院で薬剤師として働く場合も、正職員ではなく非常勤や派遣が多いです

その3:病院薬剤師の給料が「低い原因」は?

病院薬剤師の給料が安い理由は...
  1. 規制産業(診療や薬剤報酬)で赤字経営の病院が多い
  2. 看護師は不足してるが、薬剤師の数は飽和状態にある
  3. 医療現場では、実質的に看護師よりも序列が低い
  4. 社会保障費が膨らみ、日本政府は医療費を削減したい

病院薬剤師の給料が低い原因は、規制産業で赤字経営の病院が多いからです

また、深刻な人材不足に陥っている看護師と違い、薬剤師は飽和状態にありますね。薬剤師は医薬品のプロフェッショナルだが、最終的に投与を決める決定権は医師が持ちます。そのため、医療現場での薬剤師の地位は決して高くはありません。

国が給与を決める公務員でも、若干看護師よりも給与が高いだけです。民間病院では、看護師の待遇が逆転している職場もありますね。6年掛けて国家資格を取得したにも関わらず、看護師の平均年収478万円と大差ないのが現実です

医療費が過去最高の42兆6千億円を超え、病院勤務で改善するのは難しいです。では、病院薬剤師のデメリットや向いている人はどういう人なのでしょうか?

病院薬剤師の「デメリット」や向いている人は?

調剤薬局と比較した病院勤務のメリットやデメリットを紹介します。デメリットを正しく把握する事で、病院勤務に向いている薬剤師もわかりますね。

その1:調剤薬局と比較した病院勤務の「デメリット」は?

メリット デメリット
調剤薬局
  1. 調剤業務など、薬剤師に必要な基礎知識が身に付く
  2. 地方に行くほど年収は増える
  3. 病院に合わせるため、土日祝日が休める
  1. 30代以降は、年収が増えない
  2. 東京や大阪など、都市圏の年収は低い
  3. 処方箋通りに処方するため、ルーチンワークになる
病院勤務
  1. 薬剤師のプロとして経験を積める
  2. チーム医療で患者と直に接する
  3. 医師、薬剤師、看護師など、多種多様な職種の中で専門性を発揮できる
  4. 薬学管理のプロとして、医師に処方提案や処方設計ができる
  5. 副作用のモニタリングができる
  1. 国県立病院以外の給与は安い
  2. 民間病院だと、年収350〜500万円しか貰えない
  3. 賞与や昇給はあまり期待できない
  4. 夜勤や残業など、労働環境が過酷に陥りやすい

病院薬剤師で働く最大のメリットは、チーム医療で専門性を発揮できる事です。

チーム医療では、医師、薬剤師、看護師など、多種多様な職種の専門家と働きますね。調剤薬局で医師の指示通りに処方する薬剤師とは大きく異なります。患者と直に接する事ができ、やりがいと責任が求められます。

ただし、責任が大きくてやりがいがある反面、年収が低いのは残念ですね。国県立病院に勤務にすれば、公務員に準ずる給与で順調に昇給するが、民間病院では期待できません。30歳を過ぎても年収が500万円に届かない薬剤師も多いです。

その2:病院勤務に「向いている薬剤師」は?

病院薬剤師が向いている人は...
  1. 給与が低くても、責任ややりがいのある仕事がしたい
  2. 将来のキャリアのために、チーム医療の経験を積みたい
  3. 患者と直に接する環境で働きたい

病院勤務が向いている薬剤師は、責任ややりがいを求めている人ですね。

病院の薬剤部で働くと、一般的な疾患だけでなく、抗がん剤、抗菌化学療法、緩和医療用の薬物など、日常的に扱う種類は調剤薬局よりも増えます。さらに、医療が高度化する過程で、手術室を中心に治療チームに加わる「サテライト薬局」など、薬剤師もプロフェッショナル化しています。

チーム医療として、医療現場に携われる環境は、今後のキャリアにも必ず役立ちますね。また、私たち薬剤師が患者と直に接する環境があるのは、実質的には病院だけです。

その3:「国県立病院」や薬剤師が少ない地方で働く

病院勤務の薬剤師を目指す際には、国県立病院かもしくは地方で働きましょう

公務員に準ずる国県立病院で働けば、公務員の給与に準じて経験年数に応じて昇給できるからです。薬学部長まで昇進すれば、600〜800の年収を得られます。また、薬剤師が足りていない地方で働く事でも、平均以上の収入を得られる可能性があります(参考:地方に行くと年収は800万円?|地方ほど高給になる理由は?)。

国県立病院で働くには、こまめに該当病院の求人情報をチェックしましょう。薬剤師の定員数に限りがあるため、後任者が抜けるタイミングでしか入れないからです。

まとめ:病院勤務の年収は350〜500万円?

病院薬剤師の給料が安い理由は...
  1. 規制産業(診療や薬剤報酬)で赤字経営の病院が多い
  2. 看護師は不足してるが、薬剤師の数は飽和状態にある
  3. 医療現場では、実質的に看護師よりも序列が低い
  4. 社会保障費が膨らみ、日本政府は医療費を削減したい

病院薬剤師の給与は、国県立病院か民間病院で働くかで大きく違います。公務員薬剤師で国県立病院で働いた場合、公務員に準ずるため給与は高いです主任薬剤師で532万円、薬局長で働いた場合710万円も貰えます。さらに、公務員なので終身雇用で定年まで働ける上に、福利厚生も充実しています。

しかしながら、民間で働いた場合の給与は350万円、良くても500万円が限界です

国県立病院で働く薬剤師の定員には限りがあるため、実際には多くの薬剤師が民間で働きます。また、大学病院や県立病院で働く場合も、正職員(公務員)として採用されるとは限らず、非常勤や派遣で働く薬剤師が多いです

病院薬剤師で働くならば、公務員採用試験を受けて国県立病院で働きましょう。もしくは、薬剤師の数が少ない地方に行けば、平均よりも高い収入を得られます。病院勤務は薬剤師としての経験を積むには最適ですが、高い給料を得るのは難しいです。

薬剤師の資格や経験を経て、製薬会社やドラッグストア に転職する人が増えています。

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